58話 茜とカラオケで愛の熱唱(?) 2
毎日投稿二日目です! 葉雪は調子に乗って自滅するタイプです。
カラオケの個室で抱き合う俺と茜。
チュニックが薄地だからなのか、茜の膨らみの感触がとても生々しい。
「お兄ちゃん、どうかしましたか?」
「いや、なんでもない」
そう返し、俺は茜の頭を撫でる。
茜は気持ち良さそうに目を細め、「ふへへ~♪」と気の抜けた声を漏らした。
「茜は可愛いなぁ」
「ふぇっ!?」
俺の突然の呟きに驚いたのか、茜は素っ頓狂な声を上げた。
「どどど、どうしたんですかいきなり!」
「いや、茜がお願いしてきたんだろ?」
耳元で愛を囁いてほしいって言ってただろ? そう言うと、茜は「そ、そうでしたね!」と頷いた。
「不意討ちされて驚いちゃいました」
「なるほど。茜は自分からお願いしたり甘えるのは余裕だけど、不意討ち気味にされるのは苦手なのか」
これはいいことを知った。
今まで翻弄された分、イタズラし返してやろう。 そう笑みを浮かべていると、茜が「お兄ちゃんがよからぬことを考えてますっ」と震えていた。
そんな震える茜を抱き寄せ、
「愛してるぞ」
と囁く。
「は、はひっ」
声が上擦っており、明らかに動揺していることがわかる。
いつも余裕そうに俺を弄んでいる茜が今はとてもなさけない。
そのギャップに、つい心を打たれてしまった。
「テンパってる茜も可愛いぞ」
「ひゃいっ」
「嫉妬深いところも可愛いぞ」
「は、はへへっ」
「茜は魅力的な女の子だ」
「お、お兄ちゃんっ」
それって……? と期待に満ちた眼差しを向けてくる茜。
俺はそれには答えず、茜の耳にふぅっと息を吹き掛けた。
「ひゃうんっ!?」
茜は咄嗟に体を離して耳を両手で隠す。
「おおおっ、お兄ちゃん! それはなしですよ!」
今までよりも過剰な反応を示す茜。その姿に俺はもしやと一つの可能性を考えた。
「なぁ茜」
「な、なんですかお兄ちゃん」
「茜って──耳が弱いのか?」
狭い個室に沈黙が訪れた。
茜は耳を押さえながら、宝石のように輝く深紅の瞳をそーっと逸らす。
この反応を見る限り、俺の予想は当たりのようだ。
「そうか、茜は耳が弱いのか」
「お、お兄ちゃん? 今絶対よくないこと考えましたよね?」
ふふふと笑みを浮かべる俺に、茜は震えながら尋ねてきた。
「さて、どうかな?」
「あーっ! 絶対よくないこと考えてますね!?」
お兄ちゃんが悪い顔してます! と喚く茜が微笑ましくて、つい笑みが漏れる。
それを変に解釈したのか、茜は「ダメですよ!?」と声を上げた。
「大丈夫だ、変なことは何もしない。ってかそんな状況じゃ茜の命令ができないぞ?」
そう言うと、茜は「ぐぬぬ」と呻き声を上げ、また先程のように抱き付いてきた。
「へ、変なことはしないでくださいね?」
やや警戒している声音に、俺のイタズラ心が刺激される。
なんだろう、俺はSっ気があるのか?
そんなくだらないことを考えながら、俺は茜の耳に口を近付け──
「ひゃんっ!」
途端、茜が今まで一番大きな悲鳴を上げた。
「おおおっ、お兄ちゃん!? ナニしてるんですか!?」
「何って、茜の耳たぶを噛んだだけだぞ?」
「耳たぶを噛んだだけって……お兄ちゃん変なことはしないって約束しましたよね!?」
「まぁそうだけど」
「ならどうしてですか!?」
「あまりにも茜が警戒するモンだから、ついイタズラしたくなってな」
「ひどいっ!」
お兄ちゃんがドSになりました! と叫ぶ茜。
いや別に俺はドSじゃないが。
「まぁ今まで茜には散々やられてきたんだ。これくらいの反撃はいいだろ?」
「それを私に訊かないで──ひゃうっ」
茜の言葉を遮るように、俺は茜の耳を舐める。
やっている自分でもわかる、これはアブノーマルなプレイだと。
「お、お兄ちゃん、だめ……っ」
茜の制止の声を無視して、俺は続ける。
「可愛いぞ」
そう囁きながら息を掛けると、茜の体がビクッと跳ねた。
「一緒はだめですぅ……」
だんだん茜の声音が弱まっていく。
こんな茜を見るのは初めてだな。
中学校時代に茜が熱を出して寝込んだときでも、ここまで弱まることはなかった。
「お、お兄ちゃん、聞いてますか……?」
「あぁ、聞いてるぞ?」
そう返しながら、俺は茜の耳を舐める。
「んぅっ」
茜は必死に声を殺そうと手で口を押さえるが、漏れる喘ぎ声がエロくなっている。
なんか、楽しいなこれ。
いつもとは立場が逆になっている現状に、俺のテンションは上がっていく。
茜の新鮮な反応に俺のイタズラ心は刺激され続け、気付けば俺は茜をどう弄ろうかを考えていた。
そして俺は、何もしていない方の耳へ手を伸ばし──
「ふにゅっ!?」
耳の中を指でくすぐると、茜は一段と大きな声を上げた。
これは面白い。
俺は新しいおもちゃを与えられた子供のようにはしゃぎ、茜にイタズラをする。
片方の耳を舐め、反対の耳の中を指でくすぐる。
時々茜の命令通り愛を囁きながら、耳の裏を掻いたり耳たぶを噛んだり……
その間茜は声を抑えようと片手で口を塞ぎながら、もう片方の手で俺の二の腕辺りをギュッと握っていた。
なんだこれ、今まで以上に茜が可愛い。
もっと可愛い姿が見たい。そんな欲求が生まれ、俺は茜へのイタズラをエスカレートさせていく。
「あっ……お兄ちゃんっ、もうだめぇ……っ」
口から手を離した茜は、両手で俺の腕を掴み制止を乞う。
そんな姿も可愛い。
俺は調子に乗りまくり、茜の耳を弄り続ける。
そして──
「ふあぁぁぁぁぁぁぁぁあああああっ!」
茜はビクッと大きく体を跳ねさせ、今日一番の矯声を上げた。
そして脱力したのか、全体重を俺に掛ける。
しばし沈黙が続き、俺はハッと我に返った。
「あ、茜?」
「はぁ……はぁっ」
茜は荒く息をするだけで、何も答えない。
し、しまった……やりすぎてしまった!
「茜? すまんやりすぎた」
俺は未だぐったりとしている茜の背中を擦り謝罪する。
が茜は何も答えない。
そしてしばらく経ち、茜は体を起こした。
「茜、ホントにすまな──」
もう一度謝ろうとするが、茜の姿を見て言葉を失った。
赤い瞳は潤み蕩けきっており、頬は紅潮し口からは熱の籠った吐息が漏れている。
これはヤバい。この姿の茜は完全に発情しているやつだ。
後悔するも時既に遅し。
茜はゆっくりと顔を近付けてきて──
「もっと楽しみましょうか、お兄ちゃん……♪」
俺の口を塞いだ。




