14・そういう部屋分けだったの?コレ・・・・・・
「良いじゃない。高鉢だし」
と、ニコニコした栗原が言う。
「大池や千葉よりはいいけどさ」
と、そっぽを向く楠。
「そうそう、この世界ってさ、重婚OKなんだって。良かったね、高鉢」
と、栗原が言う。何で僕?
まあ、その内容が地球におけるモノとは中身が違った事から楠も唖然としている訳だが。
人化獣族は成長が早く、5年もあれば独り立ちする事から、5、6年もすれば親は別の相手を見つけて次の子孫を残すようにすることも多いらしい。
獣人の場合も種族によっては成長が早く、10年もあれば独り立ちする場合があるという。この世界では15歳前後から結婚、出産が普通となっているため、ケットならば4回、獣人も多ければ3回ほど結婚する事例がある。
しかも、それは離婚して違うパートナーとというわけではなく、子供というつながりがある「家族」が相互に増えていくという、僕らにはちょっと理解できない関係性だったりする。
そんな社会常識がある事から、人族も案外大らかで、多夫多妻という訳の分からない事が起きているらしい。
「ちょっと意味わかんないし」
という楠。僕もそう思う。
「そう?私も沙織もケンちゃんと結婚できて、まりかがちょっかいかけても構わないんだよ?」
と、昔呼びで栗原が言う。
「まりかなら他にも男居そうだし。それに、めい、アンタも!」
と、追及する楠。
「だから、それが出来るんだよ。不倫とか浮気とかじゃなく、正式に。もちろん、誰の子供か証明するために同時期に多人数とって訳にはいかないけどね」
と、怪しい事を言う栗原。うん、それが良く分からん。そして、ふと見るとモブ女子がその会話を聞いて引いている。そりゃあ、そうだよ、普通は。
「という訳で、氾濫討伐終わったらよろしくね?」
と言って来る栗原。それに対して怒る楠。
ちなみに、栗原曰く「あっちの二人は喰われてるね」との事だった。そういう部屋分けだったの?コレ・・・・・・
そんな事があったモノの、栗原曰くの「氾濫討伐の主力になる女子二人が動けない訳にはいかない」という理由から、モブ女子がハラハラドキドキする展開にはならなかった。
翌日、栗原の予想が現実であったであろう光景を目撃し、みんなで納得した。
「昨日、こっちで話し合ったんだが、合同で動くことにした。高鉢メインに、スーケとバルナに狩ってもらって、他のメンバーは勢子をやる」
と、少し顔を赤くしながら言う千葉。獣人2人は全く平常運転なので、慣れてるのかもしれない。
そして、昨日の平原へとやって来た。
獣人2人はここはよく来る狩場という事もあってだいたいのポイントを説明してくれる。
「斥候が勢子をやるなんて効率的な狩りは中々出来ないから、おやっさんを驚かせるくらい狩って帰ろう!」
と、スーケが元気に宣言し、獲物探しが始まった。
昨日は僕が真っ先に獲物を見つけたが、今日はそう簡単にはいかなかった。
千葉や大池もスカウトとしての能力をフルに発動しているし、獣人2人も耳と鼻を生かして探しているから。
『高鉢、居たぞ。分かるか?』
と、大池から遠話が飛んでくるので、その方角を探ると風の揺らぎが分かった。
「見つけた」
『俺たちで追い立てる。2人にも伝えてくれ』
と、再度遠話が来たので、スーケとバルナにも獲物を見つけた事と方角を伝えた。
それから少し待っているとちょっと大きなイノシシが三頭ばかり追い立てられてこちらへと向かって来た。
獣人2人も弓の腕は確かだった。もちろん、風精霊の加護を持つエルフと比較してはいけないが、60m近い距離から的確に当てに行くのは本当にすごい。これならコンパウンドボウを使えば確実に成果が上がるのは間違いないだろう。
ちなみに、征矢でイノシシを射た結果、獣人も千葉も顔をしかめるほどのダメージを与えることになった。
「これ、ライフルでもこうはならんだろ、やり過ぎだ」
と呆れられ、結局は雁股や平根で斬った方がマシという結論になったので、二頭目は平根で真っ二つに斬ったら、千葉が呆れていた。
「流れ矢が飛んでこない方角へ頼むな」
と。
その後、矢じりの形をコンパウンドボウで使われる狩猟用矢じりに出来ないかと試行錯誤し、何とか矢じりから展開式の刃が開く構造を再現することに成功し、最後はその矢じりを最弱状態で放つ事であまり獲物を傷めず、それでいて確り狩れる手段を確立することに成功した。
それでも鹿だかユニコーンだがの見た目をした魔獣を仕留めた時には矢が腹を貫通してしまったけれど、コンパウンドボウなら起きる話だから、千葉も納得していた。
ちなみに、獲物の解体は栗原やモブ女子も嫌な顔をせずに行い、今日もかなりの量を担いで帰ることが出来た。
集落に帰ると獲物の量に驚くオッサン。
「人数が多いって話しじゃ済まねぇ量になってんな」
と、半ば呆れ、更に栗原考案、楠主導による水魔法を用いた腸の洗浄により、本来ならば不可能とされている魔獣の腸詰めが可能となった。
「普通の水魔法じゃ魔力が足りねぇんだが、これが精霊の加護による恩恵かよ」
と、作業を見ていたオッサンは更に驚き呆れた様に呟いていた。
「食品加工科のある学校行った奴から聞いたんだが、鶏を〆るのは皆躊躇するらしいが、〆た後の扱いは女子の方が積極的らしいぞ」
千葉が嬉々として作業に励む女子達を見ながらそう呟いた、




