表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第二十二章 追い出される『将軍様』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

108/166

第108話 帰って来た身勝手姫の『婚約宣言』

「ああ、やっぱヤニはうめえや。麗子の馬鹿に付き合うとすぐニコチン切れでこっちまで馬鹿になる」


 そんなところに帰って来たのはかなめだった。どこかすっきりした調子で機嫌よく自分の席に座って周りを見回す。


「どうした?何話してた?アタシに言えないようなことか?どうせ下らねえ話だろ。まあ、アタシも覚悟は決めたから」


 そう言うとかなめは満面の笑みを浮かべた。


「かなめちゃんの覚悟?あの馬鹿将軍の嫁になるってこと?おめでとう、祝福してあげるわ。で、結婚式は何時になるの?」


 アメリアは厭味ったらしくかなめに向けてそう言った。それに対してかなめは殺意を込めた視線をアメリアに向ける。


「おい、なんでアタシがアイツの嫁にならなきゃなんねえんだよ!アイツはアタシの都合のいい女以上の存在じゃねえ!おい!神前!オメエは今日からアタシの『婚約者』だ!これ決定な、変更や異論は認めてねえから」


 かなめの一言にその場の全員が凍り付いた。


「あのー……西園寺さん。『婚約者』って言葉の意味わかってます?理解して言ってます?僕の理解では僕と西園寺さんはどう考えても『婚約者』にはならないと思うんですけど……というか異論は認めないんですか?西園寺さんは僕を何だと思ってるんですか?そんな便利な道具か何かみたいな扱いはさすがの僕でも怒りますよ?」


 誠はかなめに即座に射殺される恐怖に耐えながらそう言ってみた。


「神前、いつからそんな偉い口が聞けるような身分になったんだ?『婚約者』の意味くらいアタシだって知ってるぞ。結婚を誓い合った男と女。それが『婚約者』だ。オメエは男。アタシは女。だったら婚約くらいできるだろ?何か問題でもあるのか?あるなら言ってみろ、聞いてやるから」


 いかにも誠も喜ぶだろうというように満面の笑みを浮かべるかなめの言葉に誠は頭を抱えた。


「それはそうなんですけどね。確かに西園寺さんの言う通り結婚を誓い合った人がする事です。でも婚約には双方の同意が必要な訳であって……」


 誠は半分諦め口調でそう切り出そうとした。


「双方の合意だ?最高の身分の最高の女であるアタシが決めたんだ。それをオメエが断る訳がねえよな?どうだ、オメエもうれしいだろ?じゃあ、オメエも同意してるって意味じゃねえか。お互いが同意しているそして結婚をしようとしている。立派な『婚約者』だ。何か間違いがあるなら言ってみろ。アタシは心が広いんだ。聞いてやるから。ほら言ってみ?何か問題があるなら言ってみ?」


 誠はかえでに言われた『許婚』以来の衝撃にただ呆れてぼんやりと笑うかなめを見つめるだけだった。


「かなめちゃん無茶苦茶!それじゃあいつもかえでちゃんが『許婚』って言ってるのと大して変わらないじゃないの!というか親の同意が無いということはよりかなめちゃんの方が勝手!誠ちゃん、嫌って言いなさいよ!」


 アメリアはランの席から立ちあがるとつかつかと誠の席まで歩み寄ってきて誠に迫った。


「えーと、西園寺さんの申し出は大変うれしいんですけど……僕はまだ『結婚』とか考えて無いんで」


 気弱な誠には身勝手で思う通りに進まないと何をしてくるか分からないかなめにそう言うのが精いっぱいだった。


「だから、結婚は先で良いって言ってるだろ?だから『婚約者』だ。アタシもアタシなりにオメエに気を使ってやったんだ。これでアタシは『婚約者』の居る身分になった。だから麗子の馬鹿の妻じゃねえ。そう言うことですべてが丸く収まる。良かったな」


 この場に居るかなめ以外の全員が『少しもよくねえよ!』と突っ込みたい衝動に駆られていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