巨大氷結亀討伐戦
飛んできた氷槍を回避して、巨大な氷結亀をどう対処したものかと考えていた。
通常個体ならば、カミナがやっている裏返してから腹部に攻撃を与えるのが、一般的な倒し方だ。
だが相手は背中の氷塊だけでも3mはあると思われる巨体、簡単にはひっくり返す事は出来ない。
足場を崩しても氷塊の様な地面では、どうなるか分からない為、足場の不安がある。
足場を隆起させるにしても、足場がどれだけの衝撃に耐えられるか分からない。
魔剣か神刀を使う事も考えているが、脚を切るのにどれだけの魔力が必要か分かりにくいので、まずは魔術でやってみる事にした。
入学試験の時に使った『魔電磁加速砲』を使用する事にした。
俺が知っているのは、狙撃銃や戦艦の主砲から放たれるものが大半だが、俺に作成する知識は無い。
それこそ銃なら実物を分解して構造を知らないといけない。
創造で作ったものは、俺がモデルガンで知っていたCz75(チェスカー・ズブロヨフカ75)とその後継Cz75Bの二種類だが、造ったのは前期型のCz75これの魔改造した品になる。
前期型の作成したのには、意味がある。
まず大きさと重さだが、前期型のモデルが全長203mm、980g に対して、後継の方は206mm、1,000gとなっている。
この銃自体が人間工学的な設計をされているので、グリップ形状に特徴を持たせ、握りやすさを向上させているのだが、前世で持っていた物と同じ様に、グリップをコルク材に近い木製に変えてた。
手に馴染み、俺が扱いやすくする様に改造してあるのだが、口径は魔改造品として2本のレールを内部に取り付け、口径は9ミリ口径から45口径に変えてある。
長所は、スライドとフレームとの組合わせでガタを少なくでき、命中精度を上げている所。
短所は、噛合わせ部分に異物が侵入した場合に、それが原因で回転不良を招きやすい事とスライドの指掛け部分が狭く操作ミスを起こしやすい事があったのだが、『アポート』と『アスポート』の二つで欠点の1つ目は解決できた。
指掛け部分に関しては、少し大きめに変更したので、今の身体だと少し扱い難いが、成長すればこちらも問題無い仕上がりになった。
弾に関しては、魔石を加工して造った魔術石の出来次第だったが、今回は『魔電磁加速砲』の威力確認といこう。
銃身は全てゴーレムの時に使った蒼月魔鉱石と竜胆魔鉱石を合わせて加工した物を使用している為、破壊不可の付与を加え無くてもある程度の攻撃なら耐えれそうだった。(とは言え、勿体ないので付与はしたが)
俺は、魔力を自身を砲に見立てた時と同じ程度に銃身に込める。
銃身に仕込んだ、2本のレールに加工した竜胆魔鉱石の色が強く浮かび上がり、共鳴するように周辺へ紫の雷を放つ。
相手の頭を狙い、トリガーを引くと圧縮された魔力が、レールから電磁力と共に魔術石に伝わり、轟音と共に撃ち出される。
撃ち出された反動でスライドがハンマーを撃発準備位置まで戻し、次弾を射出する用意も出来ていた。
射出された弾は、亀の甲羅に当たる弾道をとっていた様で、射出してから僅な時間で着弾したのだが、甲羅の左側外周部を1割いかない程度に削っただけだった。
この攻撃には、巨大な氷結亀も驚いたようで、動きが止まる。
その隙に、2発目を構えて先程よりも魔力を上げたものを準備する。
先程の弾は、普通の土魔術の『石弾』を記述した魔術石を使用して居たが、次の弾には雷魔術『雷弾』が記述されている。
同じ属性の物なら同じ魔力量でも、相乗効果が得られやすい分、先程の威力よりも強い物が撃てる筈だ。
今持っている弾は、火・氷・光・闇・雷・風の6種それ以外の弾は作成しても、威力が出なさそうだったので、複合魔法で良く組み合わせられている7種を準備したが、各々1発しか時間がなくて作れなかった。
「これだと安定して撃てるけど、次のは多分、威力がヤバイな」
先程と同じ魔力を込めるが、半分くらいの所で、既に先程と同じ状態になっている。
一気に魔力を目標値まで込めると、蒼白くなった雷が周辺に散らばった。
メアとネーヴェは、後ろの階段がある洞窟に避難しており、カミナも俺の後ろに下がった。
「またお前は銃を作りおって、他に出すんじゃないぞ」
と後ろに下がる際に、お小言を言っていた。
そんな事をしている内に、魔力充填が終わり、改めて亀の甲羅を撃つ。
先程よりも速い速度で撃ち出された弾は、蒼白い稲光となり、通った跡を悉くを抉り、融かし固めながら、初弾の位置より少し右側に当たるが、その後は違う結末となった。
甲羅のど真ん中に命中した弾は、増幅された魔力により貫通力が跳ね上がったからなのか、向こう側の景色が甲羅の真ん中から見える。
氷山の様な甲羅に穴が開き、内臓が出るかと思ったが、余り効いていない様だ。
良く確認して見ると、甲羅の一部と思われていたのは、他の氷結亀が甲羅に生やしている魔氷と同じものだった。
魔氷の塊が、風穴を開けている……そのまま自重に耐えきれなくなり、穴の内側に崩れ始める。
氷結亀も自身の魔力塊を失い、維持できない様で、甲羅の中に引きこもり動かなくなった。
氷山の様な魔氷を回収しに行き、氷結亀を何体か血抜きしてから階段か転移陣を探したのだが、辺りには見当たらなかった。
「やっぱり倒さないと駄目みたいだな?」
「その様だ、一刀で片付けるか?」
「いや、解析の終わった『全ての色を持つもの』を試してみようかなと思うんだけど?」
「好きにしろ、ただし余り時間は無いぞ」
「分かってるよ『全ての色を持つもの』」
俺は解析した通りに、六芒星を描くと中央に7番目の防御装置の魔術陣を描き、上から時計回りに光と聖の魔術陣から始まり、火炎と熱、土と木樹、闇と呪い、風と雷、水と氷の順番に繋げて行った。
最初は、俺の『崩牙』と同じ相反複合の魔術かと思ったが、中央の魔術陣で干渉を防いでいる為、各々が独立している複数同時発動型の魔術だった。




