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48話 ゲーセンでデート

 トランプゲームも一通り終わり、司音(しのん)ちゃん、魅音(みのん)ちゃん、夜花(よるか)ちゃんの体調も戻ったので、俺たちは外へ遊びに行くことにした。

 現時刻は午前十一時。あと少しでお昼時なので、そのまま昼食は外食にすることとなった。

 

 俺たちが向かったのは、温泉旅館から徒歩五分と場所にあるショッピングモールだ。

 ……ここ最近、ずっとショッピングモールに行ってる気がする。

 ここのショッピングモールは、一階に服やアクセサリー、そしてフードコートがあり、二階はホビーゾーン、三階に映画館とゲーセン、四階は全てゲーセンとなっている。

 なにこれ、圧倒的ゲーセン率。

 ここまで広いと、この人数でも充分遊べるな。

 

 というわけで俺たちはエレベーターに乗り、一気に四階まで上がる。

 扉が開くと共に耳に迫る大音量のゲーム音。

 最初はその音に顔をしかめるも、少しすれば慣れてくる。

 

「よし、それじゃあ何して遊ぶか」

「にぃに! あれやりたい!」

 真っ先に手を挙げ、蓮唯(れんゆい)ちゃんはあるゲームを指差す。

 それは、ゲーセンに行ったことのある人なら大抵はプレイしたことのあるエアホッケーだ。

「よし、やるか!」

「うんっ!」

 久々にやることとなり、俺のテンションも少し上がっている。

 早速百円を投入。聞き慣れた音と共にパックが出現。

 そのままパックは蓮唯ちゃんの方へ流れていく。

 蓮唯ちゃんはスマッシャーでパックを押さえ、タイミングを図っている。

 そういえば、最近知ったのだがエアホッケーのこの持つやつ、スマッシャーという名前なのだ。マレットとも呼ぶらしい。

 スマッシャーって、たかがエアホッケーの道具にしてはかっこよすぎねぇか?

 とくだらないことを考えていると、蓮唯ちゃんが動きを見せた。

 

 スマッシャーを退け、そして一気にパックを打つ。

 パックは綺麗な軌道を描き、俺の方のゴールへ迫る。

 俺はパックを横から殴り、無理矢理ゴールから外した。

 跳ね返ってきたパックを掴み、そして今度は俺のターン。

 蓮唯ちゃんの動きを確認して、俺は力強くへ打つ。

 蓮唯ちゃんは慌てて防ごうとするが、パックはゴールではなく壁の方へ進み、そのまま跳ね返ってきた。

「ええっ」

 蓮唯ちゃんは驚愕の声を上げ、目を見開く。

 その隙に、俺は返ってきたパックをゴール目掛け弾いた。

 蓮唯ちゃんの反応は遅れ、パックはゴールへと吸い込まれた。

 軽い音と共に、俺の方に得点が追加される。

「にぃに、強いね~」

「まぁな。一時期ハマってたからな」

 正確には俺ではなく(あかね)が、だが。

 蓮唯ちゃんはパックを取り出すと、スマッシャーで押さえ黄金の瞳で俺を見つめてくる。

 そしてパックを打つモーション。

 俺はざっと軌道を予測しすぐさま動く。

 が、蓮唯ちゃんはパックを横に弾いた。

 なっ、俺がやったようなフェイントだとっ!?

 跳ね返ったパックを、今度は俺のゴール目掛け力強く打った。

 俺はなんとかそれに反応し、パックを弾く。

 そして蓮唯ちゃんは再びゴールへ弾く。

 そして──

 

「いやぁ、にぃに強いね~。勝てなかったよ~」

「蓮唯ちゃんも、結構強かったぞ」

 得点は俺が三十、蓮唯ちゃんが十だった。つまり俺の勝ちだ。

 それにしても、まさか終了間際で小さいパックが何個も出てくるなんて思ってもなかった。

 蓮唯ちゃんもこのギミックを知らなかったようで、驚いてガードが疎かになっていた。

 そこに俺がパックを打ちまくって連続で点をゲットしたのだ。

 なんとか持ち返した蓮唯ちゃんだが、結局得点は俺に追い付くことはなかった。

 

 蓮唯ちゃんとエアホッケーを終えると、何故か茜と(かえで)ちゃんがジト目でおれを睨んできた。

 

「えっとぉ、どうかした?」

「いえ、皆で話さずに早速遊びに行ってしまうとは、お兄ちゃんも子供だなっと思っただけです」

「まったく」

 呆れたように二人はため息を吐いた。

 君たち、意気が合うようになったね。お兄ちゃん的には妹たちが仲良いのは嬉しいことだよ。

「お兄ちゃん、くだらないことを考えてないで、まず皆で話しますよ」

「お、おう」

 茜にリードされながら、俺たちはどのゲームで遊ぶかと、俺と一緒に遊ぶ順番を決めた。

 蓮唯ちゃんは一人抜け駆けしたため、一番最後となっていた。

 

 

   ◇妹◇

 

 

 そしてまず、俺は茜との行動になった。

 他の皆は各自で遊ぶとのこと。

 

「さて、お兄ちゃん、なにして遊びましょうか」

 茜は俺の手を引きながら嬉々とした声音で訊ねてくる。

「茜のやりたいやつでいいよ」

「うーん、そうですねぇ……あっ、お兄ちゃん、あれをやりましょう!」

「うん、あれは──」

 茜が指差したのは、プリクラ機。しかもカップル専用と書かれた。

 ……あぁ、前に茜と放課後デートしたときもやったな。……はぁ。

 茜の変わらない思考回路にため息を吐き俺は頷く。

「それでは行きましょう♪」

 俺が頷くと、茜のテンションはより高くなった。

 まったく、可愛いやつめ。

 

