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日本の食卓

本日2回目の更新です。

……………………


 ──日本の食卓



 結局、その日はアーティファクトになるものならないものの調査及びアーティファクトになる武器の調達、そして魔力回復ポーションの生成で終わった。


 帰り道でも魔物は再生成されておらず、明日が再構成の日だと思われた。


 そして、今日は時間に余裕ができたので自炊をすることにした。最近は外食がどうしても多くなりがちで、少しは自炊をしておかないと朱門のようにカップ麺で過ごすような人間になってしまう。


「久隆。今日はダンジョンには潜らないのか?」


「まだ魔物が再構成されていない。ダンジョンに潜っている最中に再構成されても困る。余裕を持たせておきたい」


「そうか。怪我人はいるか?」


「今のところはいない。だが、これからまた作戦行動を始めれば負傷者がでるだろう。それから俺の義手のメンテナンスを頼みたい。いつ人工筋肉が断裂するかと怯えながら戦闘はしたくないんでな」


「分かった。金は?」


「ほら。今まで倒した連中の分がまだ残っている」


 超深度ダンジョンは流石は戦略的な場所に認定されるだけあって、魔物は大量の金貨と宝石を落とす。久隆たちは次々に魔物を撃破しているが、倒した後の金貨や宝石を拾っていく余裕はないのだ。金貨も宝石も重量があるのだから。


 なので、金貨と宝石の回収は帰還時にちょくちょく行っていくことにしている。これまで倒した魔物だけでも相当な数の金貨と宝石がある。


「毎度あり。下手なマフィアを相手にしているより儲かるぜ」


 朱門はそう告げて車からトランクを取ってきて、金貨と宝石を詰め込んだ。


「その代わり、よろしく頼むぞ?」


「おう。それと俺もそろそろダンジョンに入っていいか?」


「ふうむ。15階層までの掃討戦が終われば構わないが、どうしてそこまでダンジョンに潜りたがる? 正直に言ってあそこは快適とはほど遠い空間だぞ」


「興味だよ、興味。人間、好奇心を失なっちまったら、死んだも同じさ」


「困った奴だ」


 もしかすると、朱門は本当にダンジョンが存在して、魔物が金貨と宝石を落としていることを疑っているのかもしれないと久隆は思う。何せ、マフィアと取引して現金化しているのだ。下手をして贋金を掴まされたくないのだろう。


「明日、15階層の掃討戦が終わったら連れて行ってやる。15階層で手当てを必要としている人間がいるかもしれないから、医療品を持って行ってくれ」


「了解。楽しみにしてるぜ」


「晩飯はどうする?」


「ああ。晩飯か。街の方に行って食ってくる。街の方でいいバーも見つけたし、そこに寄ってから帰りたい。いや、バーでいい女を引っ掛けたら泊りになるかもな」


「はあ。享楽的に生きているな」


「当り前だ。人生は楽しむために存在するんだ。苦痛のためでも、恐怖のためでもない。世の中の生きてるために生きている連中が俺は大嫌いだ」


「そうか」


 久隆もダンジョンが見つかるまでは生きるために生きていたのだが。


「さて、晩飯の買い出し行くか」


「自炊か? 精が出るな」


「外食ばかりだとな」


 外食が悪いということはない。栄養を考えるならば、むしろ外食の方がいいぐらいのことがある。作るのが面倒な料理でもちょっと金を払えば出てくる。それでいて栄養バランスも考慮されている。もちろん、一部の店はそういうものを考えていないが。


 だが、今は医療費削減のために飲食店には栄養バランスを調節することを厚労省が求めているし、それを定めた法令もある。栄養バランスの整った食事を提供する店には補助金が支払われ、そうでない店からは納付金が取られる。


 それでも昔ながらの油っこいラーメン屋は続いているし、焼肉屋も潰れてはいない。彼らは食品工場で作られた栄養バランスの調整された食材を使うことで栄養バランスをある程度保たせているのだ。


 だから、外食は悪ではない。節約の必要のない久隆のような人間にとっては外食は手軽な手段だ。店までが遠いという点を除くならば。


 しかしながら、毎度毎度外食というのは人間を怠けものにさせると久隆は考えている。軍の訓練と同じだ。定期的に訓練を行っているからこそ、いざという時ちゃんと働けるのだ。訓練を長い間怠ると、それだけ体も怠ける。


 自炊も同じこと。久隆は毎回毎回外食をするような気分ではなかった。確かに外食や弁当で済ませることもあるが、可能な限り料理をしたかった。それは自分自身の新しい趣味になるかもしれないという期待があったからだ。


 それに自分で作れば味付けについては自分好みにできる。


「魚が苦手な奴はいるか?」


「あたしは平気ですよ!」


 マルコシアが真っ先に声を上げた。


「どんな魚なの?」


「焼いた魚」


「ええー……」


「まあ、美味いから騙されたと思って食ってみろ」


「そこまでいうならそうするの」


 レヴィアは渋々と受諾。


「自分は平気であります」


「わ、私も魚は好きですから……」


 フォルネウスとフルフルも同意した。


「よし。じゃあ、買い出しに行って来る。ついて来たい奴はいるか?」


 久隆が尋ねる。


「レヴィアは家でゲームしてるの。これ、面白いの! フルフルも一緒にやるの!」


「は、はい、陛下」


 ここでレヴィアとフルフルが脱落。


 都市を発展させるゲームはアイテムの交換要素もあるので、フルフルもプレイして、レヴィアの都市にはないアイテムを探している。フルフルも結構楽しんでいるのだ。


「自分も買い物には興味があるのですが、陛下を置いていくわけにはいきませんので、ここで待たせていただきます。申し訳ありません、久隆様」


「いや。気にするな。ついてこなくちゃいけないわけじゃない」


 フォルネウスが申し訳なさそうにそう告げる。


「あたしはご一緒します!」


「そうか。別に家にいてもいいんだぞ?」


「そういわないでくださいよ、久隆様。あたしも手伝えることは手伝いたいんです」


「じゃあ、よろしく頼む」


 久隆はマルコシアを連れてスーパーに向かった。


「今日は何にされるんですか?」


「そう難しいものは作らない。ほうれん草の和え物、ナスのお浸し、味噌汁、そして焼き鮭。ナスはもらった奴を消費しないとな。揚げびたしにしても美味いんだが、流石にそこまでの気力はない」


「あげびたし……?」


「一度油で揚げるんだ。それをタレに漬け込む。美味いぞ」


「へー。食べて見たいですね!」


「いつかな」


 ナスと言えば後は麻婆ナスや漬物、カレーの具材やみそ汁の具材。この季節のナスは美味いので何にでも使える。もっとも、365日旬を問わずに野菜は工場で生産され、一定価格で出荷されているので、美味い時期なんてのはそうそうあるものではないが。


 ただ年寄りたちが差し入れてくれる野菜はいわゆる自然農法──この言葉の定義はここ数年で大きく変化した──のものなので、旬というものがしっかりとしている。


 さて、今晩の飯はこてこての日本食だが、彼らは認めるだろうかと思いながら、久隆はスーパーに向けて車を走らせた。


……………………

本日の更新はこれで終了です。


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― 新着の感想 ―
[良い点] じっちゃまばっちゃまの差し入れ、普通に高級品ですよね(・∀・*) 実は都会ではブランド品種だったりとか?
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