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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第二十一章 売り買いの対象となったヒーロー

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第101話 『愛はお金では買えない』と言いつつオークション終了

「それじゃあ、僕はそんなお金出せないんで降ります。僕は女性型義体を手に入れるために貯金しているんです。そんな無駄遣いは出来ません」


 アンはかなめの席にスポーツ飲料を置きながらそう言った。


「アン!お前も僕を買うつもりだったのか!というかお前には彼氏がいるだろ!それと女性型義体だ?ついに性転換まで考えてたのか?アン……いや、もうその話は止めよう。疲れて来るだけだ」


 誠は『男の娘』であるアンがこの誠のセリに参加する気満々だったという事実に絶望していた。


「確かに彼は普通の人より大きいですが、神前先輩のアレは……あの大きさはこれまで僕が見たこともないほど魅力的なので」


 そう言って頬を赤らめるアンを無視してかなめは三本の指を立てた。


「じゃあ、15億だ。カウラ。これでアタシの勝ちだな!」


 かなめは勝ち誇った笑みを浮かべてカウラを見つめる。


「ここにきてかなめちゃんが15億を提示!いや、すぐに張り合って15億1000万で入札してきた人がいるわよ。このアカウントよく見るけど……確か地球人のはずよね。地球のお金持ちってところかしら?私の宣伝文句は地球人にも受けるのね……でもすぐに15億2000万の入札……たぶんこれも地球人ね。まあ、いいでしょうこのまま希望落札価格まで行くかどうか見ものだわ」


 アメリアは相変わらずネットオークションの画面を見つめていたが、突然誠に迫るかなめに向けて顔を上げた。


「でも、かなめちゃん。このセリには重要なセリ人が足りないんじゃないの?」


 アメリアは誠をめぐるセリから降りてそう言った。その言葉にかなめは明らかに嫌な顔をして誠から顔を話してそのまま後ずさった。


「そうだな、金で神前を自由にできると言う話なら日野と渡辺がそんな話に乗らないはずがない。あの二人なら10億や20億の金は易々と用意するだろう。私も15億は用意できない。だが、このセリにはあの二人が参加しないと意味が無い。あの二人ならその程度の金は貴様同様はした金だ。西園寺。貴様は神前を安く買いたたこうとしているだけなんじゃないのか?貴族貴族というが貴様は結構ケチなんだな。菰田と一緒だ」


 誠は自分がほとんど鮮魚市場の巨大マグロのような状態で値段を釣り上げる対象になっている事実に気付いて愕然としていた。


「カウラ!菰田と一緒にするのだけはやめてくれ!あのメタボと同類と思われるのはアタシのプライドに関わる!そうだな。渡辺でもアイツの所領から考えると100億は出すだろう……かえでは……アイツはいくら出すか分からんぞ。アイツの叔父貴から引き継いだ嵯峨家の所領の収入はアタシより多い。やっぱり『金で愛は買えないんだな』……この話は無しだな」


 言い出しっぺであるかなめは勝ち目のないライバルの存在を確認して前言を撤回して再び銃を磨く作業に戻った。


「と言ってるところに希望落札価格で入札者登場でオークション終了!へー、意外な人が落としたものね。早速連絡を入れてみましょう。オークションの掲示板なんて時間がかかるだけだから直接メールで交渉すれば前金くらいはすぐに用意してくれるでしょうし」


 アメリアのその言葉に誠は誠の所有物のなかで相当高価なものがアメリアによって勝手に出品され、明らかにアメリアの知り合いの誰かに落札されたらしいことを理解した。


『アメリアさん、さっき15億とかとんでもない金額の話をしてたな……本当に何を売る気なんだ?僕の持ってるものでそんな価値のある者は……『賊将の剣』か?アレは遼帝国の国宝で隊長から預かってるものだぞ。後で問題になっても知りませんからね』


 誠は自分の持ち物でそんな値の付くものは嵯峨から託された誠の法術『光の剣』を活かすことが出来る剣である『賊将の剣』と呼ばれる名剣以外思いつかなかったが、その剣は正確には誠の持ち物とは言えなかったので何とかアメリアを説得しようと口を開こうとしたが、携帯端末の操作に夢中なアメリアには何を言っても無駄なので諦めた。

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