表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第二十六章 『将軍様』と焼鳥

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

129/166

第129話 かなめに意地でも子供を産ませようとする将軍様

「皇帝ですか……」


 誠にはそんな実感はなかった。皇帝と言う言葉は知っているがその存在に興味を持ったことすらなかった。ただここで部外者の麗子が居るから口には出来ないが嵯峨が現在の遼帝国皇帝献帝であることを思い出し。それほど皇帝と言うのは偉いものでは無いように誠には思えていた。


「そう言えば東和に来て『テレビ』というものを見る機会が増えて政治家が良く出てくるのですけれど、遼帝国の皇帝の姿を一度も見たことがございませんわ。なんで国家元首がテレビに出ないのですの?甲武の国家元首を代行する『関白』が不在だから出ないのは理解できますが、遼帝国の皇帝はいらっしゃるはずです。かなめさん、どうしてかご存じですの?妻ならば夫の問いに答える。それが当たり前の事では無くて?」


 麗子の言葉にかなめは失笑を浮かべた。誠も寮の食堂でニュースが付いていれば目を向けるが、そこには遼帝国の代表としてメガネをかけた硬そうな宰相が映し出されるのを見るだけだった。そこに遼帝国皇帝として現れた嵯峨の間抜け面が出てきたことは一度としてなかった。


「あのなあ、遼の皇帝は代々写真を撮ったらいけない決まりなんだ……御簾の後ろで控えてるだけ。一部の側近しか顔を見たことが無い。だから当然テレビなんかにゃ映らねえし、写真も公開されてねえ。オメエそんなことも知らねえのか?」


 かなめの言葉に誠は首をひねった。


「そんなんでよく政治とかできますよね……側近だけって……他にもお手伝いさんとか色々いるんじゃないですか?」


 誠は不思議に思ってかなめにそう尋ねた。


「政治なんて政治家がやればいいんだ。遼の皇帝の仕事は餓鬼を作ること……ああ、神前は童貞だったな。じゃあ、皇帝にはなれねえ。残念だったな」


 かなめはあざ笑うようにそう言った。


「名門は子をなしてこそ意味がある。ですのでかなめさん。早く祝言を上げて互いの子を産みましょう。それも妻としての役目です。私もその時は西園寺家の嫁として西園寺家の立派な跡取り娘を産むつもりですわよ」


 一人だけ新しいビールのジョッキをお蔦から受け取りながら麗子が叫んだ。


「だから!オメエの子供をなんでアタシが産まなきゃならねえんだ?そんなもん自分で二人産めばいいだろうが!確かにアタシは最高級の義体を使ってるから餓鬼も産めるがオメエの馬鹿な餓鬼は産みたくねえ!そんなもん遺伝子操作でアタシの細胞から作った卵子をオメエにくれてやるから。それをオメエがなんとかしろ。オメエは生身だからアタシの子を産める。それで十分だ」


 かなめは怒りの表情で麗子をにらみつけながらそう叫んだ。


「まー!なんてことをおっしゃるのでしょうか?この妻は。愛するものと同時に孕み、愛するる者とその喜びを分かち合い、愛し合いながら産む。それが夫婦というものでは無くって?」


 麗子は明らかに怒りに打ち震えながらそう叫んだ。


「それは女同士の特殊な夫婦ならではの話だ。男は子供は産まない」


 必死に食い下がる麗子に向けてカウラが死刑宣告のようにそう言い放った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