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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-3 違法商人摘発とロアッソの秘密
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エルザの呼び出しと指輪の強化

【フューネラルデ・サンバリュー商会・応接間】


朝から、婚約者達の呼び出しがあり、15時頃にエルザの部屋に来て欲しいと手紙に書いてあった。


なので、その前に商会で、お土産に何か食べ物を買っていく事にしたのだが、何故か応接間に案内された。


「「いらっしゃい~ルーク君」」


この商会のトップである二人がそこに入ってきた。

カリカリと引っ掻く音のする、布で回りを隠したゲージを持って……


「ルーク君、貴方、猫は好きかしラ?」

「基本、生き物全般好きですけど?」

「今回ネ、違法商人を捕縛したでショ、その関係で、衰弱した妖精猫(フェアリーキャット)を保護したのヨ」

「かなり良くなってはいるんだけどネ、大人の猫だし、人を見ると魔術で攻撃してくるから、厄介な状態なのヨ」

「はぁ……」

「そこでネ、今回のお土産を私達が用意する代わりに、テイマーのスキルでこの子を少し見て欲しいのヨ」


どうやら、テイムのスキルを使い、妖精猫と話をして欲しいという。


先ずはゲージの外から、念話で話してみる事にした。


「(大丈夫だよ、落ち着いて)」

「(貴様は誰だにゃ!?)」

「(俺はルークだ、君は?)」

「(自分に名は無い、妖精猫族の雌猫だにゃ)」


念話を始めると、引っ掻く音は止み、返事もして来た。


「(ルークと言ったな、貴様は何族にゃ?)」

「(俺か?俺は人族だよ)」

「(貴様、あの人族の様に自分に何かするつもりだな? 切り裂いてやるにゃ)」


再び引っ掻く音のする状態になり、遂にゲージの外側に掛けられた布が破ける。


そこからは見えたのは、小さな妖精の羽を持つ真っ黒な猫だった。

姿が見えたと同時に、俺は顔を背けた。


「(貴様、卑怯だぞ、早くこの檻から出すにゃ!!)」

「(俺達は、君を保護したんだから、敵じゃ無いよ)」

「(なら、証拠を見せるにゃ!!)」

「(証拠? 何を見せれば良いの?)」

「(………その前に、何で目線を合わせないにゃ?)」

「(いや、猫って敵意無い相手の時って目線を外すでしょ?)」


確か、野良猫が良くする動作だった筈だ。


「(確かにそうだけど……なんか狂う人間だにゃ)」

「(まぁ、良いよ、証拠ね…ちょっと聞いて見るから待ってて)」


黒猫から離れて、二人に敵じゃない証拠を聞いて見るが、首を傾げて。


「「ゴメンナサイ、分からないワ」」


と長考の後、そう言われた。

そこで、二人にマタタビについて尋ねると、徐にフューネラルデさんが、立ち上がり。


「もしかしたら、アレかも知れないワ、待ってて」


と言うと、凄まじい速さで駆けて行くと、数分も経たないうちに、手に小瓶を持って戻って来た。


「これは『夏梅の粉』だったかしラ?何年か前にアマツクニの商人が、妖精猫が好む物とか言ってたワ…今の今まで忘れてたけど、……使用期限とか大丈夫カシラ?」


「取り敢えず試してみましょう」


夏梅と呼ばれていたが、夏梅はマタタビの別名だ。

試しに、爪研ぎ用の板に粉を少し振りかけて、様子を見る。


「(ルークとか言ったな、この豊潤な香りと心地好さ、大変満足にゃ!!)」

「(そうかい?なら少なくとも、俺達に危害は加えないね?)」

「(わかったにゃ!!その代わり、もう少しゴロゴロさせて欲しいにゃ?)」


そう言って、妖精猫はゴロゴロと粉を体に擦り着けていた。


「本当に助かったワ、これを持って行って。老舗菓子店グラスタの個数限定的の『フルーツタルト』ヨ」


持ち手の所から覗くと、様々なフルーツが色鮮やかに飾られており、絵画のように大輪の花が咲いている。


「こんな高そうな物、本当に良いのですか?」

「この子が、ここまで落ち着いているのは、貴方のおかげなのヨ、普通なら専門のテイマーを呼ぶんだけどネ、割りと高いのヨ。だからこれは代金の代わりヨ」


そう言って、持たせてくれた。


「ありがとうございました。皆で食べさせてもらいます」

「良いのヨ~、フフフッ」

「また何かあったラ、頼むワネ」


フルーツタルトを異空間収納に入れると、王城に向かった。


正門の方から入り、中庭を抜けてエルザの部屋を目指す。

途中で見覚えのある顔を見つけたので、声をかける事にした。


「こんにちは、アナハイムさん」

「おや、ルーク様、ようこそいらっしゃいました。本日は、どの様な御用件で?」

「エルザに呼ばれたんですけど、何か聞いてませんか?」

「申し訳御座いません、残念ながら、本日は御嬢様方が集まられている事くらいしか聞いておりません」


何か知っているかと思い聞いてみたが、知らないらしい。


「アナハイムさん、これお土産です」

「おやおや、グラスタのフルーツタルトですか、中々買えない物ですね、後程、切り分けてお持ちします」

「お願いします」


アナハイムさんにタルトを預け、エルザの部屋に到着した。

ノックをすると、中から声は聞こえるが反応はない。

仕方ないので、もう一度ノックを行い声をかける。


「エルザ、来たよ」

「あっ!! ごめんなさい、ルーク様、ちょっと待ってて、もう少しで済むから」


と返事があった後、何人かの声とバタバタとした音が微かに聞こえた。


「いらっしゃい、ルーク様」


笑顔で出迎えてくれたエルザの顔は、何時もより明るかった。

部屋の中には、リーフィアとソフィアも居たが、二人は何時もと少し違い少しだけ疲れている様だった。


「こんにちは、二人とも来てたんだね? 二人もエルザに呼ばれたの?」

「えぇ、エルザから、どうしてもと呼ばれたのですわ」

「私はちょっと違うけど、概ね同じですよぉ」


右側のソファーに座っている二人の対面に座り、俺は異空間収納から、アクセサリーを取り出した。


ルビーサファイアエメラルドオニキスそれぞれの宝石を創造のスキルで造りだし加工された、前回渡した婚約指輪と同じデザインだが、遥かに物が違う代物だった。


「ルーク君、これは? 前に貰ったこの指輪と同じデザインみたいだけどぉ?」

「この指輪にをその指輪を外してから触れてみて」


婚約指輪を見ながらソフィアが聞いてきたので、新たな指輪に触れさせる。

新しい指輪は、婚約指輪に触れると、そのまま一つに融合していった。

宝石の色が更に深い色に変化し、反応が終わると結果を見た。


永遠の結婚指輪(エターナルリング)

装着者に対し、本人が拒絶した物を全て浄化し、身体を元に戻す自浄作用を付与する。『復元(エスト)』『状態異常無効化』


と表示されており、思い通りの強化に成功した。

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