ルークの過去 刀夜としての人生と神達side
二章になる前に、刀夜の地下に至るエピソードと
一章の人物紹介をしておきます。
読まなくても良い人は、飛ばしてください。
これは、刀夜として生きていた頃の話。
大神刀夜は、一言で言えば、平凡な男と評価され、唯一普通で無いとする所は、大地主である大神家の養子と言う所だった。
高校迄の成績は平均、趣味はラノベやアニメを見て、ゲームをする事といったインドアな趣味をしていたが、唯一運動と呼べるものが刀術である。
数多の流派を取り入れ、ただ相手を切る事のみに特化した【殺人術】ともいえる名も無き刀術を、養子に入った頃から続けていた。
「刀夜を呼べ」
初老になろうかといった見た目の男が、近くの従者に伝える。
「畏まりました当主様」
「……さて、鬼が出るか蛇が出るかそれとも…」
男の名は、大神源十郎、刀夜の育ての親であり、大神家10代目の現当主であった。
「失礼致します。何か御用でしょうか?」
刀夜は部屋に入り源十郎に尋ねた。
「刀夜、明日の明朝、神降ろしを行う」
「神降ろしですか?」
「あぁ、18歳になり高校も出た。時期も良いのでな、大口真神をお前に降ろす」
「大口真神」
大口真神とは、日本における神獣とされる日本狼の神格化された姿であり、古くはヤマトタケルの物語にも登場するものである。
大神家は、古くは犬神家と言われる憑き物の家であった。
犬神憑きとはいっても、逆に犬神を使役する力があった為、平安時代から現代に至る迄、呪殺
や目的に応じた呪いを用いて報酬を得ていた。
刀夜は分家の子供であったが、霊力の強さが高く、犬神との相性も頭ひとつ抜きでていた為、本家預りになったのだが、式神使いと同時に依り代としても高いスペックを有していた。
だが、幼少期に山から連れて帰ったカミナの神力が邪魔をしていた為、依り代のとしては使えなかったのだ。
しかし、こちらの世界では、神力の回復も遅く、魔力自体がない世界であった為、刀夜の霊力を借りながらの活動を余儀なくされていたカミナは、普通の犬と同じ様に衰えていった。
結果、弱ったままに大口真神の触媒とされると、【刀夜の霊力と身体】【カミナが持っていた神力】【神降ろしの際に繋がったアルフォートの残留魔力】が作用しカミナの神性が逆転、大口真神ではなく、魔神に転じたカミナであった。
「GURR!!」
刀夜の身体で暴れるカミナは、そのまま力を垂れ流す状態でありながら、魔力や神力が混ぜ合わさった力で周囲を暴れ回った。
山奥の祭壇で行われた儀式であったのが、幸いしたのか、周りには被害が無いことが救いだった。
身体は既に、血を吹きあげ赤黒くなり、周りの古木も腕の一振りで灰塵と化していた。
「やはり、器が合わぬか、触媒が合わんかったか……又育て直さねばな」
源十郎は、暴れるカミナを遠巻きに見ていたが、興味を無くしたかのように周りの黒装束の者達に命令を下した。
「あれは、最悪なる式神【荒神】を身に宿した!!もうじき力を使い果たして倒れるので、地下牢【黄泉比良坂】に閉じ込めよ」
その命が下り、数時間後体力と力を使い果たすと刀夜の身体は、糸の切れた人形の様に地に伏した。
黒装束の者達は、周囲の確認を行い、刀夜を地下に続く道へ運び入れる。
こうして刀夜は、地下牢に捕らえられるのであった。
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【神界】
「フム、なるほどのぅ…おい、エウリシア神」
「どうかしましたか月読様?」
「主の捜索しておった神獣が見つかったわい、早く来なさい、ちと厄介な事になっておる」
大きな力を感じた月読尊は、アルフォートの神、オルムス・エウリシアを呼んだ。
「あらら、このままだとこの子の人生狂いますね、所でこの子は誰ですか?」
「お主のやらかした事の被害者の様じゃぞ」
「……」
エウリシアは、その一言で、顔を青ざめさせていた。
「うぅ……なんでこんなことに」
頭を抱えて項垂れるが、状況に変化は無く過ぎた。
「あの…月読様…もしなんですが、この子はこのままだと消滅ですか?」
「そうさのぅ、混ざり過ぎてサイクルには乗れんから、そうなるのぅ、可哀想に」
「この子の魂、私の世界でしたらなんとかなりませんか?」
「フム……確かに魂の質はそっちの世界に近いのぅ」
「では!!」
「しかし、厳しいじゃろうな、ウチの姉上様がなんと言うか」
「普通は駄目に決まっておろう、せっかく良き魂の子がいたと言うに妾の楽しみを奪うのじゃからな」
二人の後ろから、一言女性の声が増えた。
そこには、金の光に身を包む天照大御神が立っていた。
「姉上様、何時からこちらに?」
「なんぞ探しておったのは知っておったが、ここに来たのは今しがたじゃ」
「あの、この度は」
「小娘、神格の差がわからぬでもあるまい?痛い思いをしとう無かったら、こやつとそこに居れ」
天照は不機嫌そうに二柱の神に威圧をした。
「「はい」」
と緊張して裏返った声と共に二柱の神は正座をした。
フムフムと天照は刀夜を調べてエウリシアに告げた。
「仕方があるまい、その方の世界に転生を許可する。ただし、この子の人生を同じ様にとは行かなくても良いのでな、良き物とする事を命じる」
「わかりました、私の世界で最大限の祝福を与えて、転生してもらいます」
天照は言うことを言ってから姿を消した。
衰弱した刀夜は、こうして転生をして行ったのである。




