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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-4 錬金術師試験と今後の計画
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模倣霊【イミテーションゴースト】とトラブル

 模倣霊は、俺の十八番、錬金術の再錬成を利用した、武器の長さを変化させる斬撃を放つが、魔力の質が甘い、その箇所を鏡花水月の峰で弾く。


 距離を詰め、周囲を巻き込まない魔術『聖なる鎖(ホーリーチェーン)』で足を絡めとり拘束した。


 そのまま消滅させようと近づいた瞬間。


「ルーク、避けろ」


 後ろから、ソル殿下の言葉が聞こえた。


 どうやら攻撃魔術を避けられ、魔術がそのままこっちに向かって来たらしい。


「仕方無いな…よっと!」


 飛んできた魔術を、鏡花水月の刃で受け、魔力を覆い倒れていた俺の模倣霊にぶつけた。


 丁度拘束から抜け出した瞬間だった為、頭を縦に割る形となった。


「うげっ、気持ち悪い」


 模倣霊とだけあって、嫌な断面図が見えたが、直ぐに霧散していった。


 魔物の解体やらで見慣れたとはいえ、人の、しかも自分の断面図は見たくはなかったと仄かに思った。


「フム、遊ぶには、ちと魔力が足らんようだな」


 カミナは遊んでいたようで、刀は使わずに、魔力爪を使い模倣霊を倒した。


 ソルとギルバートのコンビは、幻覚と本物を入れ換えながら、マチェットの様な片手剣と先程の火炎系攻撃魔術を混ぜてギルバートの模倣霊を倒していた。


 同時に、ソルの模倣霊は、魔力枯渇したのか、靄に戻り霧散した。


 ルフィエルさんの様子を見ると、丁度反撃に移る所だった。


「ふう、おかげでワタシの弱点がわかりました。行きます!!」


 ルフィエルさんは、剣を構えた腕を下げ、片手に風魔術を用意し握った。


 握られた風魔術は、そのまま複数の短剣の型に変化して、ルフィエルさんは、そのまま模倣霊に投げつけた。


 模倣霊は、避けながら距離を取ろうとするが、後ろは壁であり、魔術の短剣を手足に受けた。


 磔られた模倣霊に、ルフィエルさんの剣が突き刺さる。


 声も無く、霧散する模倣霊が全て居なくなり、後ろの扉が開いた。


 魔法陣と宝箱が出現し、アナハイムさんに尋ねると


「宝箱は開けてください。中身は山分けにしますので」


 そう言ってアナハイムさんは離れたので、そのまま宝箱を開くと、内容は微妙だった。


【鍋】【魔石(Dランク)×5】


【壊れた腕時計】【霊晶石(品質中)×5】


【もふもふ犬のぬいぐるみ】


雪羽(スノーフェザー)の羽根】


 当たりは特に無かったので、そのまま回収だけしてもらった。


「では、我々も王都に戻りますか。ルーク様、夕飯を用意しておりますので、本日はお嬢様達とお楽しみください。」


 しれっと、何事もなかったかのように、アナハイムさんが言った。


「死んだ人に、お祈りとかしないんですか?」


「死んだ者など、今日は居ませんよ?」


「え?」


「この鎧には、気絶した段階で、兵士の治療室に飛ぶ様になっていますから」


「訓練で死なせることはしませんよ。兵士の死に場所は戦場か、家の布団の中だけです」


「では皆さん陣から離れないでくださいね?」


 そのまま転移陣に乗り、デービルさんが、転移陣を起動させると辺りを光が包み込んだ。

 ……俺以外の人は転移して外に出たらしい。


 何故か、俺は転移出来なかった。

 それどころか、違う階層に居る様だ。

 カミナに念話を飛ばすが反応が無い。


 試しに、指輪に魔力を流しベリトを呼び出そうとしたが、反応しない。


 魔術で『転移』しようとしても、空間が霧散するだけだった。


「さてどうしようかな?困ったぞ?」


 一応『索敵(サーチ)』や『探索』を発動するが、【unknown】と出るだけだった。


 暫く歩くと、大きな石像が構える扉にたどり着いた。


「ここは何処だ? まったく、入り口すら分からないな?」


「利人と同じ世界の者よ、扉を開けてこちらに来るが良い」


 突然言葉が聞こえて、俺は扉を開く。

 そこは一面が、闇夜の様に暗く、光はあるが星明かり程度のものでしかない。


「うむ、姿が見えぬか……暫し待て」


 声の主が動いているのであろう、巨大な何かが蠢く感覚があった。


 そして、光が強くなるとそこに居たのは、長く巨大な東洋で良くみられるタイプの黒龍だった。


「これで姿が見えるな、ルーク・ラーズ・アマルガム。……まだラーゼリアだったか?」


「まだフォン・ラーゼリアですね」


「そうか、ルーク、我は《冥府》を司る黒龍オルクスぞ!!」


 声が響き渡るが、大きさの割りにそこまで大きな声では無かった。


「オルクス様、何故私はこの場に居るのでしょうか?」


「うむ!よくぞ聞いてくれた。……御主に引き取って貰いたい者が居る。この者は、お前に縁の在るものだったのでな、転生もしないわ、お前の元の名……トーヤだったか?と会うまで居座るとか言っておってな?」


「何故、刀夜の名を知っているのか知りませんが、名字と名前を聞いても良いですか?」


「サヤと名乗っておったな、確か名字はオオカミ?オオガミ?まぁそんな感じだったな」


「はははっ、マジか、沙耶がこの世界に居たのか」


 俺はこの世界に、自身の身内が存在することを、確認してしまった。


 大神沙耶、俺の義妹、そして、前世で俺が気力を無くした理由の一つだった。


 沙耶は、大神家の本家に産まれた子どもの1人だが、陰陽道を扱う霊力が無かった為、本家の中で浮いていた。


 他の兄弟達と違い、分家から養子に来た俺は、一人っ子だったので、1つ下の沙耶を妹として可愛がっていた。


 ‥‥結果として、俺にしか相手にされていない沙耶は、重度のブラコンに成っていた。


 俺に対して異常なまでの執着心を持ち、他の女の子と話そうものなら、朝から寝るまで常に隣に居る事もあった。


 それ以外は渚の世話や、カミナの世話を手伝ってくれるし、色々お菓子を作っては持ってきてくれる妹だった。


 しかし、沙耶は中学の時、俺の知らないうちに、居なくなった。


 当時は、金銭目的の誘拐を疑われていたが、そんな電話も無く、捜索が打ち切られると、沙耶を喪い悲しむのは俺だけだった。


 そんな周りを見て、俺は自分で心を壊した。

 目立たず、地味に、ただその日を流す様に生きる。


 時折、家業の呪術を手伝い、そんなつまらない日を過ごし、俺は死んだような生き方をして、当主に呼ばれ、カミナを受け入れ死んだ。


「オルクス様、沙耶を引き受けます。が、沙耶はどうなっていますか?」


「あぁ、良かった。娘は今、我の力で冥府に繋いである。……というよりは、冥府にある我の(ねぐら)に住んでいるから早く引き取ってくれ」


 黒龍オルクスは、そう言って、扉を出現させた。


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