52話 ゲーセンでデート その5
なんとか今月中に投稿です!
今回は司音ちゃんオンリーです。
少し大変なことはあったが魅音ちゃんとのデートも終わり、続く相手は魅音ちゃんの姉であり、茜のクラスメイトである司音ちゃん。
司音ちゃんは魅音ちゃんと違って、テンションが高く元気な少女だ。姉妹で似ている点と言えば、少しえっちぃ知識が豊富というところだろう。
まぁ、茜には敵わないけどな。……言っててすごい悲しくなったわ。
それはさておき。
集合場所に着くと魅音ちゃんは真っ先にかすみんの元へ走っていった。
「霞さん! 葉雪さんが暗くて狭いところに魅音を連れてったんです!」
「こら、誤解を招く言い方しない」
かすみんどころか、茜と楓ちゃんよからの視線も鋭くなってるから。ホントにやめていただきたい。
俺は睨んでくる三人に至極簡単に説明し誤解を解く。その姿を魅音ちゃんが悪い笑みを浮かべながら見ていた。
コンチクショウ、仕返しのつもりか。
さて、誤解も解けたので、司音ちゃんとのデートを開始しようと思う。
全然時計とか見てなかったけど、もうそろそろ暗くなってくる時間なんだよな。まぁだからってデート時間を縮めるつもりはないけど。
「司音ちゃんはどんなゲームがしたい?」
「そうですねぇ、私はあんまり要望とかないんで、お兄ちゃん先輩に任せます」
司音ちゃんら人差し指で頬を突き、あざとく上目遣いをしてくる。
うん、あざと可愛い。
「んー、司音ちゃんは普段ゲームとかするのか?」
「ぼちぼちですかね。スマホアプリとかはやりますけど、ゲーセンに来て遊ぶことは少ないです」
「そうか。……それじゃあ、無難にUFOキャッチャーでもするか?」
あまり考えず簡単に提案すると、司音ちゃんは「いいですねぇ~」と微笑む。
「それじゃ、UFOキャッチャーにしましょう。沢山取ってくださいね♪」
司音ちゃんは小走りし少し先に立ち、くるりと振り返って舌を出して微笑。
今日の司音ちゃんは、少しあざとさが多目だ。
◇妹◇
ゲーセン中央付近のUFOキャッチャーコーナー。そこに俺と司音ちゃんはいる。
そこで何をしているのか、まぁ分かるだろうけど、UFOキャッチャーをしている。ただ、プレイしているのはほとんど俺だった。司音ちゃんは俺のプレイしているところを少し後ろから眺めているだけ。
そんな司音ちゃんの手には、ゲーセンのロゴが入った大き目の袋が握られている。中に入っているのは、今まで俺が取ってきたぬいぐるみやフィギュアだ。
「……よしっ。ほら司音ちゃん、取れたよ」
「わぁっ、お兄ちゃん先輩万能だとは思ってましたけど、こうも簡単に景品を取っちゃうんですね! 流石ですお兄ちゃん先輩。略してさすお──」
「それはやめておこうな」
司音ちゃんは興奮気味であのセリフを言いそうになり、俺は慌ててそれを遮る。
「次はどれにしましょうか」
俺が渡した大き目のクッションを袋に入れながら、司音ちゃんはゲーセン内を見渡してそう呟く。
「司音ちゃんはなにがしたい?」
「そうですねぇ……あっ、あれやってみたいです!」
再びゲーセン内を見渡し、司音ちゃんは声を上げながらあるゲームを指差した。
それはよくある射的ゲーム。夏祭りによくあるモノに近いやつだ。
「……よし、丁度二台あるし、どっちが早く落とせるか勝負でもするか?」
「おっ、それ面白そうですね。乗りました」
俺の提案を司音ちゃんはすんなりと了承し、手を大きく振りながら射的ゲームに向かっていく。
俺はその後ろを少し遅れて、射的ゲームに向かった。
