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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第三十一章 人間をやめさせられたヒーロー

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第168話 『飛将軍』と呼ばれた幼女の怒り

「ほう、西園寺。随分と大きく出たじゃねーか……オメーがコイツ等の生殺与奪権のすべてを手に入れた?どうやって?どんな魔法を使えばアタシに無断でそんなことが出来るんだ?教えてくんねーか?」


 ランの口調は穏やかだったがその細かく震える肩が彼女の怒りを誰の目にも分かるように示していた。


「ああ、アメリアが神前を『アダルトグッズ』としてネットオークションに出品したんだ。それをリンが買い取ったらおまけとしてかえでとカウラがついてくることに決まった。そこでアタシがリンからそれを買い取った。そしてこの騒動を起こした張本人であるアメリアもアタシの所有物ということをアタシが決めた。だからコイツ等はアタシが望むならどう扱ってもいい『アダルトグッズ』なんだ。と言うわけでよろしく」


 かなめはそう言うと部屋の主である誠の許可も取らずにタバコを取り出して火をつけた。


「西園寺、この寮の私室は禁煙だ」


 カウラは静かにそう言うがかなめは完全に無視している。


「『アダルトグッズ』が持主に指図か?随分高機能な『アダルトグッズ』だな。こりゃあ遊び甲斐がありそうだ」


 言い返すかなめの目には明らかに殺意が込められていた。


「おい、西園寺。まずなんでアメリアが神前を『アダルトグッズ』としてネットオークションに出品できたかを説明してみろ……副隊長であるアタシがいつそんなことをして良いって許可したかを含めてな」


 下を向いて肩を震わせながらそう言うランを見てまず、顔色を変えたのはすべての元凶であるアメリアだった。


「それは……その……この寮で一番階級が高いのは私なので……」


 アメリアは言い訳交じりにそう切り出した。


「そうか、なりたての中佐だが、確かにこの寮では一番階級はたけーな。でも、アタシは東和陸軍では中佐の階級について一番経験が長い。同じ階級ならその階級になったのが先の士官が偉い。それは軍隊では当たり前の事……ってこともクラウゼは知ってるよな?」


 いつもと違う雰囲気で低く落ち着いた口調で話すランにアメリアの顔は次第に青ざめていった。


「しかもだ。ここに亡命する前。アタシは遼南共和国では『飛将軍』という地位にあった。東和陸軍で言う陸将……いや、それ以上の地位だな。甲武やクラウゼの母国であるゲルパルトなら大将の地位と同格と言って良い」


 相変わらずランの口調は穏やかだった。その穏やかさがこの場に居る女性陣を威圧し身動き取れない状態へと追いつめていた。


「つまり、クラウゼ。オメーの生殺与奪権は最初からアタシが握っているんだ。オメーの論理だとアタシはオメーをネットオークションに出品していーってことになるわけだな。まーアタシはオークションとかやらねーからそんな面倒なことはしねーがな」


 そしてランは右手を目の前にかざした。急にその手が光ったと思うと次の瞬間には白木の棒のようなものが握られていた。


 それはランの愛用の白鞘『関の孫六』だった。


『クバルカ中佐……ここに居る全員を斬るつもりだ……』


 怒りに任せて暴走することになるだろうランを想像して誠は恐怖に震えた。

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