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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-20 従魔レース開催
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従魔レース当日

 従魔レースの開催当日、俺はモルテの調子を見ていた。

 他にも数名見に来ていたが、俺もモルテも気にしないでリラックス出来ている。

 アーサーは朝の時点からどこか浮ついた表情をしていたが、緊張しているのだろう。


『それでは騎乗型従魔レースを開始致します。選手入場‼』


 アナウンスと同時に、俺とモルテは従魔の待機場へと移動する。

 そして各選手が己の従魔に跨がるとスタート位置まで移動した。


「さてと、優勝狙いますかね」

『うむ』と言っている様に頷くモルテが高らかに鳴くと俺はレース開始の合図を待つことにした。

 ちなみに今回の出場選手は俺を含めて7人となっている。ただ、コースを4つに分けてそれぞれ7人づつ。

 コースはランダムでゲートを通り抜けるとどれかに割り当てられる。

 4コースの上位2名までが決勝戦に進み勝者を決める流れだ。

 そして、俺は山岳コースだった。アーサーは洞窟コースとなり決勝戦で戦う事になる。


「さて、モルテ……行こうか」


 モルテは高らかに嘶くと、ゲートを潜る。


『さぁ、始まりました! 王都ドラムシアス学院従魔レース祭!!今年はどの選手が栄光を掴むのか!?』


 ゲートが開き実況の声が会場に響き渡る中、俺とモルテはスタート位置から一気に加速する。

 山岳コースはチェックポイントを通り抜けるコースになっており、1からゴールまで合計8箇所を其々自由に走るコースだ。

 他の選手も飛行能力を持つ従魔だけだった。


「モルテ、一気に下降するよ‼」


 その言葉に従いモルテは翼を折りたたむと一気に下降を始める。

 最初のチェックポイントは、狭い渓谷の途中にあり、見落としやすいうえに狭さが従魔1頭がやっとといった物だからだ。

 俺の下降と同じタイミングで下降する選手と、様子見する選手に別れたが、俺は様子見する選手を置き去りにし一気にチェックポイントを通過する。

「モルテ、次は右だ!」

 嘶きながらモルテは方向転換すると次のチェックポイントを目指す。

 そして2つ目のチェックポイントでは崖上からの急降下で通過するといった荒業を見せたが……3つ目4つ目のチェックポイントも問題なく通過した。

 しかし、レース開始から1時間経過したところで異変が起きた。

(そろそろ、他の選手が仕掛けて来てもおかしくない頃合いだ。)

 そう考えた俺は、モルテに指示を出すと渓谷の上空を一気に駆け抜ける。すると案の定、俺の後を追ってくる気配を感じた。

 同時に、コースからは妨害用魔力弾が放たれる。


(やっぱりね……さてどうするかな?)


 俺は速度を落とすこと無く曲がりくねった道を駆け抜けながら考える。そして一つ思い付いた事を実行するため行動に出た。


「モルテ!」


 俺が叫ぶと同時に降下(ダイブ)し、ロールによる回避機動を行いながら相手が再上昇したところを見計らってこちらも上昇(ズーム)し、背後から落とす方法━━ダイブアンドズームを行う事にした。


「モルテ、今だ!!」


 俺の指示に従いモルテは急降下する。そして相手選手を地面からの魔力弾と挟み込む様にして落とした。


『おおっとぉ!?ここでまさかのアクシデント発生か!?』


 実況がそう叫ぶと同時に俺は次のチェックポイントを確認すると、速度を落として他の選手が追い付くのを待つ事にした。


(さて……向こうはどう出るかな?)


 俺がそんな事を考えている間にもレースは進み、5つ目のチェックポイントではトップで進む


『妨害用の魔力弾が放たれた時点で山岳コースは4名リタイア‼ 洞窟コースも既に3名脱落だ! 草原コースと密林コースも4名のリタイアが出たぞ!!』


草原コースは崖上からの急降下、密林コースは洞窟から出てくる魔獣との遭遇戦。そして洞窟コースは狭い通路を抜けた先にいる魔獣との戦闘だ。

 密林コースでは、木々が邪魔で飛行能力持ちでも腕がなければ抜ける事は困難を極める為リタイアしたのだろう。

 そうこうしていると、最後のチェックポイントを通り抜ける。

 俺の後ろには姿は無く、独走状態を維持していた。


「モルテ、このままゴールまで行くぞ」


 頷くモルテと共にレースは一気に加速する。そして、速度を上げた選手も追い付きつつあったが……俺は構わず更に速度を上げる。


(さて、後はゴールを通過すれば決勝だ)


 そんな事を考えつつ前を見詰める俺の視界には、ゴールが見えてきた。


『さぁ!山岳コースはゴール目前だ!!既に他の選手の姿は無いぞ?このまま勝利をかっさらうのか!?』


 実況がそう叫ぶと同時に俺はモルテに指示を出す。そしてゴール直前で急制動を掛けると、一気に速度を落として最後のチェックポイントを通過した。


(よし!)

「ふぅ……」

『まさかのハプニングを乗り越えて山岳コースを制したのは……ルーク選手だあああああああ!!』

 俺がゴールするとほぼ同時に、実況が俺の名前を叫びレース終了となった。

他のコースも残り僅かでゴールする選手が出てきそうな状態だ。


「モルテ、よくやったな」


俺が褒めると嬉しそうに嘶き、擦り寄ってくる。そんなモルテを撫でながら俺はレースを観戦していた皆の下へと戻る事にしたのだった。


(アーサー大丈夫だろうか?)


そんな事を考えながらも俺はアーサーが出場する洞窟コースを眺めていた。


(さてと、どうなる事やら……)


そんな俺の思いを余所に実況の声が響き渡る。


『さぁ、最後の走者が残ったコースは洞窟コースだ! このコースを抜けた先にいる魔獣を倒してゴールとなるぞ!』


実況の声を聞きながら、俺はモルテを撫でた。


(さてと……アーサーのお手並み拝見だな)


そんな事を考えていたら、警報の合図が響く。同時に洞窟コースを抜ける為魔獣と戦う事になったのだが……。


(おいおい……これはどういう事だ?)


思わず俺はそう呟いてしまった。何故なら目の前に広がる光景は想像していたものとは違い過ぎたからだ。


「おい!どうなってんだよ!?」

「知らねぇよ!!」


そんな声が周囲から聞こえてくるが、俺はそれどころでは無かった。

何故なら洞窟コースを抜ける為の魔獣は……巨大な岩石竜(ロックドラゴン)だった。


(おいおい、これに出てくるヤツじゃ無いだろ!?)


そんな事を考えていたらモルテが嘶きと共に前へと駆け出す。どうやらアーサーに助太刀に行くつもりらしい。

そんなモルテの後を追い俺も駆け出したのだった。


教員達が武装しゲートに入るところを見るにヤバいトラブルらしい。

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