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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第三十章 悲劇のヒーローオークション

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第156話 実はセット販売だった商品

「誠君、リンの姿が見えないんだが」


 ドアが開き入って来たのはかえでだった。かえではまず、リンが服を脱いでいるのに首をひねり。それを生暖かい目で見つめるアメリアを見つめて不思議そうな顔をして、説明を求めるような顔で誠に目をやった。


「かえでさんからも言ってくださいよ。かえでさんはこの寮のオーナーでしょ?その住人がどう考えても違法な取引をしているんですよ、今」


 誠は意外な闖入者であるかえでに助けを求めるようにそう言った。


 その困り果てた様子に心配したような顔をしたかえでは誠に歩み寄りしっかりと誠の手を握った。


「君は今相当に困っているようだね。君は隠し事が出来ない質だ。何なりと相談してくれたまえ。リンとクラウゼ中佐が君に何をしようとしているのかは分からないがきっと僕は君の力になれる。なんと言っても僕は君の『許婚』なんだから」


 かえでが力強くそう言うので誠はなんとか平静を取り戻した。


「かえでちゃん。それはリンちゃんの所有物になったのよ。だからその手に触れるのには持主の許可を取らないと駄目じゃないの」


 アメリアはさも面白そうにそう言った。


「誠君が……リンの所有物に……それはどういうことかな?リン。説明してくれたまえ」


 いつもの毅然とした貴族の顔に戻ったかえではスカートを脱ぎ捨てて下着だけになったリンに向けてそう言った。


「はい、クラウゼ中佐が誠様を『アダルトグッズ』ということでネットオークションに出品いたしましたので、これはぜひ落札して私の性生活の充実につなげたいと思い落札いたしました。とりあえず、これから初使用をするところです」


 まるで何事もなかったかのようにリンはそう言った。


「リン!それは間違っている!」


 かえでは怒りに駆られた調子でそう言った。


『かえでさん……さすがリンさんの主君だ。家臣の暴走を止めてくれるつもりなんだ……良い人なんだな、かえでさんは』


 誠はかえでの態度に期待を寄せながらそう考えた。


「誠君は僕の『許婚』なんだ!僕と誠君を引き離すことはこの宇宙の誰にもできないんだ!長年僕の家宰をしながらそんなことも分からないのか!」


 きつく叱責するような調子でかえではリンを叱りつけた。リンはと言えばさすがにそうまで主君に言われてしまえば下着に手を付けることもできずに黙って立っている。


『ようやくアメリアさんのいたずらから脱出できる……かえでさん!感謝の言葉も無いです!』


 誠は涙を流さんばかりの感動の視線をかえでに送った。


 かえではリンへの怒りを押しとどめると誠に向き直った。


「そうだよ、誠君。僕達を引き離すことは誰にもできないんだ……一緒にリンの『アダルトグッズ』として性のおもちゃとして快楽の沼に落ちて行こうじゃないか!誠君単体で売り買いされるなんて言う事実は僕は認めない!僕も誠君とともに『アダルトグッズ』としての運命を受け入れるつもりだ!リン!以降は僕も誠君とセットの『アダルトグッズ』として扱うようにしてくれたまえ。良いね?」


 恍惚の表情を浮かべてかえでははっきりと誠に向けてそう言い切った。


「え?そっちなんですか?かえでさんが怒ってた理由は?それはかなり歪んでいるようにしか僕には思えないんですけど」


 誠はここで思い出した。かえでは真正のマゾヒストであることを。かえでにとってはリンにおもちゃにされることは長年の願望でしかない。そして、そこに誠までもが巻き込まれることはかえでにとっては最高のシチュエーションである。


「よかったわね、リンちゃん。ああ、かえでちゃんが同梱商品でついてくるならもう少し希望落札価格を高く設定するんだったわ」


 一人、アメリアはまったく反省の色を見せずにそう言い放った。

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