第105話 すべての元凶『甲武の鬼姫』
「分かったよ!オメエ等を当てにしたアタシが馬鹿だった!今日アイツにはっきり言う!アイツが理解できるかどうかわからねえが『オメエとは遊びなんだ』ってな!」
かなめはやけになってそう叫ぶとそのまま席を立って出て行った。
「西園寺……いや、なんでもない。貴様に人間の倫理観を期待した私が馬鹿だったということだ。それにしても、西園寺家の娘二人は絶対におかしいぞ。というか、西園寺がおかしい。日野をおかしくした原因も西園寺だ。アイツが日野を調教しておかしくした。結果、日野はマゾの露出狂の女狂いになった。西園寺がすべての責任をとればそれで良いんだ。そもそもそんな教育をしたのは誰だ?あの『平民宰相』と呼ばれる人格者として知られる西園寺義基氏がそう育てたとは到底思えない。となると貴様が恐れる『甲武の鬼姫』と呼ばれる西園寺康子女史か?ああ、あの人なら考えられるな。あの人に鍛えられたという隊長はあんな人格になっている。貴様の人格がかなり壊れているのも当然の成り行きか」
カウラはそう言うと再び画面のパチンコの台に目を移した。
「まあ人から『鬼姫』なんて呼ばれている時点で普通の人間の心なんて期待するだけ無駄なんじゃないの?それにしてもこんな姉妹は宇宙のどこを探しても居ないでしょうね。それよりかなめちゃんの存在自体が相当アレよね。近親相姦はなんのその、同性であろうが関係ない。相手の趣味も考えずに縛って鞭打つ。かなめちゃんはいつもかえでちゃんやリンちゃんを変態呼ばわりしてるけどその原因を作ったのは全部かなめちゃんじゃないの。責任は全部あの子が取るべきよ」
アメリアはのんびりとココアを飲みながらそう言った。
「でも……西園寺さんは悪い人じゃないですよ……いやいい人じゃないのは認めざるを得ませんが……良い人じゃないってことを認めるってことは悪い人だっていうこと?なんだか頭が混乱してきた……でもとりあえず僕を守ってくれてるんで悪い人だとは思いたくないです」
フォローのつもりでそう言った誠にカウラ、アメリア、アンの鋭い視線が突き刺さった。
「神前、本気で言ってるのか?それとも貴様はマゾなのか?ならば西園寺が言うように貴様は西園寺の奴隷としてこれから先の生涯を過ごせ。そしてその快楽のおもちゃとして一生を終えろ。貴様の言葉から推測すると貴様は深層心理ではそう思っているようだ。私はあきれ果てた。折角救いの手を差し伸べてやった男の真の願いがそんなところにあったとは……」
カウラの怒りに満ちた視線に誠は耐えきれずに目を逸らした。




