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【完結】名も無き民の戦国時代~現代知識を使って内政チートで数ある戦国英雄に無双する~  作者: のらしろ


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大砲の命中精度

 この話は、おかげさまでたくさんの方に読んで頂いております。

 感想なのでメッセージも多数頂いており、大変感謝しております。

 今回の話は、頂いたメッセージの中から、鉄砲や大砲の命中精度についてのアイデアをそのまま使わせて頂きました。

 

 では、本文をお楽しみください。

 とりあえず、賢島の港の近くに仮小屋を建てて、そこに滞在することにした。

 九鬼様あたりからは、再三にわたり、建設中の城のそばにある屋敷に住むように言われていたが、そこはこの地を治める大名の九鬼様に住んでもらい、俺は自分たちで建てた小屋に住んだ。

 俺の住む小屋は少し広めに作ってあるので、ここにいつものメンバーである張さん、珊さん、葵、幸に加え、俺の情報担当官になりつつある丹波少年も同居することになった。


 この島について数日過ごしていたら、雑賀崎から船で、雑賀孫一氏が訪ねてきた。

 今では俺たちの仲間が、三蔵村と堺との間に定期的に商いのために船を出している。

 その途中にある、ここ賢島と雑賀崎にも寄るようにしてもらっているので、割と頻繁に雑賀党とは連絡を取り合っていた。


 その定期船に乗って孫一氏が配下数人を連れての訪問であった。

 まだ城が完成していないので、この島で一番立派な屋敷である九鬼様の家でもてなそうと考えていたところ、たまたま来ていた藤林様に止められた。

 あの屋敷は、すでにこのあたりの公的な場所となっており、いろんな人たちが出入りしている。

 となると、当然、敵勢力からの人や、敵と(よしみ)を交わしている人たちもかなりの数が出入りしていると考えたほうがよく、雑賀党との会合は俺の屋敷の方が安全だとか。

 とにかく、俺らと雑賀党との友好関係がこれ以上世間に知れ渡るのは防いだほうがよさそうとの判断から、港のすぐそばにある俺の屋敷で対面した。


 今回の訪問は、これといった懸案事項がなく、ただの表敬訪問というか、ここ賢島の様子見と、今後の北畠との抗争の確認が目的だった。

 直ぐに孫一氏の目的は達成され、当然お客様をもてなす宴会が始まった。

 お連れの雑賀党の人たちも同席して、派手な宴会となるのは当然の流れだ。

 お酒がだいぶ入ってきた頃に孫一氏が俺に聞いてきた。


 「空殿、次の戦でも、あの大砲とやらを使うおつもりなのですか。」

 「そのつもりなんですけれど、先の戦で、ほとんど弾を使い切ったので、補充しないと使えないんですよ。

 堺あたりで買い付けないと宝の持ち腐れになってしまいますね。」

 「我々は、自分たちで弾薬は用意していますよ。

 流石に硝石ばかりは南蛮商人からの商いで入手せざるを得えないですが、弾は自分たちで作っています。

 空殿も作ってみたらどうでしょうか。

 なんなら、我々も協力しますよ。

 火薬は同じものを使えるのでしょう。」

 「そうなんですよ。

 同じ火薬で全く問題はありませんが、問題は弾の方なんですよ。

 あれ、かなり大きくて重かったですからね、自分たちで作りたいのもやまやまですが、あの大きさだと鍛冶師の力を借りないと作れそうにないのです。

 しかし、我々の中に鍛冶師がいないのが悩みなんですよね。

 でも、雑賀党の協力が得られれば作れそうですね。

 ここでやってみますか。

 念の為に、堺での買い付けもしますが、ここに鍛冶場を作りますので、人の協力をお願いできませんか。」

 それを聞いていた雑賀党の一人が、既にかなりお酒が入っていてかなり酔ってはいたが、大砲について意見を言ってきた。

 

