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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-9 家族
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道中での出来事

「今宵はどちらが朱に染まるか、それとも……」

「あら? この男の子がメアのバディーね? 昔の貴方に雰囲気が似てるわね」

「マリー、せっかく今、キメてたのだが?」

「そう言う所が、貴方の子供っぽい所よ。見てみて、この錬金術の触媒を見つけた時の顔、貴方が初めてプレゼントを選んでくれた時と同じで、男の子って感じよ?……どんな子かしら? 早く会って話がしたいわ」


 闇の眷属の象徴たる吸血鬼の王とその妻は、子供の姿が映る水晶を覗き呟いていた。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【無名の地 霊域の集落~フラクタルへの道】


「流石に整地された道は助かるけど、所々修繕する必要があるな」

「その辺は後で考えればよかろう」

「確かに」


 俺とカミナは、ティアさんの集落からフラクタルへ向かう道を走っていた。

 舗装された道と比べ、ただ整地されただけの道ではあったが、森の中で木を避けたりしないで良い分ましだろう。


「さて、後少しでフラクタルに到着するが、この辺で一度休憩するぞ。ルーク」

「そうだね、俺はもう少し薬草とか錬金術の触媒の採取したいから、カミナはどうする?」

「私は飯にしたいから休憩すると言ったのだがな」

「あぁ! ならこれ食べてみて?」

「なんだ? 肉まんか?」


 俺が差し出したのは、見た目は普通の肉まんだが、中身が少し違う。


「こっちの世界で、再現した【チャーシューまん】【チーズまん】【ピザまん】だよ……まぁオークの肉の在庫処理した結果なんだけどね」


 異空間収納内のオーク肉が、かなり貯まっていた為、在庫処理と新しい商品開発をするのに、寒い時期にはもってこいな肉まんを作ろうと渚に協力を頼んだ結果、通常の肉まんを始め、カミナに渡した派生肉まんを作り出せた。


 ただし、通常の肉まん自体は、アマツクニの方で既に作られているらしく、商品としては派生系の方を売ることに成ったのだが、こちらではアマツクニの物が珍しい上に、手軽にしかも安価で食べれる為、冒険者を中心にそこそこに売れているらしい。


「中々……美味いな」

「それじゃ採取に行ってくるね」

「あぁ、待ってるぞ……さて、どうするかな」


 俺は、触媒を求めて少しばかり森の中に入ったのだが、やはり手付かずの自然は凄い。


「薬草だけでも珍しいのが多いなぁ。あれもそうか、こっちのも中々」


 錬金術の触媒や、薬の材料でも珍しい物が多い森の中で、一番欲しい材料はまだ手にしていなかった。

【パナケアの実】と呼ばれる白い木の実だ。

 恐らく環境的に、この森の何処かに生えていると思うのだが……。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【カミナ視点】


「おい、さっきから付いてきているが、何様だ?」

「……」


 ルークが森の中に入り、触媒を探しに行った所で呼び出した。


「チッ!! いきなり襲うとはな、名乗る事もせぬか?」

「……」


 突如、木の上から飛び道具による攻撃を回避し、魔力刃を飛ばす。

 姿が見えない相手ではあるが、余程の手練れだろう。先程から様子を伺っているが、必要以上に踏み込んで来ない。


「余り私を舐めるなよ? 『魔炎 (ほむら)薙ぎ』『氷刃 氷雨(ひさめ)』」


 周囲を片手から繰り出す魔炎で包み込みながら、刃先に氷を纏わせ、一振り事に針の様な氷を飛ばす。


「━━!!」

「別に姿が見えぬから戦えぬ理由(ワケ)ではないぞ? 不可視系統のスキルであろうが、炙り出す手は幾らでもある」


 飛ばした氷が魔炎によって、急激に蒸発させると、霧へと変化していく。

 霧は辺りに広がりながら、周囲のモノを包み込む。

 当然それは、カミナを含め正体の見えない相手も同様だ。


「……フッ!! ハァッ!!」

「……」


 霧の中で輪郭が現れた所に、刃先を返し追撃を行う。

 幾重にも重ねられた斬撃は、確かに相手を捉えた……筈だった。


 倒れる霧が晴れた時、その場に残されたのは、布を巻いた土塊が有るばかりで、その中心には魔石を砕いた粉が蒔かれ、魔力を拡散させている光景だった。


「(引き際を知るか、しかし匂いは憶えたぞ……しかし妙な匂いだな? 何処かで近い匂いを嗅いだ様な?)」


 カミナは土塊の布を剥ぎ取ると、袖の内側に仕舞い、相手が逃げたと思う方向を睨み付けながら何処で嗅いだのかを思い出す事にした。


「カミナ、ただいま。結構採れたよ」

「やれやれ、戻ったか」


 結局、ルークが戻ってきた所で、思い出すことは無かったが、今することに変わりがないので、フラクタルに向かうことを優先する事にし、その場を後にして走り出すのだった。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【ルーク視点】


「取り敢えずこんなもんかな?」


 多少奥地に足を踏み入れてしまったが、パナケアの実は見付からなかったのだが、変わりに珍しい魔物の素材が入手出来た。

女王蜂(クイーン・ビー)の巣と蜂蜜】という素材なのだが、ポーションの強化素材として、とても優秀な素材なのだが臆病な魔物で比較的採取が難しい場所に巣を作る。


 しかも、鎧花蜜熊(パンツァー・ラーテル)と言う魔獣の好物であるが故に、数が少ない。

 今回の巣は、半分程壊れていたが、時間が余り経っていないようで、殆ど綺麗な状態だった。


「出来れば、パナケアの実が欲しかったけど、こっち側で無いなら、ダリエラさんの所か? あっちでも探してみるか……ん?」

 

 異空間収納に、蜂の巣を仕舞い終えた辺りで、カミナの魔力が使われた気配が有ったが、地蛇(グランドヴァイパー)の巣もあるらしい為、恐らくその辺りが出たのだろう。


 流石にそろそろ移動をしないと、夜までにフラクタルへ着かないだろうから、フラクタルに移動する事にした。

 カミナの元に戻ると、少し焦げ臭かったが心配する事も無いようだ。


 収穫した素材と他愛もない話をしながら、フラクタルに向かうのだった。

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