表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第二十九章 『将軍様』の去った後

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

152/166

第152話 アメリアの部屋の秘密

「突然だな……まあ子供じゃ無いんだ自分で帰れるだろ」


 カウラはそう言って苦笑いを浮かべる。


「麗子はいつもそうだ……まあそんな奴に付き合うアタシもアタシだな。でもアイツが妻か……まあ、ホテルでやってることは変わらねえからそれでいいか」


 かなめはそう言いながら皿に残されたシシトウに手を伸ばした。


「かなめちゃんも勝手だけど麗子さんはそれ以上に勝手ね。飲み会は最後まで付き合う!それが常識じゃないの?」


 アメリアはいかにも不満そうにそう言ってネギまを口に運んだ。


「まあな、アイツはわがまま放題に育てられたから。すべて『徳川譜代』の連中が悪いんだ。オメエが本局でアイツに変なことされてもそん時はアタシじゃなくて『徳川譜代』の連中を恨め」


 かなめはそう言ってラムを飲んだ。


「貴様もわがまま放題に育てられたんじゃないのか?まず、日野を犬扱いしている時点でどうかしている。いくら姉だと言ってもそんな事をするのは犯罪者だ。たとえ、日野がそれを望んだとしてもそれは貴様がそのように日野を歪めたということだ。少しは反省しろ」


 カウラの問いにかなめは大きくため息をついた。


「アタシがわがままに育てられただ?アタシは結構お袋に気を使ってたんだぜ……それに家の居候と遊ぶのにもそれなりに配慮はしてたし……どこがわがまま放題なんだよ。言ってみろよ、その証拠を」


 かなめは明らかに動揺しながらそう言い返した。


「本当に?居候に関しては一方的に虐めてたんじゃないの?かえでちゃんみたいに。かえでちゃんは虐められて喜ぶから良いけどね。ねえ、かえでちゃん!」


 かなめの言葉にアメリアは食いついた。


「はい、僕にとってかなめお姉さまにぶたれたりけられたり裸にされて庭の木につるされるのは最高の喜びでした。今でもしてもらいたいくらいです」


 ドMの変態であるかえでは頬を赤らめながら妖艶な目つきでかなめを見つめた。


「私もかなめさんの家に始めて言った時に縄で縛られて首輪をつけられて全裸で庭に放り出されて笑顔を浮かべているかえでさんには驚きました」


 響子もまたかなめのかえでへのかえでが望むドメスティックバイオレンスの現場を目撃したらしく困惑した顔でそう言った。


「まあ、西園寺姉妹が変態なのは周知の事実として……それにしても田安麗子中佐……お高く留まってて疲れる人ね」


 アメリアはそう言って一同に笑いかけた。


「そうだな。アメリアはお高く留まってはいないからな。はっきり言う。貴様には夜中貴様が上げる変な声で何度起こされたことか……正直に言おう。貴様は下品だ。日野の文句を言う資格は貴様には無い。貴様こそ本当は西園寺に日野のように扱われることを望んでいるんじゃないか?立派な変態だな」


 カウラはエロゲの実演と称して夜中に変態行為に走るアメリアに向けて強くそう言った。


「なによ、カウラちゃん。私は疲れるって言いたいの?それにあれでも結構声は押さえてるつもりよ。カウラちゃんが眠りが浅すぎるのよ。今度、『パチンコ依存症』の治療の為に通ってるカウンセラーの人から心療内科でも紹介してもらって睡眠薬でも処方してもらえば?」


 アメリアはカウラの非難などどこ吹く風でビールを飲んでいた。


「アメリアがうるさいのはアタシも思ってた。アタシもあれくらいの声は出すが寮でするときは口に何かを噛んで声を出さないようにしてる。オメエもそれをやれ。神前を調教しようと思って買ってあったギャグボールが部屋にあるから、それをやる。今日からそれを使え」


 かなめは意味ありげに薄ら笑いを浮かべる。


「でもそれじゃあエロゲのエロさが再現できないじゃないの。声を出してスケベな声をあげるからエロゲは盛り上がるんじゃないの。ギャグボールなんかしてたらつまらないわ。かなめちゃんは勝手なことばかり」


 カウラとかなめにいじられてアメリアは不貞腐れた。


「それはオメエの趣味だろうが!なんでそんなことでアタシやカウラの睡眠時間が犠牲にならなきゃいけねえんだ!」


 アメリアの態度にキレたかなめが怒鳴り始めた。


「じゃあ、お金を払えばいいんでしょ!最近は売り上げが伸びてるから迷惑料くらい出してあげるわよ!それに今日大金が入るめどがついたし」


 アメリアが最後に行った事の意味に誠は首をかしげながら巻き込まれまいと黙ってビールを飲んでいた。


「かなめさん、かえでさん。楽しそうな職場ですのね。少し羨ましいですわ」


 響子はこの『特殊な部隊』の醸し出す独特な雰囲気を好意的に受け止めているようで、笑顔でそんなことを口にした。


「響子さんもそう思うかい?ここは最高の職場だよ。ただ、僕にとっては『許婚』である誠君と一緒に居られることが一番の幸せなんだけどね」


 二階に上がってきたお蔦の手からいつのまにかアメリアが注文していたビールのジョッキを受取りながら殿上貴族とは思えない気の利き方で立ち上がってそれを受け取った響子の顔には笑顔が浮かんでいた。


 誠もまた苦笑いを浮かべながらアメリアとかなめのやり取りを眺めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