婚約者達とのデート リーフィア篇
エルザから貰ったメモの内容を確めて目印を探しながら、『空脚』のスキルで屋根より高い場所を翔び駆けて行く。
待ち合わせ場所に着いた俺は、変装をしている、いつもの髪とは違う金髪のリーフィアを見つけて声を掛けた。
「リーフィア、ゴメン待たせたかな?」
「そうですわね、時間丁度に着いたのは良いですけれど、もう少し早く来て欲しかったですわ」
少しムッとしながら返事を返して、リーフィアは右手を差し出してきた。
そのまま右手を取り、片膝を地に下ろし手の甲にキスをして顔を見上げる。
「我が儘と思われるかも知れませんけど、少しでも長く一緒に居たい気持ちを分かって下さいませ」
顔を赤く染め横を向きながら、リーフィアはハッキリと言葉に出した。
「いつもの髪も好きだけど、金髪のリーフィアもその服も素敵だよ、俺の銀髪に対に成るよう合わせたの?」
「もう、余り言わないでくださいな‼️ こちらですわ」
顔を染めながらも、そのまま手を繋ぐリーフィアの案内に従う様にしながら歩いていると、道の端に2台の馬車が止まっていた。
どうやら、車輪が割れてバランスを崩し、中の積み荷が崩れた様だ。痩せている長身のお爺さんと、少し小太り気味の中背のお爺さん二人が、必死に箱を新しい馬車に積み直して居る所でよく見ると、まだ数が多く残っている。
「ルーク様」
「分かったよ、少し待ってて」
リーフィアの言わんとすることを汲み取り、お爺さんに近づく。
「お爺さん、ちょっと失礼しますね……『身体強化』」
魔術でお爺さん達の身体を内部から強化する。
「おおっ!? 何じゃ、木箱が軽くなったぞ!?」
「こいつは、強化魔術じゃないか? 坊や小さいのに凄いのぅ」
積み荷の木箱がまだ残っているが、筋力強化したお爺さん達は、さっきとは違い二人で1つ運んでいたのが、今は1人1つ運ぶ程に強化されていた。
これも、基本は戦闘で使われる魔術だが、日常生活でも応用する事が出来る魔術でもある。
「ありがとうよ、坊や」
「お礼にゃならんかもしれんが、こいつをやろう。今から来るロズウェル商会のレビンって男に見せたら良いぞ」
凸凹なお爺さん二人は、そう言って小さなカードを手俺に渡すと、壊れた馬車に何かを書いた布を巻き付けて、その場を離れて行った。
「リーフィアお待たせ。どうしようか?」
「流石ですわ、ですが自分達で移動する必要性は無くなりそうですね、行き先の馬車とは思いませんでしたが」
歩きだそうとする俺達の少し手前で、壊れた馬車に飾られて居るロゴと同じものを付けた馬車が止まる。
中から、薄紫色のコートを纏った先程のお爺さんと似た顔立ちの男が降りて来ると、馬車を何らかの魔導具と思われる布で覆い、馬車をその場から消した。
覆い被せた布と馬車に巻き付けてあった布を回収して、お爺さん達の書いた内容を確認していた。
「はぁ…全く、会長達は何時も何時も人騒がせな……そこの少年、この馬車の老人から、なにか預かりませんでしたか?」
そう呟き、俺達の方に近寄ってきた。
「このカードを預かりました」
「失礼します……この度は、ご迷惑おかけしました。私はロズウェル商会本店の店長を任されております。レビン・ロズウェルと申します以後お見知りおきくださいませ」
お爺さん達から渡されたカードを手渡すと、コートの男は一歩下がり一礼を行う。
「俺はルークです」
「私はリーフィアとお呼び下さいな」
「ルーク様とリーフィア様ですね、それではこちらにどうぞ」
30歳後半から40歳前半位の男は、そう言ってから馬車の扉を開いたまま乗るように促してきた。
俺は先に客車に乗り込み、リーフィアの手を引いて乗せる。
レビンは最後に何かを確認してから、乗り込んだ。
「それでは参りましょう」
「お願いしますわ」
リーフィアは、その言葉に返答を返した。
5分位走った所で、馬車が止まる、どうやら目的地に到着したようだ。
外観は高級感漂う黒色の柱やレンガで造られており、内部は床が白の石材で敷き詰められた店であった。
店内の調度品は、どれも高い物と言うのは理解できたが、問題はリーフィアが何故この店をデートコースに入れたかだ。
「流石に本店だと、品揃えが違いますわね」
「おや、そちらのお嬢様は、私共の商会を御利用された事が?」
「ダムシアンに住んで居りますので、フューネラルデ商会と同じく利用してますわ」
「左様で御座いますか、有難う御座います。ではこちらの部屋で少し御待ちください」
レビンさんは席を外し、変わりに紅茶とお菓子が運ばれた。
「リーフィア、どうしてこの店に来たかったの?」
丁度良いと思い、リーフィアにどうしてこの店をデートコースに入れたのか尋ねた。
「ルーク様、このお店に来たのはルーク様の為ですわ」
「えっ?」
「ここでルーク様の学生生活用品を揃えるのですわ!!」
リーフィアは、手を握りながら説明を始めた。
「ルーク様の使う勉強道具は、フューネの商会で買ったものが大半ですわね?」
「そうだね、後は自作の物だよ」
「しかし、貴族クラスの生徒であれば、1つ2つは高級品を持つことがステータスの1つになるのです……まぁ見栄ですけれども、ここの商品なら知らない者も居ませんから、必要な品物を用意するのにうってつけですわ」
成る程、つまり他の生徒から舐められない様に気を使ってくれた様だ。
「御待たせ致しました。ロズウェル商会から、本日の謝礼としまして、当店の商品を1人2つ差し上げたいと思いますが如何でしょうか?」
レビンさんは、そう言って戻ってきたが、まだ商品見ていないが2つも貰って良いのだろうか?
「それでしたら、私の分をルーク様に使わせて下さいませ、お二人を助けたのはルーク様だけですから」
「左様で御座いますか? それではリーフィア様はそのままお寛ぎ下さいませ、ルーク様は此方のカタログをどうぞ」
渡されたカタログを見れば、様々な魔導具や日用品、服等が載せられていた。
リーフィアの分まで、選ぶ個数が増えたので、カタログの商品を吟味していく。
目につく物の方が良いと考え、制服に着けるカフスボタンを選び、同じ学院に行く婚約者組には防御魔術が付与されたブローチを用意して貰った。
カミナ、桂花と渚には酒用の盃と酒のセット、沙耶と焔、雪にはスイーツの詰め合わせを選び、エリーゼとメアには、細工用の魔導具と黒のレースが付いた髪飾りを自腹で買った。
購入分の代金も、金貨8枚だったのでそのまま支払うと、レビンさんは目を丸くしていたが、何も言わず会計を済ませてくれた。
「それでは、こちらでの買い物も済みましたし、次に向かいますわよルーク様」
ロズウェル商会での買い物を終えた所で、リーフィアから提案をされたのだった。