 「空殿~~、あの大砲をまた使うんですか~~~。

 あれ、ダメですよ。

 使えませんから。」

 俺は思わず彼に聞き返してしまった。

 「へ? どういうことなの??」

 「あれ、(まと)に全然当たらないんですよ。

 狙ったところに飛びやしない。

 うちの若い連中だって、目をつぶって撃っても、あの大砲よりはましな結果になりやすよ。

 あの時の(いくさ)は、的がでかかったから多少は当たりましたが、船から撃った弾で当たったのなんかたったの1発ですよ、1発。

 確かに1発当たれば威力はでかいから捨てがたいのはわかりますが、今度の戦は動く人が(まと)なんでしょ。

 当たりっこないですよ。

 我々の鉄砲隊ですら、動く人に対して当てるのは難しいのに、あの命中率の大砲では当たりませんよ。

 重いのを戦場に持っていくだけ無駄のような気がしますね~~。」

 「へ~~~、そ~なんですか、孫一様」

 「確かに、あの大砲は狙いをつけるのが難しいですね。

 城を狙ったものでも、(はず)すやつがあったくらいですから、(くじ)でも引くつもりで使わないと大怪我をしますね。」

 「でも、大砲の威力がなくて、多勢に勝つには難しいですよね。

 どこかに敵を誘い込んでから、鉄砲と大砲を使って、敵を一挙に排除したかったのですが、槍や刀を使った戦では、たとえ勝ったにしろ被害がでかすぎますしね。

 その場合には戦力の大きいほうが有利ですしね…どうしたものかな。」


 う~~~む、そのあとの宴会中、俺は考えていたが、回答が見つからない。

 宴会も終わろうかという頃になって、俺は孫一氏に、聞いてみた。

 「先程、自分たちで弾を作れるように協力してくれると言って下さりましたよね。

 鍛冶師をこちらに派遣してくださるという理解で間違いありませんか。」

 「うちの鍛冶の中から、若い腕の立つやつを数人次の船で寄こすから自由に使ってくれ。

 で、空殿はどうするつもりなのだ。」

 「どうせ自分たちで作るのならば、弾も工夫をしてみようかと思っています。

 もう少し命中率を上げないと、戦には使えそうにありませんから。

 たとえ主力が鉄砲でも、大砲のあの迫力は捨てがたいですから、戦では使いましょう。

 もう少し命中率が上がれば、たとえ虚仮威(こけおど)しでもどうにか使えますから。」

 「分かった、それじゃ、試し打ちも沢山しないといけないな。

 よし、次の船で火薬も1樽進呈しよう。

 でも、うまくいったら成果を分けてくれ。」

 「何言っているのですか、その成果をモノにするのは雑賀党の鍛冶師ですよ。

 尤もうまくいけばの話ですからね。

 では、最初の予定通りに、弾は堺で買い付けましょう。

 ここでは、弾を作るよりも弾の改良をしてみます。」


 昼間の話し合いよりも宴会での話の方が重要だったような気がしたが、雑賀党との宴会も無事終わり、次の堺行きの船で帰っていった。


 数日後、本当に約束通り、堺からの船でたくさんの道具を抱えた若い鍛冶師のふたりが俺の屋敷を訪ねてきた。

 既に彼らの住居は俺の屋敷の横に用意してあり、今は、作業小屋の建設中だった。

 俺は、その日から、大砲を使って彼ら鍛冶師と現状の確認のために残った弾を的に向けて撃っていた。

 確かに酷い。

 これじゃ~、実際に鉄砲を撃っていた人たちからは嫌われるな。


 しかし、どうしたのものかな…

 現代の大砲だと、ライフリングを刻んで弾に横方向に回転をつけて真っ直ぐに飛ぶようにしていたんだよな。

 俺は武器や軍関係には詳しくはなかったのだが、好きなラノベに色々と書いてあったのを思い出した。

 でも、魔法でもない限り、旋盤もボール盤もないこの時代にライフリングなど無理ゲー以外にないな。

 下手に加工しようものなら今以上にまっすぐに飛ばないぞ。

 弾詰まりをおこして爆発なんかもありそうだし、ライフリングのアイデアは封印するとして、どうしたものかな…

 と、俺は辺をウロウロとあてもなく歩き出した。

 ウロウロ、ウロウロ。

 それを見ていた葵は、

 「空さん、いい加減うっとうしいんだけれど、少し落ち着きませんか。」

 と文句を言われる始末だ。

 でも、現代の知識があっても技能も道具も何もないこの時代ではちっとも役に立たない。

 現代知識なんか周りが追いついてなければほとんど使えないなとこの時しみじみに感じた。


 「あら、空さん、なにか落ちましたよ。」

 と張さんが、俺の落とした紙切れを拾って俺に手渡してくれた


 俺、こんなの持っていなかったけれど、なになに……フムフム……

 『そ~~か~~~、そうすればいいのか!

