第162話 理由は『悪い出品者です』の評価が欲しくないので
「でも、アメリア。30億円の即決価格。安かねえか?確かにリンの所領の規模から考えればお手頃価格だが、アタシやかえでから言わせるとこの金額………そりゃあちょっと神前に対して失礼ってもんだろ……なあ!神前もそう思うだろ!」
ネットを終了したように満面の笑みを浮かべてかなめは誠にそう言ってきた。
「西園寺さん……そもそもそんな問題では無いような気がするんですけど……そもそも僕は『アダルトグッズ』になったつもりは無いんで」
誠はリンとかえでに両耳を甘噛みされながらそう答える事しか出来なかった。
「そうだね、僕なら50億……いや、100億は用意するな」
誠の耳から口を離したかえでがポツリとそう言った。
「100億だ?そんなちんけな金額はアタシは出さねえな。200億出す。どうだ、アメリア。200億で神前をアタシに譲れ。200億っていやあ05式が買えるような値段だぞ。うれしいだろ?どうだ?文句は言わねえよな?明日、即金でオメエの口座に振り込む。それで話は一件落着だ」
そう言ってアメリアに詰め寄るかなめだがアメリアは真剣な表情を浮かべてかなめをにらみ返した。
「お二人とも勘違いしているわね。これはオークションなの。だから落札した時点で誠ちゃんはリンちゃんの『アダルトグッズ』になることはもう決定済みなの。そして、そのおまけとして『許婚』であるかえでちゃんがついてくると自分で言ったんだから……かえでちゃんはすでに商品そのものでしょ?入札する権利はないわ。それに私はかなめちゃんの要求も拒否するわよ。私はリンちゃんから『悪い出品者です』の評価を貰いたく無いもの。評価が悪いアカウントは入札や出品に制限がかけられるのよ。だからかなめちゃんも諦めなさい」
アメリアは冷たくそう言い放った。
「そうですね、ここでクラウゼ中佐とかなめ様の契約が成立してしまった場合には私は間違いなく『悪い出品者です』の評価をするつもりです」
誠の右頬を舐めながらリンはそうささやいた。
「と言うわけなのよ、かなめちゃん。これからリンちゃんによる『アダルトグッズ』の初使用を行う予定だけど……一緒に見る?きっと面白いわよ」
アメリアは満面の笑みでかなめにそう言った。
『この女共、人を何だと思ってるんだ?僕は人間だぞ……いつから『アダルトグッズ』にまで立場が転落したんだ?こいつ等の認識はおかしい!絶対に間違ってる!こんなことが許されて言い訳が無い!』
そう思いながらもすでに上着を脱いだかえでにシャツのボタンを一つ一つ外されていく誠はそんな本心を叫ぶことが出来ないでいた。
『ああ、こうして僕は『アダルトグッズ』として童貞を喪失するわけだ……そしてそのまま文字通りリンさんの性のおもちゃにされるんだ……どこまでも流されていく自分が情けない……』
誠は最下級の女郎としてかつて変態共のおもちゃにされていたリンのおもちゃにされるという自分の運命に笑うしかなかった。