投入口に百円玉を一枚ずつ投下し、ゲームスタート。俺は素早く銃弾を装填し正面に目を向ける。
景品を乗せた棚が上下に動き、プレイヤーの狙いを外させようとしてくる。だが、そんなもの俺の前には無意味に等しい。
狙うは熊のキャラクターの刺繍が入ったハンドタオル。
エアスコープで景品に小銃を合わせ、引き金を引く。
玉は景品に当たり、そして棚から落とす。落ちた景品はスロープを滑り、取り出し口までやってきた。
銃から手を離し、隣に目を向けると、丁度そのタイミングで司音ちゃんが景品を打ち落とした。
「いやぁ、お兄ちゃん先輩は強いですね~。私じゃ全然敵いませんよ」
「まぁ、妹に負けるわけにはいかないからな。兄として」
何度も口にするセリフを言いながら景品取り出し、司音ちゃんに手渡す。
「ありがとうございます」と礼を口にしながら司音ちゃんは景品を袋に入れる。
そして、俺の真似なのか、ふっと不敵な笑みを浮かべ好戦的な視線を向けてきた。
「それじゃあ、もう一勝負しませんか?」
◇妹◇
場所変わって三階のゲーセン。その端に俺たちは来ていた。
そこに並ぶ台は、ほとんどがレース系のゲームばかり。
「さて、お兄ちゃん先輩と勝負するゲームはこれです」
くるりと振り返った司音ちゃんは、数並ぶ台の中からマ○オカートを指差した。
まぁ、多少子供っぽさはあるが定番のゲームだな。
うんうんと頷き、俺は先程のお返しとばかりに不敵な笑みで、
「今回も勝たせてもらう」
「そうはさせませんよ」
互いに火花を散らし、隣り合った台のシートに座る。
百円を投入しモードを選択。今回は勝負なので対戦モードだ。
続きキャラクター選択。俺はヘイ○ー、司音ちゃんはヨ○シーを選んだ。
その後は車の選択。俺は適当に見た目よさそうな車を選びコース選択に移る。
さて、どこにするか。無難に普通のコースにするか? またはレインボーで……
少しだけ考え、俺はレインボーにコースを決めた。
隣を見ると、なんと司音ちゃんもレインボーを選択していた。不意に司音ちゃんもこちらを向き、目が合う。互いに無言で見つめ合い、画面に視線を戻す。
ロード画面からコースに移り変わり、カウントダウンが始まる。
三……二……一……
GO! という文字と共にアクセルを踏み、スタート地点を出発する。
スタートダッシュは互いにミスなし。最初のコーナーを曲がったところでアイテムボックスが見えてきた。
パリンッとボックスが割れ、アイテムスロットが表示される。
今回は運悪くバナナの皮一つ。対して司音ちゃんは序盤からキラ○を引いていた。
アイテムの引きだけは運だからな。仕方ない。ドライブスキルで追い返そう。
俺はバナナを設置し距離の離れたヨ○シー(司音ちゃん)の背中を追った。
一ラップ、二ラップと終わり、ついに来たファイナルラップ。順位は司音ちゃんが一位、俺が四位だ。
どうして司音ちゃんが一位なのか。これは彼女のドライブスキルとアイテムの引きが関係している。
司音ちゃんは飛び降りの名所と呼ばれるレインボーで一度も落ちることなく、更にはキラ○やス○ー、三連キノコなど、加速アイテムを連続で引き続けているのだ。
対して俺はバナナと甲羅のオンパレード。他者を妨害できても、根本的な加速はできないでいた。
と、そうこう解説している間にも司音ちゃんはコースの中間部分に到達した。俺はそれよりも少し後ろ。このままでは司音ちゃんに勝つことは難しい。
こうなったら、次のアイテムボックスに賭けるしかないっ。
意を決して差し掛かったアイテムボックス。パリンッとボックスが弾けスロットが回り……出たアイテムは必殺逆転のキラ○!