 試すだけの価値はあるな。

 よ~~し、やってみよう』

 俺はメモを読んで奇声をあげて喜んだ。

 「何なのですか、それ、なにか書いてあるようですけれど。」

 「お告げだよ、お告げ。

 お客様は神様のあれだよ。

 読者という神様に近い方たちからの暖かなお告げがあった。

 そのままアイデアを貰おう。」


 ということで、俺らは早速試作品の製造にかかった。

 ライフリングなど無くともまっすぐに飛ばす方法があった。

 ショットガンの(たま)の一種でスラッグ弾といのがあるがそれを応用しよう。

 弾の形状を工夫して、進行方向前側に重心が来るような形状で、後ろは、中空にしておけばより前にまっすぐに進むようになる。

 バトミントンのシャトルや羽根付きの羽を想像してみればイメージが湧くだろう。

 頭を少し尖らせて、後ろ側には、風を切って回転するように斜めに溝をつけての構造にしてみた。


 懸案であった命中精度が格段に向上した。

 これは使える。俺たちは大喜びで叫んでいた。


 「空殿、これは凄いことになりますね。

 この形状を小さくすれば鉄砲でも使えそうですしね。

 この形状だと鉄砲では、中空の部分に火薬を詰めれば、それだけで早合にもなりそうですし、いいことずくめですね。

 後で、試しに鉄砲の方で早合に転用できないか、作ってみます。

 で、この弾に名前を付けませんか。」

 「へ?名前…何でもスラッグ弾と言う名前だそうだよ。」

 「へ???す…ぐ…??ですか。

 よくわかりませんのでもう一度お名前をお願いできますか。」

 こんな感じで、すったもんだがあり、我々の間では笥弾(すだま)と呼ばれるようになった。



~~~~~蛇足~~~~~~

 歴史が幾年と過ぎ、戦国の時代が200年も昔のことと語り継がれるようになった頃に三重県のある郷土史家が一冊の研究レポートを発行した。

 その中の一節で、面白いことが書かれていた。

 この地での善政を敷いていた九鬼嘉隆は、この地で長く伝えられていた謎の集団である三蔵の衆との協力を得て、志摩一国から始まって、直ぐに伊勢の全土を攻略に成功した。

 その原動力となったのが、九鬼嘉隆が早くから使っていた大砲である。

 しかし、この時代の大砲は遠くヨーロッパで作られており、そのヨーロッパでも大砲の命中精度はひどいものであった。

 謎の集団である三蔵の衆たちは独自の改良を重ね、飛躍的に命中精度を上げることに成功した。

 彼らは、命中精度の高い(たま)の名前を笥弾(すだま)と呼んでいたが、そのいわれは未だ不明である。

 笥弾の構造は今で言うスラッグ弾に非常に近い構造であることも知られているが、スラッグ弾が生まれたのははるかに後の世であることからスラッグ弾のスから取られた名前であるとする一部の歴史家の意見は直ぐに否定されており、謎のままであった。

 開発の経緯も不明なのだが、地元では羽子板に使われる羽からヒントを得たのではないかとも言われているが、その羽子板で遊ぶ風習が戦国時代にあったか怪しいものである。

 一部には、謎の集団を率いていた空という人物(今では実在が否定されている)が神の啓示を得て作ったとも言われており、とにかく謎の多い集団である。

 しかし、九鬼の流れを汲む人たちによって、この地は戦国時代の戦乱による混乱から無縁の存在であり、戦によって逃げ場を失った多くの人達を手厚く保護していった。

 三蔵の衆という謎は未だ解けてはおらず、歴史の定説では存在すら否定されているが、地元の一歴史研究者としては、先祖の感謝の意味も込めて、謎の集団が広く人々を救ったと考えてもロマンがあっていいのではないか。

 なので、自分は三蔵の衆もそのリーダーたる空の両方の存在を信じていると結んであった。


 拙い文章をお読み頂きありがとうございます。

 本文はいかがだったでしょうか。

 お楽しみ頂けていたら幸いです。

 

 ふざけすぎとのご意見もあるかもしれませんが、1回くらいは見逃してください。

 次回からは、いよいよ北畠との抗争が始まります。(予定です)

 次回以降もお楽しみください。


 ブックマークや感想は作者に取って大変励みになっております。

 面白いとか、よしこの作者を応援してやろうというような奇特な方がおありでしたら、是非にお願いします。


 なお、文中の表現には十分に気をつけておりますが、気になることがおありでしたらご連絡ください。

 また、誤字、脱字や誤った表現等(これが私の文には大変多いのですが…済みませんm(_)m)ご指摘ください。

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― 新着の感想 ―
[一言] ここの蛇足で後世で空の実在は否定されてる云々含め今後の空の展開がある程度提示されてしまってガッカリ感が強い…。 この作品をこの先読んでいって、空がどう動いてどう世界に関わり影響を与えていく…
感想一覧
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