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11・初心者は黙って薬草採取は完全なるフィクション

 ようやく到着した村のでっかいギルド。一階はギルド施設と居酒屋で二階が宿泊施設になっているらしく、なるほど、この大きさなら教会の宿舎並みに40人や50人は宿泊できるだろう。


「ようこそ、召喚者のみなさん。私がシルッカ村のギルド長、ヒエタネンだ」


 そう自己紹介する見るからに戦士と言った風格のオッサン。虎さんの方が風格も威厳もあったな。などと思いながら、ギルド内へと案内される。


「ヘイノか?ああ、そりゃあ、アイツは総本部所属の黄金級だ。俺みたいな場末の金級とは訳が違う」


 という声が聞こえてそちらを見ると、恐れを知らないらしい千葉がギルマスと会話していた。

 どうやら黄金級には内部で金級と黄金級という区分けがあるらしい。世間的には黄金級で通るが、実力差や貢献度があるんだろうな。


 そして、一通りこのギルド施設の説明を受け、部屋割りの話になったのだが、


「個々に13部屋でも空きはあるが、パーティごとに3~4人用の大部屋というのも可能だ」


 と説明を受ける。


「じゃあ、高鉢と私たちで大部屋かなぁ」


 とか言い出す栗原。


「めい!あんた何言ってんの!高鉢だって男なんだから、女の子にしろ、女の子に!」


 と、いつものように楠が叫んでいる。どうせ冗談だよ、あれは。たぶん・・・・・・


「そうか、大部屋か、その手があったな」


 と、何か思いついた大池。


「え?大池ってソッチの気あんの?」


 と、何やら問いかける柏木。


「いやいや、そんな気ないぞ?」


 と、普通に返す大池。


「千葉は?」


 と、さらに問う柏木。


「男の娘は守備範囲内だが、それはそれ。愛でる分には問題ないだろ?」


 と言ってる。こえーぞ、千葉!


「アタシら側か!仲良くやろう」


 どうやら柏木と千葉の同盟が成立したらしく、固い握手が結ばれている。で、梶には聞かずによかったのか?良いんだろうな、きっと。


 それの横で頭を抱える楠を見た気がしたが、たぶん気のせいだ。


 どうやらモブグループは男女で分かれて大部屋を選択したらしい。


「じゃあ、僕らも男女で分かれて大部屋で良い?」


 そう聞くと、賛成するのは楠だけだった。ナゼ!?


「千葉がねぇ~」


 と言って反対する栗原。


「そうだな。独占は良くない。個室でいこう」


 と、千葉がそれに応えて発言した。


 大池は不満顔、梶と楠は呆れ顔。しかし、大池は反論せず、僕も彼女らの話に入りたくなかったので個室で決定となった。


 部屋割りが決まってそれぞれが部屋へと向かう。右隣は楠で左隣は栗原だった。個室だから問題は無いけど、なんだか釈然としない僕。


 荷物を置き、鎧や武器も部屋へと置いて居酒屋スペースへと向かった。ここの施設も魔力認証ロックである。


「ここのメニューは肉が少なくね?」


 と言ったのはモブグループ男子。


「仕方ねぇだろ。魔獣狩りに行く人手が足りねぇんだ」


 と、厨房から聞こえて来た。


 教会総本山が居を構えるスオメニ王国では、家畜肉を口にできるのは王侯貴族だけというのは教会で聞いている。その為、庶民が肉を手にするには、自ら魔獣を狩るか、冒険者ギルドが店へと降ろす魔獣肉を買うしかない。

 魔獣と言っても二種類いて、四足歩行の獣型と、魔素によって二足歩行化して知能を得た「魔族」に分類される。「魔族」にはゴブリンやオーク、ミノタウロスなどが居る。「魔族」の中にはゴブリンやオーガのように食えない、食わない魔獣も居るし、四足型でもオオカミ系は食用として狩る事は無いという。

 そして、さらにそこから枝分かれした虎さんのような「人化獣(ケット)族」や人とケットの混血である「獣人(ハーフ)」が存在するという、種族的には地球よりややこしい。そうそう、ドワーフやエルフは精霊族とか呼ばれているらしい。精霊を扱う種族で、大抵の者が精霊の加護を持つという。


 あれ?じゃあ、僕らも精霊族?


「高鉢、聞いてるか?」


 そんな事を考えながら味の薄いスープを飲んでいると声を掛けられた。


「明日からの話だ。狩猟チームを作って狩りをして肉を卸すチーム分けだ」


 と、梶が教えてくれた。たしかに、僕は遠距離向きだから狩猟チームの主力になるだろうな。


 そう思いながらチーム分けを眺めていた。


「ギルマスと話していくつかの冒険者パーティが指導に付いてくれることになった。あまり深刻に考えなくても大丈夫だからな」


 という千葉の話を皮切りにチーム分けが行われ、僕と大池、さらに楠を加えたチームが出来上がった。


「千葉の奴、日本じゃ弓での狩猟が禁止だったからって、な~んか浮かれてるな。あいつ、弓でも買う気か?」


 そんな愚痴を言う梶。彼はモブとチームを組むらしい。


 翌日、一階へ降りると冒険者がそれなりに居る。


「お、何だ?昨日村に来たって連中の嬢ちゃんか」


 僕を見てそう言って近づいて来るオッサン。とりあえず差しさわりの無い挨拶をして聞いてみた。


「そこそこ冒険者が居るんですね」


 と。


「ああ、冒険者自体は居るにゃ居るんだがな。場所が場所だろう?引退間近の草取りが大半だ。自分を守るぐらいは出来るが、魔物討伐や肉用の狩りまでやれってのは酷だ。そう言うのはお前さんがたに頼むよ」


 と先制されてしまった。どうやら僕の考えを読まれていたらしく、苦笑いしか出来なかった。


 「草取り」というと薬草採取の事を指すが、薬草や薬用植物の採取は素人には難しいとは、虎さんやメイドさんの談である。

 いつだったか「教会を出たらまずは薬草採取」と言った僕に対し、メイドさんが教えてくれたのだが、薬草と類似した植物、木の薬用部位や採取時期など、長年の知識や経験がモノを言うらしく、初心者がいきなり薬草採取をやっても採取方法による劣化や採取部位や時期間違いが多く、中には類似植物ばかり持ち帰る例が多発するという。

 さらに悪い事には、薬草には棘や毒を持つ植物も存在するため負傷リスクすらあるとの事だった。


 つまり、初心者は黙って薬草採取は完全なるフィクションだった。


 

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