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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第二十九章 『将軍様』の去った後

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第153話 意味不明の報告書がどうなるのかについて

「それにしても……どんな報告書を出すんですかね?西園寺さんの話ではあの人の仕事が出来ない加減はものすごいらしいじゃないですか?そんなもの貰って上の人はうれしいんですかね?」


 誠のその一言で麗子が遊びに来たわけでは無く監査室長として監査に来たことを一同は思い出した。


「どうせ誰も見ねえ報告書だ。何が書いてあっても関係ねえよ。提出されたら、即ひもで綴って書類棚に入れておしまい。そんなもんだろ」


 かなめはそう言ってラム酒を口に運ぶ。


「そう?司法局は甲武軍とは違うわよ……一応、ああ見えて監査の書類とかはしっかり見られているわよ……まあ地下に幽閉されてる役立たずの報告書がそれに入るかどうかは知らないけど……目ぐらい通すんじゃない」


 特に関心が無いというようにアメリアはそう言うと残っていたもも肉に手を伸ばした。


「そうか?アイツの意味不明の文章を理解できる人間がこの宇宙に居ると思うか?アイツはアタシにアタシでも読める筆文字で和歌とか書いてよこすが大体意味不明で訳が分かんねえのばっかだぞ」


 開き直るかなめとたしなめるアメリア。カウラは完全に傍観を気取っていた。


「でもこれでよかったの?まあ、あの人が居たおかげでかなめちゃんは関白になれたんだからそれはそれでよかったんだけど、本来の監査の仕事はどうなったの?あんな人に仕事任せて大丈夫なの?」


 めんどくさそうにアメリアはそう言った。そんな横では響子が率先して空いた皿を片付けようとしているのをパーラが手伝っていた。


「これでよかったもなにもねえだろ。アイツの仕事は終わった。つまり、アタシ等があの下でお蔦といちゃついてる叔父貴から押しつけられた仕事も終わった。以上で終了。他に意味なんてねえ」


 かなめはそう言って苦笑いを浮かべた。


「まあ仕方がない。こればかりは西園寺の言う通りだ。これで任務完了。すべて問題はない」


 カウラはそう言って烏龍茶のグラスに残った氷をストローでかき回していた。


「そうなんですね」


 誠もまたただ起きた出来事に何もすることができずにそう言って笑った。


「じゃあ私達も帰るわよ……永遠のアラサーとしてはお肌のことも気になるし……」


 アメリアはそう言うと急いで立ち上がろうとした。いつも飲み過ぎる傾向のあるアメリアにしてはその足取りはしっかりしていた。


「永遠のアラサーって……でもオメエは便利だよな。二十年も戸籍上は三十歳じゃねえか……アタシはちゃんと戸籍通り二十八年前に生まれてるぞ」


 かなめは不服そうにそう言った。


「そうなんですか?それって戸籍の意味が……」


 誠は怪訝な表情でアメリアを見つめる。


「そりゃあ不老不死が闊歩している東和じゃ珍しいことじゃないわよ。それにもっとすごいのがうちにいるじゃない」


 アメリアは中腰のまま右手を挙げて誰もが思い出す珍妙な過去を語る幼女を思い出させた。


「ああ、クバルカ中佐ですね……あの人何年生きてるんです?」


 誠は外見が八歳、戸籍上三十四歳の副隊長のことを思い出した。そしてそう言うことには関心を持ちそうなカウラに目を向けた。


「私が知る訳が無いだろ。姐御の地球の昔話は地球では二メートルもあるデカいトンボが飛んでたとか、爬虫類なんて見たことがねえとか、ほとんど化石時代の話しかしねえんだ。そんな生き物が何年生きてようがアタシにゃ関係ねえ」


 同じく実年齢八歳、戸籍上の年齢二十五歳のカウラを頼った自分に誠は少し呆れていた。


「ああ行くぞ。小腹が減ったな……帰りにラーメンでも食ってかねえか?」


 かなめは飲む時はあまり食べない質なのでお腹が空いているらしくそんなことを口にした。


「サイボーグは太る……ことが無いから言うわけね、そんなこと。私は遠慮するわ。誠ちゃんは?」


 大食いの誠に気を使ってアメリアは誠に向けてそう言った。


「僕もいいです。結構深刻な話をしている時に話題について行けなくてひたすら食べてたんで」


 珍しく遠慮をするアメリアに誠もただ苦笑いを浮かべてカウラ達と一緒に立ち上がった。

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