59話 後輩+αと猫プレイ? 5
毎日投稿八日目です!
迷走しながらもなんとか書けました!
すっかり脱力して身動きの取れない夜花ちゃんをソファーに寝かせ、俺は次なる相手に目を向ける。
目が合うと司音ちゃんは期待に目を輝かせた。
魅音ちゃんは顔を逸らしてはいるが、チラチラとこちらの様子を伺っている。
多分、先程の夜花ちゃんの反応を見て心配になっているのだろう。
そんなことを察してか、司音ちゃんが魅音ちゃんの頭を優しく撫でた。
その姿はとても頼れる姉のようで、服装がまともであれば見直していたかもしれない。
「ではご主人様、お願いしますね♪」
「お、お願いします、葉雪さん」
俺は「あぁ」と返し、夜花ちゃんと同じように床に寝かせる。
二人の場合は体が服(水着)で覆われているのでお腹は見えないが。
「あぁ、これから私たちはご主人様の有り余る欲望の捌け口とされてしまうのでしょう♪」
「そんなことはするかバカ」
恍惚とした表情で語る司音ちゃんの頭に、突っ込みと共にチョップを喰らわせる。
だが司音ちゃんは「あぅ♪」と嬉しそうな声を上げた。
やっぱり、茜と長く一緒にいたから茜の性格が伝染ったのか?
「ほらご主人様、焦らしプレイはもういいですから、このうら若い姉妹を自分色に染めてください♪」
「どうしてこう言い回しが卑猥なんだ」
「その方が興奮しますよね?」
しねぇよ! と否定はするが、内心少しだけドキドキしていた。
「ほらー、夜花ちゃんみたいにお腹を攻めることはできませんよ? 脱がせばイケますが」
「絶対脱がさないからな?」
「じゃあ脱ぎましょうか?」
「脱がなくていい」
くどい、というかしつこい。どれだけ脱ぎたいんだ露出狂か。
そんな突っ込みは飲み込んで、俺は猫じゃらしを手に取りどこをくすぐろうかと考える。
やはり定番は首や太ももか? だがどうもありきたりでつまらないな。
と頭を悩ませていると、くいくいと魅音ちゃんに袖を引っ張られた。
「どうかした?」
「あの、できれば手でしてほしい、です」
「えっ」
魅音ちゃんのお願いに驚いていると、司音ちゃんが「名案ですね魅音!」と妹を褒める。
め、名案なのか?
戸惑いを感じるが、妹がそうしてほしいの言っているのだ、兄としてやるしかない。
俺は「わかった」と答え、猫じゃらしをテーブルに置く。
「じゃあ、やるぞ」
「は、はい……」
魅音ちゃんは消え入りそうなか細い声で返事をすると、恥ずかしいのか口をきゅっと閉じて明後日の方向を向く。
俺は左手を魅音ちゃんのお腹に這わせ、指先で優しく撫でる。
「んっ……」
閉じていた口が少しだけ開き声が漏れる。
「だ、大丈夫か?」
「うん……大丈夫」
魅音ちゃんは頬を赤らめながら頷くと、俺の手を掴んで自らのお腹に押し当てた。
「だから、もっとしてください」
「わ、わかった」
俺は頷き返し、今度は掌を当てたまま滑らせる。
初めて触るスク水の感触が少し新鮮に感じ、俺はゆっくりと堪能するようにお腹を撫でる。
「あぅ……葉雪さんに触られるとゾクッてします」
魅音ちゃんは更に顔を赤くしながら、そんな感想を口にする。
だ、大丈夫なのだろうか、本当に。
少しだけ魅音ちゃんが心配になるが、今は気にせずにお腹を撫で続ける。
「ふわぁっ、ふぅ……」
手を滑らせる度、魅音ちゃんは何とも言えない声を上げ身を捩らせる。
これは撫でているというより、くすぐっているという感覚の方が近いかもしれない。
「は、葉雪さん」
「どうした?」
お腹を撫で続けていると、不意に魅音ちゃんに名前を呼ばれ手を止める。
「お、お腹以外も触って、ください……はぅ」
「お腹以外って」
魅音ちゃんの装いを見て、他に触れるところといったら腕か顔くらいだと思うのだが……
「魅音、そういうといはお願いするのもいいけど、自分からいかないと」
魅音ちゃんのお願いに戸惑っていると、何故か司音ちゃんが魅音ちゃんにアドバイス(?)をしていた。
ボソッと「鈍感なんだから」と言われたが、敢えてそこはスルーさせてもらう。
司音ちゃんのアドバイス(?)に何を思ったか、魅音ちゃんは少しだけ小声で呟くと、おもむろに俺の手を取り──
ふにっ。
自らの胸へと押し当てた。
……………………………………………………え?
