第39話
後始末です
「大騒ぎだな。」
「大騒ぎですね。」
「(ガヤガヤです)」注:筆談です。
イチコ、イズミの二人が『白霧と黒沼の森』に戻ってきた。
で、外の様子をフォッグたちと、リョウ以外の眷属たちに聞いたところ現在、人間たちは二派に分かれて争う状況になっているようだ。
具体的に言うと眷属を容認するか。しないか。の二派であり、する派は眷属自身とその眷属に親しい人たちが中心になっていて、しない派は正人間教会が中心になっている。
ただ我が国に限っては圧倒的に容認派に傾いている。
まあ、原因は分かり切っている。この場に居る三人が起こした正人間教会虐殺事件だ。ただ、この事件は世間で『霧の粛清』と呼ばれ、俺たち三人への批判よりも正人間教会への非難の声の方が大きくなっている。
どうやら俺たちが去った後に現場を改めたところ人間達の想像以上の被害が確認されたらしい。
自業自得だな。
ちなみに敵に塩を送る形になるが、正人間教会全体がああいうクソ組織と言うわけではない。むしろ本部の方の連中は本気で魔王とその眷属を殲滅しようと考えているが、そのためにはきちんと人々を助けることが必要だという考え方を持てている組織である。
というかこの国所属の連中が酷過ぎるだけだ。
閑話休題
さて、『霧の粛清』だが、あれを行った恩恵は一応あった。
「イチコはレベル上がったんだよな。」
「はい。6から7に上がりました。」
「イズミは?」
「(4→5)」
「俺もやっと3から4だもんな…。」
そうレベルアップである。ぶっちゃけ2,3か月ぶりのレベルアップである。
ちなみに気になったのでヘルプ君に確認したところ魔王の場合は3、眷属は6、人間は10ぐらいから急激にレベルアップしづらくなるそうで、特に魔王の場合レベル7以上になるとレベル1の人間相手ではどうやっても経験値が手に入らなくなるそうだ。
というわけで久しぶりのレベルアップ作業である。まあイチコはそろそろ俺対策のスキルを覚えたいらしいから公開するのは俺のステータスだけだけどなー
「ステータス オープン!」
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Name:クロキリ(蝕む黒霧の王)
Class:魔王 Race:蝕む黒霧の王
Level:4
HP:1910/1910 ↑100
MP:2210/2210 ↑130
SP:2140/2140 ↑110
Status
筋力 40
器用 55
敏捷 56
感知 45
知力 63 ↑2
精神 73 ↑1
幸運 10
Skill
≪迷宮創生≫≪魔性創生≫≪蝕む黒の霧≫≪循環≫≪霧爆≫ New!≪幻惑の霧≫
Title
≪蝕む黒霧の王≫≪白霧の奇襲者≫≪霧人達の主≫≪外を見た魔王≫≪鬼殺し≫≪魔王を討ちし者≫ New!≪奇跡を騙るもの≫ New!≪霧人達の王≫ New!≪扇動者≫ New!≪甘い毒の言葉使い≫ New!≪霧の粛清者≫
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「…。」
すごく称号が増えてる。というかさ、≪霧人達の王≫や≪扇動者≫、≪甘い毒の言葉使い≫に≪霧の粛清者≫は自分でも納得するけど≪奇跡を騙るもの≫って何?あれか。≪魔性創生≫を利用した治療法の事か?俺はあれを奇跡だといった覚えは無いぞ。きちんとあれは人間を辞めるって患者には伝えたぞ。
まあいい。これ以上は突っ込まないでおこう。
さて、新スキル≪幻惑の霧≫だが、これは霧の中にいる生物に幻覚を見せるスキルだ。見せられる幻覚の種類に制限はない。つまりは術者のイメージ次第の幻覚を見せられることになる。
で、≪幻惑の霧≫の使用条件には霧が出ていることが上げられるが、俺にはそんな条件はあって無いようなものである。なぜなら俺自身が霧の上に≪霧爆≫で好きな場所に霧を発生させられるからだ。
ふふふふふ。エゲツないぜい。
と、二人も作業完了か。
「さて、これからどうするかな…。」
「第4階層を作るんじゃないの?」
「それは作る。ちなみにイメージというか構想としては霧人達の都にする予定で、外で窮地に立たされた霧人達の受け入れ先だな。」
「(イズミたちの家?)」
「そういう事。まっ、当面は必要ないだろうけどな。」
そう。当面は必要ない。これも『霧の粛清』の恩恵と言うか、むしろこのためにやったのだが、誰が霧人なのか。と言うのをむやみやたらに調べようという人間はまず居なくなった。俺の怒りに触れたらどうなるか分かったからだ。
まあ、それでも調べようとする奴はいるが、少なくとも今回のような連中はもういない。
「で、俺はそれでいいけどイチコ達はどうするんだ?」
「私たちは西に向かおうと思います。此方ではさすがに活動しづらくなったので」
「西…となると『戦獣達の狐都』がある方か。『百獣纏う狐姫』に気を付けろよ?交流がないからどこに逆鱗が潜んでいるか分からない。最悪の場合、眷属を増やしただけで戦争になるかもしれん。」
「はい。」
「(イチコねーちゃんはイズミが守るよ)」
二人が立ち上がる。
「ではクロキリ。その首を洗って待っていてくださいね。」
「そもそも俺に首はないけどな。」
そして二人は『白霧と黒沼の森』の外に出て行った。




