本当の宝物庫と隷属の首輪
【第7番区武器宝物庫】
辺りに飾られた武器の数々、魔剣だけでも20の棚に納めれており、刀剣・槍・斧・杖・手甲と様々な物がある。
「この棚には、どれも最高位の武器しか納めていない、この中から好きなものを一つだけ取れ、但し意思を持つ奴もあるから、気を付けて選べよ」
ゼノさんは、気楽にそう告げて宝物庫の扉を閉めた。
この中で、目についた武器は何個かあったが、一つだけとなると、この目の前にある槍に、眼を奪われる。
槍と言うよりは、静型の刃を持つ薙刀に近い形をした代物で、渚の武器に丁度良さそうな長さだった。
プレートの名前を確認すると、【龍槍 天鱗】と書いてあったので、ゼノさんを呼んだ。
「天鱗か、こいつは槍術スキルを持って無いと扱いにくい特性があるぞ」
「大丈夫です。渚の武器として見てますから」
「槍術持ちか?まぁ、良いな? 次は魔装具だなこっちだ、来い!」
ゼノさん後ろを歩いていくと、広い部屋に出た。
先程見た案内板の様な区画表があり、そのまま真っ直ぐ進み、2つ目の扉に第9番区宝物庫と書いてあるプレートがあった。
「さて、ここには魔装具、魔力の宿った装飾品やら防具が置いてある。中には発動条件が厳しいが、効果の高い物もあるから役立つ物がある筈だぜ、こいつなんかは面白いと思うんだがどうだ?」
ゼノさんの手渡してきたのは、靴だったが、試してみると、確かに面白い物だった。
【浮遊の靴】
効果を確かめると、名の通りで『接地面より、任意の高さに浮かぶ事のできる靴』だった。
逆方向にも働く様で、壁に向かい歩くと、そのまま壁や天井を歩く事が出来た。
他にも見ながら廻るが、アーサーの使っていた、指向性強化の装飾品や異次元鞄等の俺が作成出来る物もあった為、浮遊の靴を貰うことにした。
後で『自動調整』の魔術付与をすることにして、自前の異次元鞄に入れる。
そのまま次の宝物庫に向かう予定だが、その前に確認する事があったので、ゼノさんに尋ねる事にした。
「今回の報奨が、龍脈の件なのはわかったけど、討伐の魔石はどうなりますか?」
「あぁ、魔石なんだが、カミナの討伐した女王竜蟲の魔石と素材を売ってくれねぇか?代わりに他の女王の魔石は渡すから」
「カミナに聞いてみないと、ちょっと分からないですね」
「まぁ、そうだよなぁ…その辺は契約に書いてたからなぁ、聞いておいてくれるか?とりあえず今回の素材と魔石の大半は一度預かった後、お前達の取り分は契約に書いた通りだから、殆どの魔石がお前達の物になるが、買い取りたいと考えてる」
「多分大丈夫とは思いますが、聞いておきますね」
そのまま話をしていると、最後の宝物庫に着いた。
壁側から中央に向かい棚が並び、魔術書物が所狭しと並んでいた。
俺は一番近い魔術書物の棚を見ると、禁書の贋作所の騒ぎでは無かった。
禁書の本体が並んでいた。『不死者の作成書』や『吸血鬼の人為的変貌書』等が置いてあったが、一番驚いたのは『原初の魔導書』と呼ばれる、統べての魔術の根幹になる古代魔術を記した魔導書がケースに入れてあった事だ。
「やっぱり、こいつに目が行ったか。予測通りだな」
「これ、本物ですよね?」
「当たり前だ。この中に置かれた魔術書物は全て本物しか置いていない。そして、こいつはルークに託したかった魔術書でもある。」
灰色の表紙に書かれた、古代ルーン文字に記されたタイトルと、幾何学模様。そして、本自体に宿るおびただしい魔力は、ケースから取り出されると、より感じられた。
「こいつは、利人達が来る前から存在していたらしい。俺達が手にした中では最も古い物だが、見ての通り傷一つありゃしねぇ。この中には、神の領域と呼ばれた俺達の仲間ですら発動出来なかった魔術や、あらゆる魔導具の作成方法が記載されている」
「それを俺に渡すメリットは何ですか?」
「そこは単純な理由だな、無名の地の開拓とかあんだろ?」
「それだけなら、これは必要な物にはならないですよね、何かあると疑うのは当たり前ですよ?」
ゼノさんに詰め寄り正面を見据える。
長い沈黙の中、遂にゼノさんは折れた。
「簡単な話だ、三国の奴等には言ってなかったが、無名の地にある中央の湖と中島そこにたどり着く為に必要な魔導具、安全な場所の記載もされてあるんだよ、その魔導書にな」
「何故昔の魔導書にそんな情報があるんですか?」
「それは知らん!! が、一つ言えることは無名の地は、この中では『聖域』と記されてる事と同じ時代には中央に行く方法があった事ぐらいだ。だからといって俺が占領しても、管理が出来ないからな、渡りに船とはこの事よ」
必要な物に違いはないので、結果として得た物は、【龍槍 天鱗】【浮遊の靴】【原初の魔導書】この3つを貰うことにした。
「じゃあ、一旦上の階に戻って、そのままお前達の客間に戻るが、構わんか?」
「今は大丈夫です、皆外出してますから。」
カミナを含めた皆は、自己鍛練や買い物等をしに街や外に出ているので、部屋には誰もいない。
俺が2日間寝ている間に、ハーピー族の奴隷であったエリトリアも仲間の所に戻った事を思いだし、油断をしていた。
まだ隷属の首輪が、外されていないことを………
「キャ━━!!」
部屋から聞こえる声と、物を投げ壊れる音。
宝物庫まで戻った後、部屋に転移をすると二人揃って、頭や背中を押さえる事になった。
そこに居たのは、隷属の首輪が着いたままで下着姿のエリトリアの姿だった。