予想外の行動に俺の思考は一時的に停止し、不覚にも揉むように指が動いてしまった。
「ふわぁっ!」
「ああごめんっ!」
魅音ちゃんの上げた声で我に返り、俺は慌てて手を引き離す。
いやいやいやっ! 何してるんだよ俺! 不意討ちだったとはいえ女子小学生の胸を揉むとか警察沙汰だぞ!?
自分の行動に驚いていると、再び魅音ちゃんが俺の手を掴み胸へと誘導してきた。
「ストップ魅音ちゃん! それはダメだ!」
後少しで触れるという距離で腕を止める。
だが魅音ちゃんは負けじと両手で俺の手を引く。
「さ、流石にそこはマズいから!」
「……ぐぬぬ」
無駄としか思えない戦いを数秒と繰り広げ、魅音ちゃんの体力が切れたことで幕を閉じた。
魅音ちゃんは肩で荒く息をしながら、恨めしそうな視線を向けてくる。
「どっ、どうしてダメなんですか!?」
呼吸を整えた魅音ちゃんは、キッと目を吊り上げ声を荒らげた。
どうしてと聞かれてもなぁ。
「単純にしちゃいけないことだから」
「もっと具体的に言ってください」
具体的……具体的ってどう言えばいいんだ?
倫理的に~とか道徳的に~ってのは具体的とは言えない気がするし……
「とっ、とにかくダメだ」
「ぶぅ」
不満気に唇を尖らせる魅音ちゃん。
どこが不満だというのだ。
「ご主人様ぁ?」
「し、司音ちゃん……」
魅音ちゃんとの問答を終えると、司音ちゃんがニコニコとしながら俺を呼んだ。
いっておくが、全然笑っていない。顔は笑っているが目が笑っていない。
「私が胸を揉んでくださいってお願いしてもダメっていうのに、魅音の胸は揉むんですね~?」
棘のある言い方ではあるが、司音ちゃんの言っていることは正しい。
司音ちゃんには一般常識じゃないと断ったのに、不意宇井とはいえ魅音ちゃんの胸を揉んだのだ。司音ちゃんが怒るのは当然のことである。
「さて、自分の発言に責任を持てないご主人様?」
「俺が悪かったからそれは言わないでくれ……」
「いえ、いいんですよ? その代わり」
「そ、その代わり?」
俺はゴクリと息を呑む。
「私の胸も揉んでくださいね♪」
「………………」
何をバカ言ってるのだろうかこのバカは。
俺はため息を吐き、
「ダメに決まって──」
「断った場合、お兄ちゃん先輩は今後小学生に手を出したロリコン野郎に降格します」
そう言った上で司音ちゃんは「どうしますか?」と尋ねてきた。
それもう脅迫じゃないか……
男には、諦めなければならいときがある。具体的には今だ。
俺は無言で頷く。すると司音ちゃんは心底嬉しそうに笑みを浮かべた。
「ほら、早くしちゃってくださいよ」
「……」
「ほぉら、早くしないと茜ちゃんたちにこのことを伝えますよ?」
「それだけは勘弁してくれ」
そんなことをされたら、俺はもう家に帰れなくなる。
いや、帰らぬ人になるかもしれない。
くっ、するしかないのか……
俺は諦め、ゆっくりと司音ちゃんの胸へと手を伸ばす。
「あぁ、言い忘れてましたけど、しっかりと揉んでくださいね? 触るだけはダメです」
それもう本当にアウトになるぞ。そんな描写したら削除もありえるんじゃねえか?
不安を胸に抱きながら、俺は魅音ちゃんと変わらない程の膨らみに手を当てる。
「あっ……ご主人様の手の温度が伝わってきてぇっ」
「頼むからそういう実況は止めてくれ……」
司音ちゃんの胸は先程も言った通り、小学生の魅音ちゃんと変わらない程小さいのだが、上手く言えないが触り心地が全然違う。
──って俺は何を考えるんだ!
「ほらぁ、早く揉んでくださいよぉ♪」
変態路線に走ってしまった思考を振り捨てていると、司音ちゃんが猫撫で声で催促してきた。
ここで断っても茜たちに殺されるのだ。なら今だけは我慢して司音ちゃんの〝お願い〟を聞こうじゃないか。
できればこんな不純なことはしたくなかったんだが……
絶えず湧いてくる罪悪感を拭い去り、俺は右手に意識を集中させる。
ゆっくりと、傷付けないように優しく指を滑らせる。
「んっ」
決して雑に扱ってはいけない。
俺は慎重に指を動かす。
「んっ……上手ですよご主人様♪」
妖艶に微笑む司音ちゃんは、言うなれば小悪魔そのものだ。
くっ、俺はいつまで耐えればいいんだっ!
