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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-10 国賊排除と学院生活の始まり
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太陽炎龍

 それぞれ移動を始める為、別れ道に並び立つ。


「さて、俺等も行くとするか」

「そうですね、ゼルガノン様」

「ルーク、いざというときは分かるな?」

「はい、ゼルガノン様と転移で門の前に一度引き上げます」

「そうだ。ソドム様を発見した場合も先に門の前に迎え、今回の作戦のキモは、関係貴族を見つける証拠の探索と違法奴隷が居た際の救出だ。敵の捕縛は可能で有れば行う程度で良い……ただし逃すな」

「ハッ!!」


 捕縛は可能なら行うが、逃がすな━━要は斬り伏せて行けという事だ。

 父様とジークリッド陛下の言葉、そこに子供だからと言った甘さは無い。貴族、子爵として王国に名を置く者に対する命令。


「まぁ、気にすんな、ここに居るのは屑か、下衆それ以外は腐れ外道共だ。他の奴隷がいたとして、救出出来る状態の者がどれだけいるか分からん。お前はお前のしたい様にしろ、後の責任は俺がとってやるからよ」


 ゼルガノンさんの言葉は、免罪符にも聞こえるが、その気迫は竜蟲の時と変わらない鋭さが覗いていた。


 歩き始めて分かった事だが、探索や索敵の魔術も、この館内では反響しあってまともに使えない状態になっている。

 至近距離の魔術が漸く分かる程度では、流石にどうしようもない。


(まぁ、魔術が使えるだけあの霧よりは……まだましか)


 少なくとも魔術が使えるだけ御の字だが、この先が何が潜んでいるか判らない状態と言うのは、必要以上に体力を使う事は間違いないだろうという事だ。


 暫く通路を進んで行くと、部屋が幾つか有ったがどれも空の部屋ばかりで、人の居た形跡がまるでない。

 それ以外にも多少の不可解さを感じながら、通路の半分程を過ぎた頃、ゼルガノンさんが口を開いた。


「チッ! してやられた。仕方ねぇ……ルーク引き返して部屋を壊すぞ!!」

「えっ!?」

建物(こいつ)自体がデケェ魔術になってやがる。部屋の数を数えていたが、明らかに建物の構造からしても多すぎんだよ……繰り返してやがる」


 目の前の扉を破壊して、来た道を戻るゼルガノンさんだったが、俺は目の前の光景を見て納得した。

 曲がり角から消えたと思えば、後ろの曲がり角からゼルガノンさんが走って来たのだ。


「やっぱりか。完全に閉じ込められてやがる。空間系統の魔術だと過程して、抜け出るのが厄介だな」

「転移を使いますか?」

「やめておけ、下手に使うと干渉して別の場所やら空間に引きずり込まれる。この手の奴は解呪(ディスペル)系統で解除していくのが定石だが、魔導具設置型か術式構成……いわゆる魔術陣に見立てた方式のどちらかで解除方が変わるのが難点だな」

「これはどちらだと思いますか?」

「……分からん!! ()()()()()()()


 壊すと言ったゼルガノンさんの姿が、徐々に大きく変化していく。

 全身の筋肉が大きくなると同時に鱗が密集し始め、ものの数秒で人の姿から竜の姿への変貌を遂げていた。


 王都の図書館で見た深紅の龍アグ二シュカの挿し絵を彷彿とさせる四足の竜が俺を見る。


「コレが俺の龍化『太陽炎龍(プロミネンスドラゴン)』と利人の奴が名付けてくれた姿だ。お前には初めて見せるな」


 龍化は龍の力を全力で出すための龍人族の姿として知られているが、目の前の姿には圧倒的な存在感がある。


「この姿になったら、加減ってもんが出来ねェから、あんま使いたく無かったが、そんな事言ってられねェからな。一気に破るぞ!!」


 天上ギリギリの頭を、真っ正面に向けたかと思えば、既に廊下の道が無く空間が捻れている状態になっていた。


「ルーク、俺の背に乗ってろ! 既に道が無くなり始めているが、まだ何とかなる範囲だ」

「わかりました!! お願いします」


 ゼルガノンさんは、捻れた空間に頭を捩じ込むと、前足を使い一気に空間を拡げていく。

 その光景は、確かに破ると言える光景だが、これ程の大掛かりな魔術を無理やり破っても大丈夫なのだろうか?


「龍帝ってのはな、厄介な役目だ。親父達もそうだったが、理を破る力を身に宿す。六龍様達から守護の代行者として産み出された機械みてぇなもんだ。そう簡単に死ねねェ変わりに、大半の魔術を無理やり破っても問題ねェ龍化を使える。だが、代償として龍人の姿では力が弱まっちまうし、龍化も連続して使えねぇからな前回の竜蟲の時はまだ使用出来ねェ状態だった。次に使えるのは1年後位だな」


 魔力が霧散し空間を破ると、そこは何もない白い空間だった。


「ついでだ、俺が隠していた秘密を明かしてやる。聖域の件に、聖女の件。何でもいいぞ」

「聖域と聖女の件も知っているんですね?」

「あぁ、来るべき時まで秘匿する事になっていたからな。図らずとも墜神の身体を取り込んだのか、魂が転生したのかは知らんが、お前の魂を見て分かったよ。来るべき時が来たのだと」


 せっかくなので、俺は気になる事を質問することにした。


「どうして墜神なのか? 普通なら堕ちた神の堕神ではないのか?」

「魂は無く墜ちた肉片が呪いと化した。しかし神性を含む肉片は死して尚、六龍様達が回収した後も大地に呪いを残し続けたから呪いを墜とす者として墜神とされた……他は?」

「呪いの封印は、聖女リデルが行ったにも関わらず、最後の封印は出来ていないのは何故ですか?」

「聖域の封印か……俺が話せるのは知っている事だけ、それも一部だけだ。封印自体は完成していた。ただし器が耐えきれなくなったとだけ聞いている……恐らくだが、聖女の神力では封じ込める迄いかなかったのだろう。肉体は滅び、魂をオルクス様とハイペリオン様が呪いの肩代わりをすることで保護したとだけ伝えられたのが、今から80年程前だ」


 今のところ気になった点は聞けた。

 ゼルガノンさんがどれ程の秘密を知っているのかは分からないが、少なくとも六龍様達との繋がりがある事がハッキリしただけでも良い話になったと思う。


「さて、時間切れだ。元の空間に戻るぞ?」


 いつの間にか龍人の姿に戻ったゼルガノンさんの後ろに着いて行き、魔術空間を抜け出たのだった。


━━そして、屋敷の大扉を開いた先に、彼が居た。獣公国大公ソドム・ヴァン・ダムシアンの姿がそこにあった。

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