俺がこの世界の神になる! と心の中で叫び、キラ○を発動。ヘイ○ーがキラ○に変身し、前を走っていたキャラを宇宙の虚空に弾き落としながら順位を上げていく。
「お兄ちゃん先輩、やりますねっ! でも私も負けませんよ!」
司音ちゃんも丁度アイテムボックスに辿り着き、キノコ一つをゲットした。それを使い加速。
俺のキラ○と同じタイミングに効果が切れ、現状司音ちゃんが一位、俺は二位。その差はギリギリ。
そしてやって来た、最後のアイテムボックス。先に司音ちゃんが割り、少し遅れて俺もボックスを砕く。
スロットが回り、俺が得たアイテムは──三連キノコだった。対して司音ちゃんが引いたアイテムは単発キノコ。
これならいけるっ!
一つ、キノコを消費する。それと同時に司音ちゃんもキノコを消費し、差は縮まらない。
もう一つ、キノコを消費する。司音ちゃんとの距離は半分程減る。
そしてコーナーを曲がりゴールが見え、俺は最後のキノコを消費する。ブォン! と加速しついに俺は司音ちゃんに並んだ!
後は互いのドライブスキルで全てが決まる。
互いに抜かし合い、ぶつかりながら走り続け、そして──
GOAL! と画面中央に表示される。それは二人ほぼ同時。
続き順位発表。最下位の十二位から表示され、
「よっしゃあ! 勝ったぞ!」
一位に表示されたのは俺が操作していたヘイ○ー。つまり、この勝負は俺の勝ちだ。
「いやぁ、途中まで調子良かったんですけどねぇ~、結局お兄ちゃん先輩に負けちゃいました」
「強いですね♪」と微笑みながらシートから立つ司音ちゃん。それに対し俺は「お兄ちゃんだからな」と返しながら立ち上がり台を後にした。
◇妹◇
「そういえばお兄ちゃん先輩、私が教えた情報役立ちましたか?」
ゲーセン内を歩き巡っていると、不意に投げ掛けられた質問。突然のことに、俺は思わず首を傾げる。
「魅音のことです」
「あぁ、魅音ちゃんのことか。おう、結構役立ったぞ」
「そうですか、それは良かったです。それにしても、高校、中学生や教師に飽き足らず、小学生の女の子まで毒牙に掛けるなんて、お兄ちゃん先輩はヒドイ人ですね」
「全く身に覚えのない冤罪だ……」
いきなり話題を変えスラスラと語る司音ちゃん。それだけは俺はなにも言えない。
そのまま気紛れに時間までUFOキャッチャーなどで時間を潰していると、不意に司音ちゃんはある台の前で足を止めた。
まぁ、ここまで来たら分かるだろう。そう、相性占いだ。
「お兄ちゃん先輩、これやりましょうよ!」
相性占いを目にした司音ちゃんは、興奮気味に俺の服の袖を引っ張る。
「おう」と返し手慣れた手付きで百円を投入。
名前を記入すると、少しして質問が表示された。
「『二人が初めて出会った場所』ですか。四階と三階の間の階段でしたよね」
「あぁ、そうだな」
あのときはホントにビックリしたなぁ。こんな少女が大量のノートを手に抱えながら階段を降りてくるんだから。
回答を記入すると、引き続き質問。
「『夏と言えば?』ですか。私はやっぱり海だと思います」
「俺は水着だな」
「ええっ!?」
俺がそう呟くと、司音ちゃんは目を見開き俺の顔を見上げながら声を上げた。
そんなにおかしいか? と首を傾げると、司音ちゃんは「お兄ちゃん先輩はあまり興味ないと思ってました」と言う。
「まぁ、確かに他人の水着とかは興味ないけど、茜たちの水着なら楽しみだな」
「そうですか。……つまり私の水着も楽しみ……」
今年はどうだろうかと想像しながら記入する。隣で司音ちゃんがなにやら呟いているが聞こえなかった。
それから質問六つを終え、結果が表示された。
「『とても仲の良い先輩後輩。放課後の図書室で進展があるかも』──お兄ちゃん先輩! 今から図書室行きましょう!」
「落ち着いて、今行っても意味ないから」
更に興奮した司音ちゃんを宥め、相性占いを後にした。
「お兄ちゃん先輩、今日はすごい楽しかったです」
「そっか。それならよかったよ」
「また勝負しましょうね?」
「そのときも俺が勝つけどな」
そんな会話を交わしながら、俺たちは他の妹たちが待つ場所へ戻った。
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