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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第三十章 悲劇のヒーローオークション

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第164話 それは常識人による平和的解決では無かった

「貴様等、部屋に居ないと思ったら何を……西園寺!貴様は何をしている!そんなことをしたらアメリアが死んでしまうぞ!それに銃まで持ち出して!また発砲する気か!何度寮では発砲厳禁だと言えば気が済むんだ!」


 入ってきたカウラは今まさにアメリアを絞め殺そうとしているかなめを見てその腕に縋りついた。


「良いところに来たな、カウラ。アタシは今、この権限を逸脱した行為に走った馬鹿な上官に死の制裁を与えようとしていたところだ。オメエも手伝え。アメリア、ちゃんと楽に一撃で死なせてやる。ありがたく思え」


 かなめの手にさらに力が入る。そして銃を左手に握りアメリアのこめかみに押し付けた。アメリアは半分失神したように動かなかった。


「西園寺!なにを訳の分からない事を言っているんだ!やめろ!」


 カウラは強引にかなめに体当たりした。戦闘用人造人間の体当たりは、さすがの重量級の戦闘用サイボーグであるかなめにも効果があったらしく上体が傾いた。


 その一瞬の隙を突いてまだ意識があったアメリアはかなめの手から脱出して深呼吸をしながら首に付いた締め後を確認していた。


「かなめちゃん!本当に死んだらどうするのよ!それに銃まで持ち出して!何かというと銃で物事を解決しようとするのはかなめちゃんの悪い癖よ!なおしなさい!」


 息を落ち着かせたアメリアの第一声がそれだった。


「しぶといアマだ。なかなか死なねえや。アタシは本気でオメエを殺すつもりだったんだがな」


 かなめは吐き捨てるようにそう言うと部屋の床にどっしりと腰を下ろした。


「それより、日野!渡辺!貴様等は何をしている!神前を襲うなとあれほど言って有ったろう!」


 カウラが次に気付いたのは今まさにリンとかえでに全裸にされようとしている誠の姿だった。


「ああ、ベルガー大尉。ごきげんよう。これは誠様を襲っている訳ではありません。誠様は私の『アダルトグッズ』になったので使用しているだけです」


 リンは淡々とそう言って誠のズボンを脱がしにかかった。


「カウラさん!助けてください!僕はアメリアさんに売られてリンさんの持ち物にされてしまったんです!こんな契約は無効だと言った下てください!」


 誠はこの中で一番話の通じそうなカウラに向けてそう叫んだ。


「アメリアに神前が売られた?アメリア。どういうことか説明しろ!それとどうせ西園寺をここまで怒らせたのも貴様の自業自得なんだろ!正直にしゃべれ!」


 ようやく平静を取り戻したばかりのアメリアに向けてカウラはそう詰問した。


「言うわよ!誠ちゃんをネットオークションで『アダルトグッズ』として出品したらそれをリンちゃんが落札したの。そして、リンちゃんの隣にかえでちゃんが居るのはかえでちゃんは誠ちゃんの同梱商品だから一緒にリンちゃんの『アダルトグッズ』になったの!わかった?」


 アメリアは息をするのが精いっぱいなので簡単に要点だけそう言うとそのままその場に横になった。


「『アダルトグッズ』?なんだそれは?」


 車とパチンコの景品以外の商品にあまり興味がなく、純粋なカウラが『アダルトグッズ』を知っている訳がなかった。


「それは、こうして気持ちよくなる道具だよ。これから僕と誠君はリンの『アダルトグッズ』としてリンを気持ちよくすることにすべてをささげることになるんだ。リンは心根が優しいから僕と誠君が愛し合うことも気っと許してくれる。そうだね、リン」


 かえでは誠のズボンを脱がし終えてパンツに手をかけながらそう言った。


「はい、かえで様。そう言うシチュエーションも私の好みです。ベルガー大尉。いっそのことあなたも誠様の『同梱商品』になられては?そうすれば誠様と一緒に気持ちよくなれますよ」


 リンは訳も分からず混乱しているカウラに向けてそう言った。


『カウラさんなら僕のこの絶望的状況を救ってくれる……カウラさんの良さはその純粋可憐なところなんだ。『アダルトグッズ』なんて言う物の存在をカウラさんが認めるはずがない!助けてください!カウラさん!』


 誠は何も言わずに目でカウラにそう助けを求めた。


 しかし、腕組みをしてしばらく考えた後にカウラの口から出てきた言葉はあまりに意外なものだった。


「そうか……神前の『同梱商品』になれば神前と愛し合うことが出来るのか……これは考えどころだな……」


 カウラはリンの提案に難しい顔をして考え始めた。誠はそのあまりに自分の思いと違う言葉の内容に絶望した。


「カウラさん!あなたは騙されてます!リンさんはただエロい事がしたいだけの変態なんです!だからそんなところで悩まないでください!カウラさんは純粋な愛が好きなんでしょ?だったらそこで変な悩み方をしないでください!」


 誠の必死の助けを求める言葉もカウラには届いていなかった。カウラはひたすら自分も『アダルトグッズ』として誠の同梱商品になるかどうかを悩んでいた。

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