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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第二十四章 『将軍様』となじみの店

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第123話 貴族制国家甲武における『官位』

「確かにアタシは検非違使の別当だからよ……右大臣の麗子が上座ってのは仕方ねえか。馬鹿の下座ってのは気分が悪いがな」


 かなめは不機嫌そうにそう言いながら明らかに嫌そうな顔をしている麗子にこれ見よがしにタバコを吸って見せた。


「かなめさんも『殿上会』に出れば良いのに……そうすれば関白太政大臣。私は右大臣ですから私の上座に座れましてよ。そして祝言をあげる。夫は征夷大将軍。妻は関白太政大臣。これ以上の夫婦はこの宇宙に存在しないのではなくって?」


 麗子はそう言って笑みを浮かべた。


「じゃあ西園寺さんが上座の方が……」


 気を利かせた誠の言葉に麗子はすぐさま反応する。


「かなめさんは検非違使の別当。私は右大臣。ものの上下と言うものがありますわ!それに私が夫!かなめさんは私の妻!ものには上下というものが有ります!」


 そう言って麗子は当然のように上座に座った。


「祝言だ?寝言は寝てから言え。オメエはアタシの都合のいい女の一人。それ以上でもそれ以下でもねえ」


 かなめはまるでかえでが言い出しそうな台詞を吐きながら悠然とタバコをくゆらせた。


「まあ、照れるのもいい加減におよしになられてはいかが?かなめさんの私への愛は常に感じておりますのよ。それにいつまでも『殿上会』に出ないというのは感心しませんわね。それに簡易云々の話をするならそれに出ていないかなめさんに文句を言う筋合いはありませんわ……いつまで太政大臣を空位にしてらっしゃいますの……かなめさんの父君が貴族を辞めてから色々と面倒なことばかり……わがままもいい加減にしないと駄目ですわよ。これ以上夫に恥をかかせて妻としての責務を果たせていないのではなくて?」


 上座でそう笑いかける麗子にかなめはあきれ果てたというようにため息をついた。


「しかし、麗子が右大臣か……世の中終わりだな。甲武はだからいつまでたっても貧しいんだ」


 かなめははるか遠くを見るような目をして口から煙を吐いた。


「右大臣てなんです?」


 誠は感慨深げなかなめにそうつぶやいた。


「甲武の貴族は官位で給料が決まるんだ。アタシは検非違使の別当。東和で言う警視総監だな……まあ、実際は警視総監は別にいてアタシがそいつにアタシの代わりにその職を与えてやっている訳だが」


 かなめはさも当たり前のようにそう言った。


「警視総監!凄いじゃないですか!あの茜さんだってまだ警部ですよ!その何階級上に当たるんですか!」


 かなめの何気ない言葉に誠は思わずツッコんだ。


「警視総監ねえ……かなめちゃんは捕まえる側じゃなくて捕まる側じゃない」


 アメリアはポツリとそうつぶやいた。


「なんだって!アメリア!ちゃんと聞こえてんぞ!」


 アメリアのつぶやきにかなめが思わずそう食いついた。


「しかし……貴様は甲武の警視総監の仕事はしていない。そうすると今は誰がその代理を務めているんだ?」


 カウラは冷静にそうつぶやく。


「名前はアタシが任命したから知ってるが顔も知らねえ奴……甲武の官位はあくまで給料を決める基準みたいなもんだからな……まあ官位の無い下級貴族や士族、平民についちゃあアタシも知らねえがな」


 かなめはそう言うと黙ってお通しを持って二階に上がってきた小夏から春菊の胡麻和えを受取った。


ていた。

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