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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-8 無名の地
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毒沼の戦闘

 早朝、身体を軽く動かした後、魔剣と神刀を携え毒沼にある魔素溜まりの除去を開始する為、移動する。


「我が君、どうぞ」

「あぁ、まずは双剣だな行くよベリト」


 アグニシャガとレヴィアシェルを構え両方の刃に魔力を流してゆく。

 淡い光に包まれた双振りは、炎熱と冷気を纏い周りの風景を歪ませ始める。


「調べた所、魔素が濃い場所は三ヵ所。これをゴームとノルド、ルーク様の同時攻撃で一度に散らし、魔素を養分と毒沼にして自身を守る荊花女王(クイーンローゼリア)を討伐する事が目標となります」


「(ノルド、ゴーム準備は良いか?)」

「(私は何時でも)」

「(オゥ!! 派手なのをぶちかましてやるぜ、大将)」

「「「(3・2・1・0!!)」」」


 念話でタイミングを取り、肉眼でも見えるほど濃い紫色の魔素を魔剣に取り込む様に魔刃を発動して行くと、魔剣の熱気と冷気も魔素を吸収しながら段々と色が濃く変色し、同時に威力が上がり始める。


「我が君、そろそろ邪魔が入る頃かと」


 ━━━━━ズドンッ!!


 ベリトが云うのと、ほぼ同時のタイミングで遠くの方から鈍い音と共に魔物が打ち上げられていた。


 そして、俺の目の前に現れたのは、この毒を産み出した巨大な半人型の魔物荊花女王(クイーンローゼリア)と、見たことの無い剣や槍を携えた騎士達が女王を守護するかの様に隊列を組んだ不死者の軍団。


「━━━ッ!!」


 荊と毒沼を生み出す根を器用に使い、蜘蛛の様な歩き方でゆっくり此方に近付いてくる。


 人の身体が膝上まで花の中に入っている様にも見える花のドレスを揺らしながら悠然と歩く姿は、その見た目と相まって女王と呼ぶに相応しい。


 最も、人の形をした物は人間を誘き寄せる擬似餌であり、その者が求める者の姿を幻覚で見せて近いた所を捕食するかなり厄介な魔物である。

 しかし、対処方法が分かっていれば、大したことはない。

 それよりも厄介なのは、女王を守る様に取り囲む不死者の戦士(リビングソルジャー)達だった。

 様々な戦士が居る中で明らかに上位個体か、それに近しい者が数体潜んでいる様だ。


「ベリト」

「承知!! ネグロスよ仕事だ。我が君の行く手を遮る有象無象の悉くを蹴散らせ」


 ベリトはネグロスの能力を使い、軍団を呼び出す……筈だった。


 現れた霊騎士は一体のみ、しかも今にも消えそうな程の希薄さで、揺らめいている。

 対して敵側の戦力は、ざっと見て100名は下らないだろう。


「不味いか?」

「否と言いたい所ですが、余裕は無いですねどうなさいますか?」


 毒沼の性質が王水に近い為、装備品は無事でも俺の身体が危ない。


 その為、新しい魔導具『天駆せの靴』を履いての戦闘に加え、空中に浮かんでいる為、足の踏ん張りが難しい状態での対集団戦では、流石に不利だった。


 その為のネグロスだったが、ベリトがネグロスで呼び出せないと云うことは、不死者の戦士達は、今も荊花女王の幻覚で囚われ続けているのだろう。


 植物系統の魔物や魔獣に火は良く効くが、ダンジョンと違い、普通の戦闘では燃やしてしまうと、素材が採れないのが一番厄介な所だ。


 沼を凍らせる事も考えたが、魔素と毒を取り込んだ魔氷になると、浄化に時間が掛かる為出来ない。


 光や聖魔術か他の範囲魔術も、これだけ魔素と毒が濃いと効果としては半減する他に、飛散した毒液が、他の場所に悪影響を与えかねないので使えなかった。


「あ~もう、面倒で厄介過ぎるだろう……が!!」

「まさか死後も捕らえているとは思いませんでした」


 文句を言いながら、斬り伏せつつ沼の毒を巻き上げないように延びてくる荊の蔓や根、不死者達を倒していく。


 不死者といえども、身体を魔力で保護しながら戦える者は上位個体以外居なかったようで、毒沼に倒れた者は、殆どが溶け始めていた。


 残るは、上位個体の不死者の戦士が三体と女王のみとなったが、ここで驚く事態が起きる。


 なんと荊花女王が、近くに居た一体を捕らえ、吸収し始め、同じくもう一体の不死者の戦士を、別の個体が吸収していった。


「「━━オアァァァァァァァァァァァッ!!」」


 2体の化物が吼え、此方を捕食しようと動き出す。


 先程よりも動きが早く、蔓も根も硬度が増しているのか、凪ぎ払いを受け止めた衝撃で剣を持つ手に痛みが走る。


「━━しまった!!」


 手の痛みに剣を落としかけた所に、地中からの根が足首に絡み付いてしまう。


 咄嗟にアグニシャガで斬り落とすが、魔炎が蔓を燃やすことは無かった。


 一度上空に避難し、ベリトを見るが向こうの敵も厄介な様で、何度倒しても起き上がる様だ。


 蔓の届かないギリギリの場所に何とか逃げる事が出来たが、打開策が無い。


 試しに鑑定と解析をしても、名前が変わる事もなく、単純な強化個体になっただけで良かったと思う反面、どうしたものかと頭を抱える。


「え~、何あれ、うっそ~!? 荊花女王の強化個体かぁ、めんどくさいなぁ~。後は、不死者の戦士の上位個体とデュラハンの……ロードが戦闘中」


 不意に何処からか、女性の声が聞こえてきた。


 そちらの方へ視線を向けると、バイザーのみを装着した翼の生えた女騎士がメモをしながら、此方の様子を見ていた。


「ん~と、魔核が人型に2つに取り込まれてんのね、胸部と下腹部にそれぞれ1つと花弁の中に1つの合計3つ、それじゃ頑張ってね~」


 そういうと女騎士はベリトの側に飛んでいき、聖魔術を発動させると、今まで起き上がっていた不死者の戦士は、溶けて消えていった。

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