そんな叫びを口には出さず、俺は黙々と素数を数えながら司音ちゃんの胸を揉むのであった。
それから数分後、頬が紅潮しきった司音ちゃんに止めるよう言われ、俺はこの天国のような地獄の時間から解放されたのだった。
あぁ、生きた心地がしなかった……
◇妹◇
その後俺たちは、人為的なハプニングをすっかり忘れて〝お家デート〟を楽しんだ。
具体的にしたことと言えば、テレビゲームやトランプといったインドアなモノばかりだが。
そして空が茜色に染まりだした頃。司音ちゃんたちとのデートは幕を閉じた。
「ふぅ、お兄ちゃん先輩、今日はありがとうございました」
司音ちゃんは一息吐くと、満足そうに微笑んだ。
夕日に負けないくらい眩しい笑顔に、俺は少しの間心を奪われた。
「どうかしましたか?」
「あっ、いや何でもない」
「くふふっ、そうですかぁ? ずいぶんと熱の籠った視線を私に向けてましたけど~?」
「し、知るか」
「ふふふっ、そういうことにしておきますよ♪」
司音ちゃんは含みのある笑みを浮かべ、俺の頬にキスをした。
「し、司音ちゃん……」
「ふふっ、センパイはこういう初々しいのが好きなんですよね?」
「さぁな」
司音ちゃんにしやられたみたいで、俺は少し悔しくてそっぽを向く。
「というか、呼び方変えるんだな」
「はい。やっぱり〝お兄ちゃん先輩〟はとても呼びづらいですから」
ならどうして早く変えなかったのか、なんて野暮な質問はしないでおこう。
「でもそれじゃあ夜花ちゃんと被るんじゃないのか?」
そう尋ねると、司音ちゃんは指を振り「違いますよぉ」と少し小馬鹿にしたように微笑んだ。
「私のはカタカナの〝センパイ〟で、夜花ちゃんは漢字で〝先輩〟なので、ちゃんと区別はできてますよ」
「いやそれ口頭じゃわからないだろ」
「くふふっ、確かにそうですね♪」
「別に面白いことじゃないだろ」
閑話休題
場所変わり玄関先。
夜花ちゃんが俺たちを見送りに出てきてくれていた。
「えっと……先輩、今日はその、楽しかったです。またしてくださいね?」
「お、おう」
恥ずかしそうにはにかむ夜花ちゃん。だが、その笑みにどことなく妖艶さが見えるのは気のせいではないだろう。
夜花ちゃんは俺に近付いてくると、つま先立ちになり耳元で、
「期待してますね、先輩♪」
と囁いてきた。
耳にかかった吐息は、とても熱かった。
期待をしてか上目遣いで俺を見つめる夜花ちゃんに、俺は「その気になったらな」と答え頭を撫でる。
夜花ちゃん宅を出てから数分、司音ちゃんたちとも別れることとなった。
「センパイ、また遊びましょうね♪」
「普通の遊びなら大歓迎だけどな」
またまた~と肘で小突いてくる司音ちゃん。ウザ可愛いがやっぱりウザかったので頭を軽く叩いておいた。
「魅音ちゃん、今度は普通に遊ぼうな」
「は、はぃ……」
昼間のことを思い出してか、魅音ちゃんは頬を朱色に染める。
そんな恥ずかしがる姿が魅音ちゃんの魅力だろう。
独りでに納得していると、魅音ちゃんが小さい声で「でも」と呟いた。
「葉雪さんとちょっとえっちなこともしてみたいです……」
そう言った直後に恥ずかしさからか「はぅ」と声を漏らし、耳まで真っ赤に染めた。
とても愛らしい……のだが、内容は全然愛らしくない。
しまった、唯一の常識人枠だと思ったが……司音ちゃんに毒されたか。
俺は頭を押さえ悲しい現実を嘆く。
取り敢えず司音ちゃんにはお仕置きとして頬っぺたをむにむにしておいた。
「さて、じゃあ二人とも気を付けて帰れよ」
「「はい」」
姉妹は揃って笑顔で答えると、仲良く手を繋いで帰っていった。
俺はそんな二人を見届け帰路に就いた。
「ん? メール?」
『お兄ちゃん、早く帰ってきてください。話があります』
……どうやら、この後も大変なことになりそうだ。




