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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第二十四章 『将軍様』となじみの店

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第120話 災難に遭う運転手扱いの常識人

「あれよ……麗子さんの自慢話に上手いことパーラが合わせてくれるから……パーラはそう言う星の下に作られた人造人間なのよ。そう言う生まれ持っての器用さがつい何でも頼みたくなっちゃうのよね」


 アメリアはパーラをまるで便利な使用人程度にしか考えていないようにそう言った。


「アメリアさんも酷い言いようですね。パーラさんが可哀そうですよ」


 助手席のアメリアの身もふたもない一言に誠はただ苦笑いを浮かべるだけだった。


「でも……パーラさんと田安中佐。あの二人に共通点って無いですよね。そう言えばパーラさんの趣味って何なんですか?僕がパーラさんと話そうとすると必ずアメリアさんが邪魔に入るんで聴けていないんですけど」


 誠はよく考えてみればアメリアに『境遇が似ているから愛し合う可能性がある女子が二人いるからそいつとの接触は絶対に自分が邪魔する』と隊に入る時に言われたことを思い出しながらそんなことを口にした。


「アイツが好きなのは旅行だな……ははーん。アタシ等を差し置いて今度はパーラに手を出そうって魂胆か?しかし残念だな。オメエの『もんじゃ焼き製造マシン』と呼ばれる乗り物酔い体質じゃ旅行になんか行けるわけがねえもんな。はい、これでパーラのフラグは折れた訳だ」


 かなめはそう言いながらにやりと笑う。


「西園寺さん酷いですよ!最近は僕も電車の度なら出来るようになったんですよ!それに少なくとも皆さんより人間として扱ってくれるパーラさんの方がマシです」


 誠は車内の女性陣に聞こえないように小声でそうつぶやいた。


「まあ、麗子も旅行はすきだからな。当然、大名旅行。お付きの者を百人とか連れて旅行に行くのが好きなんだ。あんなに人を一杯連れて旅行に行って何が楽しいんだ?アタシにゃ理解できないね」


 かなめは旅行をしているという話はあまり誠も聞いたことが無いのでその話には妙に説得力があった。


「それはかなめちゃんが友達がいないからでしょ?夫婦なんだからハネムーンに二人っきりでどこか行ったら?その間に私が誠ちゃんをおいしくいただくつもりだから」


 アメリアは満面の笑みでそうつぶやいた。


「なんでそんなもんにいかなきゃなんねえんだよ!アタシはそもそも必要がねえ所には行かねえ主義なの!アイツと旅行?虫唾が走るわ!」


 かなめは相変わらず麗子の話題は苦手なようで、そう言うと外に視線を移した。


「まあな、どこにでも銃を持って行く女は出来るだけこの街から出ない方が世の中の為だ。駅に着くたびに警察を呼ばれて事情聴取を受けることになる。そもそも西園寺には旅行など無理な話だ。神前の乗り物酔いの方がまだマシだ」


 工場の連絡道路に車を走らせながらカウラがつぶやく。


「良いんだよ。アイツの話なんて聞かなくっても……どうせ月島屋でさんざんアイツの意味不明の自慢話に付き合わされる予定なんだから」


 吐き捨てるようにそう言うとかなめは助手席からコンソールのオーディオをいじってかなめお気に入りの中島みゆきの『ファイト』を流し始めた。

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