 

 やはりと言うべきなのだろうか。このプリクラもお題が提示され、しかも前回同様キスをしろとのこと。

 まったく、最近の若者の思考がよく分からない。

 仕方なく、仕方なく俺は茜とキスをしてプリクラを撮った。

 その後もキスをしようと茜がせがんで来たが、俺は断り足早にプリクラ機から出た。

 

 まだ時間はあるらしく、続いて茜とやったのは相性占いだ。

 ふむ、こういうのもあるんだな。

 

「えっと、名前を入れて、幾つからの質問に答えたら二人の相性を占ってくれるみたいですね」

「まぁこういうのもたまにやる分ならアリかな」

 俺は百円を投入する。

「えっと、葉雪(はゆき)と茜っと」

 名前を入力してから数秒、一つめの質問が表示された。

 

「えっとなになに──『好きな食べ物』か。俺はチキン南蛮だな」

「私はカルボナーラですね」

 二人の答えを入力すると、少しして二つめの質問が表情される。

 次の質問は『一番落ち着ける場所』だ。

「そうだな、やっぱり自分の部屋かな」

「私もですね」

 同じく回答と記入。三つめの質問が表示され──と計六つの質問に答えた。

 画面には『集計中』と表示されている。

 さて、どんな結果が出るのかな。

 と考えているうちに集計中から結果発表と文字が変わった。

 茜は躊躇いもせずに画面をタッチする。

 

「えっと、私とお兄ちゃんの相性は──『相思相愛。もう結婚できるレベル』ですってよ! お兄ちゃん結婚しましょう!」

「いやしないからな!?」

 なんなんだこの機械は! ……ってそう言えば、これって家族って記入するところなかったし、仕方ないのか?

 いや、だからってこの結果は狙いすぎてる。これ見たら茜が暴走するのは仕方ないし。

 実の妹の暴走を仕方ないで片付けるのはどうかと思うが、今は気にしてはいられない。

 少し暴走気味になった茜をナデナデで落ち着かせ、そして皆の待つ場所へ戻った。

 

 

   ◇妹◇

 

 

 茜と別れ、次に俺は楓ちゃんと共にゲーセンを回った。

 といっても、楓ちゃんとはつい最近デートでゲーセンに行ったばっかりで、特にこれと言ってやりたい物はなかった。

 

 そこで俺は、この間のレトロなゲーセンにはなかった音ゲーを楓ちゃんに勧めてみた。

 結果楓ちゃんは音ゲーにハマった。特にチュウ○ズム。楓ちゃん曰く、昔ピアノを習っていて、それに感覚が似てるのだと。

 音ゲーマーが聞いたら激怒しそうだが、まぁ楓ちゃん可愛いから許されるだろう。楓ちゃん可愛いから。

 ついでに、俺もやってみたのだが、少し合わなかった。

 やはり、音楽系は得意ではない。

 

 

「葉雪にぃさん、相性占いという物がありますよ」

 音ゲー以外のゲームを巡っていると、楓ちゃんがそう言い例の機械を指差した。

 お、おう。茜とやったんだけどな。

 俺はそのことには触れず、「やってみる?」と誘う。

 すると楓ちゃんは笑顔で「はいっ」と返事をした。

 

 よぉ、相性占い、さっき振りだなぁ。

 俺は本日二回めの相性占いをするため、百円硬貨を投入した。

 茜の時同様、まず俺と楓ちゃんの名前を記入。

 少しして質問が表示された。

 

「『好きな動物』ですか、私はアザラシとかハリネズミが好きですね。葉雪にぃさんはどうですか?」

「あ、おう。俺はそうだな……犬とか猫、強いて言えば犬、かな」

「分かりました」

 俺は犬、楓ちゃんはアザラシと記入して次の質問を待つ。

 まぁ、俺が犬を選んだ理由は、ふと茜のことが脳裏に浮かんだからだ。

 ほら、あいつすっごい犬っぽいだろ?

 と思っていると、次の質問が表示された。

「次は──『休日にしたいこと』ですか。わ、私は葉雪にぃさんと、その……イチャイチャしたい、です」

 楓ちゃんは頬を朱色に染めながら、濡れた瞳でチラチラとこちらを見てくる。

 なにこれ、すごい可愛いんですけど。

「まぁ、そのうち、ね。俺はそうだな、読書とかかな」

 そう言いながら、俺は読書と記入。楓ちゃんはそのまま好きな人とゆっくりと書いた。

 それから更に四つの質問に答え、そして結果が表示された。

 

「えっと、私と葉雪にぃさんの相性は──『家族レベル。親公認のカップルのようだ』ですって。……葉雪にぃさん」

 結果を見た楓ちゃんは、瞳を潤ませ期待の眼差しを向けてくる。

 こ、この場合、俺はなんて返せばいいのだろうか。

 少し悩み、俺は「まぁ、確かに俺と楓ちゃんは家族だからね」と苦笑した。

 すると楓ちゃんは、頬を膨らませ、更には唇を尖らせる。

 そして拗ねた口調で、

「そうですねっ」

「あっ、待って楓ちゃん」

 そのまま楓ちゃんは一足先に戻ってしまった。

 旅館に帰ったら、ちゃんと機嫌を直してもらわないとな。

 そう思いながら、俺は楓ちゃんの後を追って皆の待っている場所に戻った。

 

 さぁ次の人だ──というところで時刻は十二時過ぎ。

 お昼時となり俺たちは一階にあるフードコートへ向かった。

 ゲーセンデートはまだまだ続く。少しばかりの休憩の後にね。

この作品を読んで頂きありがとうございます!

誤字脱字、改善点等がございましたら容赦なく教えてください!

この作品を読んで頂いた読者様に最大の感謝を

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