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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-4 錬金術師試験と今後の計画
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半吸血鬼 メア・シュヴァリエ

 メアさんを、俺が衛兵の取り調べを受けている間、カミナに任せる事にした。詰所の個室にそのまま二人は向かった。


【カミナ・メアside】


「メアと言ったな、小娘」


「……はい」


「仮にも吸血鬼なら、あの程度問題なく倒せたのではないか?」


「……(フルフル)」


 メアは顔を伏せ、否定するように頭を横に振る。


「何か問題があるのか?」


「…まだ、吸血を…していないから…魔力の制御が…出来ない…です」


「それは、 質が高すぎるのか、放出量が多すぎるのか、どっちだ?」


「…両方です」


「ふぅ……まるで爆弾だな、質が高すぎる上に放出量が多いのか…下手に操作するのも難しいな……普段はどうしているのだ?」


「…夜に…なれば、吸血鬼の力…も強まる…から、その間に…制御訓練…してます」


「今まで血はどうしていたのだ?半吸血鬼とは言え、飲まねばならん日があった筈だが?」


「ママの血を…少しだけ…貰ってました…」


 半吸血鬼の吸血には本能的な行動以外に、魔力の流れを安定化をする意味がある。

 しかし、適応血液でなければ、効果は薄い。

 吸血衝動は、6歳ならば既に始まっている頃だ。


「……吸血はどれほど吸えば良いんだ?」


「…多分、1日一口吸えば……足りると、思う……」


「ならば、ルークに頼むか?」


 カミナは静かに、メアに尋ねた。


「(フルフル)……嫌われたくない」


【ルークside】


「確認が取れました。やはり、ノード家と同じ様な事をしている輩が居たようです」


「そうですか、何処の貴族ですか?」


「砕氷の古代湖を管理されているフォルティス子爵のご子息の1人、グレゴリー殿です」


「そうか、ありがとう」


「いえ、仕事ですので、ルーク様こそトラブルに巻き込まれやすいようで…」


「いえ、ダナンさんが来てくれたので、色々捗りました。そのフォルティス子爵はどういった方ですか?」


「バルバドス伯爵より地方のダンジョン都市の行政を任された優秀な子爵ですが、三人のご子息には録なのが居ませんね、グレゴリーはその長男になります。他の二人は、怠惰な次男、浪費家の三男と言われていますね、二人と長男の仲はかなり険悪らしいですよ」


「三人の情報を貰うことは出来ますか?」


「こちらにある資料で良ければどうぞ」


 ホントに録な奴がいないなと思ったが、一応三人の情報を貰うことにした。


 長男は、奴隷遊び好きな幼女趣味(ロリコン)野郎


 次男は、部屋から出ないが、錬金術を用いた趣味で、商品を時々出しているようだ。


 三男は、地方の各所をふらふらしながら、飲み歩く浪費家の様だった。


 書類を見ると、下の二人は奇妙な動きが見られた。


 次男は、怠惰というよりは、研究者に近い気質に思える。


 外に出ることが殆ど無いため、情報が少ないが、引きこもるのは商品を出した後が多く見られる記述があった。


 三男の動きも、確かにふらふらしているようにも見えるが、お金を使うところが一定の法則がある様に見える。


「そうだ、ダナンさん」


「どうかしましたか?」


「この人達、俺の叙爵の時居ましたか?」


「フォルティス子爵は居ましたが、ご子息で来られたのは、三男ですね。ただお酒を飲みに来たようですが」


 俺は、その三男に少しだけ興味が沸いた。


「ありがとう。ちょっと砕氷の古代湖に用事があるから、気を付けておくよ」


 ダナンさんに別れを告げ、カミナ達の所に向かうと、話し声が聞こえた。



「……吸血はどれほど吸えば良いんだ?」


「…多分、1日一口吸えば……足りると、思う……」


「ならば、ルークに頼むか?」


「(フルフル)……嫌われたくない」


「だそうだが、それくらいで嫌うのか?ルーク」


 カミナは扉の裏に居た俺に話しかけてきた。


「俺の血を飲んだら俺はどうなる?」


「…ママは少しだけ疲れる位だった」


「それ以外、身体の不調は無いんだな?」


「…うん、それは無い」


 メアさんは、そのまま俯くと、泣き始めた。


「ごめん…なさ……ごめんなさい……いやだよぅ、き…らわ…な…で」


「嫌わない、嫌わないから、泣かないで、ね?」


 突然泣き出したものだから、流石に驚いた。

 取り敢えず、頭を胸元に抱き寄せ、落ち着かせる事にした。


 カミナに助けを求めようと見ると、ニヤニヤした顔を見せながら、俺の影に潜って行く。


「(どうなるか、楽しませてもらうぞ。フフフッ)」


「(カミナの薄情ものーー!! )」


 暫くそのままの状態で泣き止むのを待っていると、メアさんは顔を上げる。


 泣き張らした目は、少し赤みを帯びていた。


「どうする、今日は館に戻る?」


「大丈夫、行く」


「分かった。でも無理はしなくて良いよ」


「ごめんなさい」


「そういう時は、謝らなくて良いよ。メアさんは何も悪い事はしてないんだからさ」


「…うん。ありがとう、ルーク君」


 メアさんの手を握ると、しっかりと握り返してきたので、そのまま門の所に向かう。


 少し並んで、手続きを行い外に出ると、そのまま街道から近くにある雑木林に入る。


「カミナ、出番だよ」

「(ようやくか、では走るぞ。振り落とされない様に掴まっておけ)」


 フェンリル形態になったカミナは、音もなく走り出す。


 俺の前にメアさんを乗せ、その後ろから俺が乗る形で、カミナに跨がった。


 風を纏い走り抜けるカミナを見た人は、余程の人物でない限り、正体に気付く者は居ないだろう。


 街道の外を走ると、すれ違う人がどんどん後ろに消えていく。


「なかなか気持ち良いな、もう少し出せるか?」


「(出せなくは無いが、メアを乗せて走るならこれが限界になるぞ?)」


「分かってるよ、今度遠出する時にこのくらいのスピード出せればなって思っただけだよ」


「(何か予定があるのか?)」


「いや、そういうのは無いけどさ。そうだカミナ」


「(どうした?)」


「カミナが走ったら、王都からドーラン帝国とダムシアン獣公国の二ヶ所、何日くらいで行ける?」


「(片道だけなら両国共、6日もあれば行けるぞ。そもそも竜馬(ドラグホース)で片道二週間ぐらいの位置だ)」


 それくらいなら、今度行ってみようかなと思いながら、俺達は砕氷の古代湖があるバルバドス領のダンジョン都市【ノヴォルスク】に向かうのだった。


 途中で日も暮れてきたので、初めての野営をすることにした。


 本当なら、転移を使って館に戻っても良かったが、冒険者として活動する時に、こういった経験も必要だと、カミナから言われたからだ。


 異空間収納から、テントと野営道具を取り出した。


 こうして、この世界で初めて、夜に外で過ごすのだった。


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