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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第二十四章 『将軍様』となじみの店

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第122話 脳内崩壊した運転手の常識人

 月島屋の二階はこじんまりとして気取った雰囲気ではない。こぎれいな座布団の敷かれた座敷で誠達はそれぞれどこに座るべきかと思案しながら立っていた。


「パーラは安全運転だからな……待つか」


 そう言ってかなめは奥の上座に座った。


「そこは上座よ。私が座るわ。あの人の相手はかなめちゃんには無理そうだもの。カッとなって銃を抜かれたら私の責任問題だもの」


 アメリアは座ってタバコを取り出したかなめをにらみつける。


「まあそうだな……オメエは中佐だし。部長だし、年上だし」


 珍しくかなめは反論することもなくその隣に移った。


「珍しいですね……西園寺さんが何も言わずにアメリアさんに場所を譲るなんて」


 誠は普段ならアメリアの言うことには絶対逆らうかなめが素直に言うことをいう光景に驚きながらそう言った。


「甲武は身分制の国だからな……地が出たんだろ」


 ぽつりとカウラが棘のある口調でそう言った。


「カウラ聞こえてんぞ!アタシは麗子と関わりあいになりたくねえだけだ!」


 カウラの苦笑いにかなめはそう言って反論する。


「着きました!」


 最初に二階に上がってきたのはパーラだった。


「まだですか?」


 まだお通しも来ていない状況にパーラは苦笑いを浮かべながら入り口近くに座った。


「どうしたんだよ……オメエも運用艦の副長なんだ。もっと堂々としたらどうだ?」


 かなめの指摘にパーラは照れ笑いを浮かべた。


「あのお姫様の話を聞いてたらそんな気分にはなれなくて……というかあの人よく軍に入れたのかというくらいの頭の悪さよ。話を聞いてて運転している自分が何処にいるのかこんがらがってくるような論理を展開して……最終的には『気に入ったので私の側室になりなさいな』とか言い出して。いくら人造人間相手でも言って良いことと悪いことが有るわよ」


 明らかにパーラは麗子の事を嫌っているのがまるわかりなのが誠にも良く分かった。


「誰がお姫様ですの?」


 パーラの言葉を聞いていたのか、麗子は大きな態度でそこに現れた。すっかり金髪縦ロールのウィッグが板についているところに誠は麗子の底知れないところだと思った。


「オメエは本当にいいタイミングで現れるな」


 かなめは麗子の登場のあまりのタイミングの良さに半分呆れながらそうつぶやいた。


「それは誉め言葉ですわね。妻として夫を立てる見本のような言葉ですわ。良いでしょう、上座はそこですわね」


 麗子はそのまま迷いもせずにアメリアの隣に空いていた一番奥の上座に座った。全員がそのあまりに自然な態度に呆れている。一人自分の席を取られたかなめは不服そうにタバコに火をつけて部屋の隅に座り込んだ。

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