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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-19 精霊契約と他の集落へ
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カルロとノルドのコカトリス狩り

 ―――――カルロ視点

 コカトリス討伐の依頼を受け、私とノルド殿の2人で森の中に入った。


「カルロ殿、油断は禁物です。私はルーク様から頂いたこの身体ですので、石化等は効きませんから」

「……石化の毒は上位の物ならば問題は無い。変異体でなければだがな」

「変異体ですか?」

「あぁ、上位個体のコカトリスは稀に進化する際に特異変異する事がある。ソイツは体内に通常の上位化個体よりも強い猛毒を持っているのだ」

「それは、確かに普通の人には厄介ですね。ところで、カルロ殿は何故、そこまで詳しく知っているのですか?」

「……昔、耐毒の為に狩った事があるだけだ。……居たぞ」


 私達が会話をしている内に、コカトリスの鳴き声が微かに聞こえてきた。


「さて、行くぞ。……援護は任せたぞ?」

「はい、お気を付けて」


 腰の剣を抜き、音のする方向へと駆け出し、ノルド殿とは挟撃の形で分かれた。

 しばらくすると、そこにはコカトリスが3羽居り、その内の2羽の足下には雛が居た。


「やはり群れか……」


 私は剣を握り締め、コカトリスへと向かって走る。

 音を立てず影の中を移動しながら、首を落とす。

 すると、こちらに気付いた1羽が襲い掛かってきた。


「ふっ!」


 私はそれを軽く避け、すれ違い様に首に一閃。

 その瞬間、赤い血が吹き出し、その巨体は音を立てて倒れた。

 残った1羽が嘴を突き刺そうとしてきたが、私はその嘴を剣で穿き、捻ってから首を切り裂く。

 そのまま足下に倒れる死体を踏み付け、雛達の前に立つ。


「コレも仕事故な」


 私は魔法鞄から、籠を取り出し雛を生け捕りにし、斃した親を袋に仕舞う。


「後は、群れのリーダー格だけか」

「カルロ殿、終わりましたか?」

「あぁ、終わった」


 私がそう答えると、茂みの奥からノルド殿が姿を現した。


「雛はどうされましたか?」

「籠の中に入れた。後はリーダー格の雄と残党だけだ」

「では、奥に進みましょうか。此方にも2羽居ましたから、恐らくこの奥に居るでしょう」

「そうだな」


 ノルド殿の言葉に、連れ添う様にして森の奥に進むと、岩場に出た。


「ここは……」

「間違いありませんね。ここが群れの縄張りでしょう」

「……リーダー格は?」

「残念ながら見えません。恐らく他の番と逃げたか、或いは卵を守りに行ったかのどちらかでしょう」

「それはないな……雄のコカトリスは番と子を優先するが、捕えた雛の大きさからして、卵は無精卵の物しか無い筈だ。それに、最悪の場合……罠の可能性が高い」

「上位化すると知能が高くなるというヤツですね? 私も覚えがあります」

「あぁ……上位化した群れは、Aランクの冒険者がパーティーを組まなければ厄介な事になる程だ」


 私は剣を構え、辺りを警戒しながら岩場の先、洞窟へ進んだ。

 ――暫く進むと、そこには無数のコカトリスの死体があった。


「……喰い散らかした跡だな。それも同族による物だ」

「えぇ……それにしても凄い数ですね」

「どうやら、変異体……それも、かなり厄介なタイプに変異したようだ」

「そうなると、我々でも危険では? どうしますか?」


 こういった場合、本来ならば、冒険者ギルドへ報告を行う事が、重要であり正しい選択だろう。

 しかし、もし仮に変異体が産まれていたとすれば、確実に始末する必要がある。


「……ここで待っていてくれ。俺が確認してくる」

「ですが……」

「大丈夫だ。直ぐに戻る」


そう言って、私はコカトリスの肉片が落ちている場所の奥に向かう。

だが、そこは行き止まりで何も無く、ただ地面が湿っているだけだった。


「やはり居ないか……」

「カルロ殿、そちらは?」

「あぁ、変異体の姿は無かった。おそらくここには居ないだろう」

「分かりました。では、戻りましょう」

「待て!……何か来るぞ」


私の言葉を聞いたノルド殿は、武器を構える。


「……あれは!?」


その視線の先には、巨大な黒い毛並みのコカトリスが居た。大きさは3メートル程だろうか……だが、通常の2倍はありそうだ。


「これは……」

「ノルド殿、避けろ!」

「……ハッ!」

ノルド殿は咄嵯の判断で後ろに飛ぶと、先程まで立っていた場所に、嘴が突き刺さっていた。

「カルロ殿、援護をお願い出来ますか?」

「……任せてくれ」


天井までの高さはあるが、あまり広くはない洞窟内での戦闘は予測出来たが、この大きさは、想定外だった。

――この大きさなら、一撃で仕留めるしかない。


だが、やはり変異体と言った所だろうか、簡単には行きそうに無い。

一瞬感じたヤツの魔力が足元を揺るがし、無数の土槍を出現させたのだ。

私はそれを避けつつ、影の中に入り気配を殺す。

そして再び現れた時、コカトリスの背後へと回った。

私は剣を強く握り締め、渾身の力を込めて一閃する。

だが、手応えはなく剣がすり抜けた。

それは幻影だったのだ。


「ちっ!」


次の瞬間、横腹に強い衝撃と共に吹き飛ばされた。


「ぐぅ……がはぁっ!!」


壁に激突する寸前に受け身を取り、何とか態勢を整える。


「流石に今のをまともに受けるのは不味いですか……」


コカトリスが振り返り、こちらを睨み付ける。

私達の間に、緊張が流れる。


「フッ!」


先に動いたのは、ノルド殿の方だった。

走り出し、コカトリスと距離を詰めていく。

その動きに合わせ、コカトリスが嘴を突き出してきた。


「甘い!」


それを横に避け、すれ違い様に剣で斬りつける。


「Gyaaaa!」


今度は避けきれず、その傷口から血が流れ出る。

だが、その巨体は怯む事無く反撃を始める。

本来ならば、石化の息や爪での攻撃か火の息がいつ飛んで来てもおかしくない状況だったが、どうも様子が違う。


「何故だ? ヤツは何を待っている?」


攻撃を避けるノルド殿を尻目に、嘴で突く素振りを見せるが、直ぐに嘴を引き戻す。それを何度も繰り返していた。

「カルロ殿!! 上です!!気を付けて下さい!!」

「チィッ!」


見上げると、大きな魔法陣が浮かび上がっていた。

魔法陣からは炎の塊が出現し、それが雨の様に降り注ぐ。


「くそっ!」


私は影の中から飛び出し、その全てを避けて行く。

やはり頭が回る様になったら、厄介な事だ。


「これでどうだ?」

私は魔法鞄から取り出した小瓶を投げると、コカトリスの頭に命中。


「GYAAAAA!!!」


コカトリスは痛みに悶え、悲鳴を上げた。

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