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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-20 従魔レース開催
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三者三様

 俺は頭を抱えながら、予測可能な範囲の中で一番高い答えを見付けちまったらしい。


「デモンストレーションって事なのだろう? そうなら腹を割って話そうじゃねぇかヒューネラルデ、この酒とミードの組み合わせ。料理の旨さによる付加価値を加味してもよ、幾らだ?」

「これね、全部で大銅貨5枚」

「……おいマジかよ……じゃあなんだ? ルークってのはコレだけに時間をかけてそれだけかかってんのに赤字無しって事かよ……やべえな。どうすんだコレ……」


 そこまで口にして俺はコレが博打じゃない事に気付いた。そして、それをヒューネラルデも察したんだろうなぁ。


「しかも、一回買ったらあとは安売り、お菓子とジュースは大銅貨、2枚ミードは3枚で固定されるらしいわ。……確かに美味しいわよ? 私は好きだものコレ……でも、今迄の貴族達なら見向きすらしないカラ、買わすのは無理でしょうね」

「だな」

「ま、それでも特異な貴族様なら興味本位、1本売ってればもうちょいいけて……後気になる部分といやぁ……」

「この技術の終着点」


 ヒューネラルデはそこまで言って言葉を止めた。そして代わりに俺がその先を口にする。話の流れや俺が持っているルークの性格からして恐らくだが……それは俺の答えと同じだろう。


「特製品の茶器か何かを用意して貴族に売るってか。となりゃ王侯貴族向けに献上を作るとして、それを見た貴族が芋づる式に……代金を差し引けば、赤字所じゃねえってなところだろうな」

「フフ……ルークの坊やも本気になってるって事ねぇ」

 そうヒューネリルは口にして、席を立つと部屋を出ていった。


(全く……ガキの頭じゃねぇ)


 内心そう口にしてはみたものの、やはり俺の表情からは笑みが消えることは無く……寧ろこの後に待つ利益に舌鼓を打ちたくて仕方なかった さてはて……俺はどうしたもんかな。




「うし、こんなもんかな? 重さは調整したし、王族献上品なら問題無いだろ」

 ヴェゼルとの一悶着の翌日、俺は屋敷の厨房にて自分の準備を終えると。早速作業に取り掛かる。無色透明だが繊細な彫刻頑張りながら作り、最後は仕上げたグラス(それ)を鑑定してみる。

『適温効果』『自己修復』『消毒』のスキルがしっかりと付与されている事が確認できた。

 その適温効果の効果で、何時入れてもその人にとって、飲み物の温度を気にする事無く美味しく頂けるだろう。

 また自己修復の効果で、もし壊れたとしても、破片は空気中の魔力を吸収して自己回復が可能。なので例え割れたとしても直る様になると言うわけだ。

 最後の消毒効果は単純に、毒や腐食などそういった外部からの影響を受けない様にする効果が付いていて「その様な事が在れば毒の効果を無効化する」と言う使い方が出来る。まぁ、俺の場合そんな状況になっても自分で治せるから問題ないが、敵が居る以上安全にするよう努力するのが義務だろう。

 他に並べた三品もすべて同じ効果があるが、それ以外には適温効果以外の付与はしていない。

 俗に言うイミテーション。悪く言えば粗悪品だ。

「しかし、品質で劣るとわかっていてもコレが売れるのがねぇ……」


(取り敢えず王侯貴族、要は義父達とゼノさんに献上品として渡す予定だからなぁ……今の時期だとお偉いさんが集まる大商会や取引先、貴族の顧客とか多いし良い宣伝になるだろう)

 そう考え、俺は『適温効果』『自己修復』『消毒』を付与したグラスをそれぞれ献上品の箱につめると、一先ず、異空間収納へと仕舞い込んだ。


 さて、問題はもう一つだ。

 カルロに調べさせたが、カミナの持って帰った短剣の出処についてだ。

 故ガヴェルテス伯爵の皮を被っていた敵から回収した魔剣だが、作成主が問題だった。

 ヴィラ・ヴェント・レームダック伯爵という故人であり、レスティオの隣国にあたるファルース王国の宮廷魔術師でもあった人物だ。

 当時、彼の持つ魔剣は国宝として保管されていたらしいのだが、ノートリアスがヴィラの暗殺を企てたらしく……その際に強奪されたとの事。

 ただし、コレは盗まれた物と違い存在する筈の無い一振りらしい。

 ノートリアスが、他国から盗んだのか? それとも、ヴィラ・ヴェント・レームダック伯爵は実は生きていて……これはその後に作成した魔剣では無いだろうか?

 まぁ、何にせよだ。この一振りを鑑定した結果だった。

 謎が残る結果だったが、一応の確認を行う為に筆を執る事にした。



「流石に、最凶と呼ばれる騎士相手では、荷が重い様でしたね……複合者(シンセシス)?」

「ダガ、時間は稼げたダロウ? 今度の祭りハ、大きいゾ……?教授(プロフェッサー)

「えぇ、何せ王都のドラムシアス学院従魔レース祭ですからね、多少の華やかさも囮となってくれるでしょう」

「問題は()()()()()()()()()()?」


 そう告げた教授は、ニヤリと口角を上げ愉しそうに笑みを浮かべている。

 くぐもった声は聞き取り難い調子で話を続ける。


「ナラ、丁度良い。蛇の目カ、ラードーン辺境伯ドチラカダロウ」

「蛇の目は……今回動かすべきでは無いでしょう。あの騒がしさは美しくありませんから。何でも屋より愚か者を消すとしましょう。変装者(デギズマン)の残りは幾つありますか?」

「新しグ作成シダノで、丁度10体。何処にも()()()()()()()が? ラードーン辺境伯に使うノカ?」

「いえ、ただの確認をしただけです。必須ではありませんが手札は多いに越した事はありませんからね。今回は私が行うのですから」

「オ手並ミ拝見と言うモノダナ?」

「そういう事です。ドーランの方では貴方に任せましたからね」


 複合者と教授、そう呼び合う2つの影は仄暗い部屋の中で話し合う。

 ━━次の災禍の種を蒔く為に。

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