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アーティファクトのテスト

本日2回目の更新です。

……………………


 ──アーティファクトのテスト



 昨日の焼肉パーティーが終わった後、久隆たちは風呂に入り、早々に寝た。


 そして、次の日にはやるべきことがいろいろとあった。


「まずはアーティファクトに認証されるものの違いだ」


「そうですね……。私としてもちょっと興味があります……」


 久隆たちは早めの朝食を済ませ、彼らはホームセンターに向かった。


 レヴィアとフルフルだけでもおかしな集団だったのに、今やそれにマルコシアとフォルネウスまで加わっているのだから、人目を引かないはずがない。


「やあ、球磨さん。そっちの人たちは誰だい?」


 村の年寄りのひとりが怪訝そうにそう尋ねてきた。


「遠方の親戚ですよ。日本のアニメや漫画が好きでしてね。そういう格好をしているんです。お騒がせして申し訳ない」


「いやいや。構わないよ。日本のアニメや漫画もまだ世界に通じているんだね」


 これはコスプレです、で押し通している久隆だが、内心はひやひやしている。


「さて、手早く済ませよう。今、俺が持っている斧のブランドはこれだが、これからアーティファクトの感じはするか、フルフル?」


「……いいえ。ただの斧です。やはり、ダンジョンが関係しているのでしょうか……」


「そうか」


 実際にダンジョンに持ち込まないとアーティファクトかどうかは分からない。


「値段が基準、ってことはないと思うが……」


 久隆の使っている日本製の斧は高価格帯の斧だ。


 では、低価格帯の斧はアーティファクトにならないのか?


 そんなことでアーティファクトかどうかが決まっているのは俗っぽすぎる。条件のひとつではあるかもしれないが、もっと具体的な違いがありそうだ。久隆は自分の持っている斧と他の斧を見比べていく。


「ふむ。価格帯が違うと何が違うのか」


「と、特殊な金属が使われているとかは?」


「日本刀じゃあるまいし。隕鉄を使っているとかそういうことではないだろう。何だろうか。パンフレットを読む限り、違いは特に──」


 久隆はパラパラと置かれているカタログに目を通す。


 そして、そこで見つけた。


「ああ。高価格帯の斧は一流の職人が作っている。全て手作業で。低価格帯は量産品だ。これは関係あると思うか?」


「ど、どうでしょう……。実際に試してみませんと……」


「よし。試してみよう」


 久隆はそう告げて高価格帯の別ブランドの斧を一挺と低価格帯の斧を別々のブランドで二挺購入した。レジ係の顔見知りのパートの女性は『斧をこんなに買って、風変わりな親戚へのお土産にするつもりなんだろうか?』という顔をしていた。


 だが、非合法なことはしていない。斧を買っても犯罪じゃない。


 久隆は大急ぎで自宅に帰り、斧をバックパックに詰め込み、ダンジョンに向かう。


「さて、ダンジョン内に入ったが。どうだ、フルフル?」


「これとこれはアーティファクトです! こっちはアーティファクトではありませんね。やはり職人の手作りというのが何かしらの作用を及ぼしているのでしょうか?」


「今のところ、条件はそれだけだ。つまり、この斧みたいに一流の職人による手製の品しかアーティファクトにはならないと見ていいだろう。俺の持っているこのライトや防弾チョッキ、持ち込んだ非常用発電機などは壊れる可能性があるということだ」


「ふうむ……。しかし、この世界と我々の世界の違いが明白になりましたね……。この世界では太古の魔法の品でなくともアーティファクトとなる……。これではアーティファクトが簡単に量産できてしまいます……。ぐ、軍事バランスも崩壊する可能性が……」


「安心しろ。そこまで大量の斧を持ち込む気はない」


 久隆は新たにアーティファクト認定された斧を腰に下げた。予備にするつもりだ。


「ところで、これとこれはアーティファクトになっているか?」


「これですか? ナイフと山刀ですね……。ええ、これらもアーティファクトですよ」


 久隆の軍用ナイフも、山刀も職人が作った炭素鋼の品だった。特殊作戦では度々ナイフなどの刃物を使う機会があるので、久隆は装備選びは慎重に行っていた。一流のブランドのものを。金に糸目はつけるな。自分の命がかかっていると。


「なら、武器はこれで十分だな」


 斧が二挺に、軍用ナイフが一挺、山刀が一振り。


 できれば飛び道具が欲しいがないものは仕方ない。今はレヴィアたちの魔法があるのでそれを頼らせてもらおう。何もかも自分でする必要はないのだ。他人に仕事を任せることも指揮官としての仕事だと久隆は考えた。


「お前たちもアーティファクトになりそうなものをホームセンターで揃えていいぞ。魔法組は近接防御用のナイフなどがあればいいだろうし、フォルネウスは予備の武器があった方が都合がよくないか?」


「それもそうですね。しかし、自分の得意とするところは魔法剣ですので。予備の武器を使う場合はそれこそギリギリの状態ですね……」


「最悪を想定しろ。実際の最悪はその想定よりも酷いことが常だ」


「胸に刻んでおきます。では、自分もナイフを」


 フォルネウスは刃渡り30センチほどの短剣を所持しているが、予備があった方がいいのは確かだ。いくらアーティファクトが壊れないとしても、魔物に突き刺さって抜けなくなったり、攻撃を受けて手から離れるかもしれない。


 戦場では丸腰になりたい兵士などいない。


「レヴィアたちはどうする?」


「うーん。レヴィアもナイフが欲しいの。アガレスとべリアはそういうのは危ないって言って持たせてくれなかったから」


「あー……。確かにちょっと心配ではあるな。怪我しないように扱えるか?」


「扱えるの! 魔王だから!」


「少し心配だが、一応与えておくか。いいか、無理に使おうとするなよ?」


「分かったの!」


 子供に刃物を持たせるのは酷く不安な久隆だった。


「フルフルとマルコシアはどうする?」


「おかまいなく。フォルネウスみたいに魔法剣の使い手ならナイフもそれなりに扱えるんでしょうけど、私たちみたいな宮廷魔術師団はその手の技術はからきしですから。久隆様とフォルネウスに守ってもらいます!」


「分かった。その分、魔法に集中してくれ」


「了解!」


 フルフルもナイフを持つのは嫌そうな顔をして拒絶の意志を示していた。


「じゃあ、後でホームセンターに戻って基準に合うナイフを準備するとして、魔力回復ポーションの成否は今の段階ではまだ分からないか?」


「ちょ、ちょっと見てきましょう……。ダンジョンでは通常よりも早く植物が生育するところがありますから……」


 久隆の問いにフルフルがそう答える。


「よし。じゃあ、10階層に」


 久隆たちは階段を下って10階層に降りる。


 がらんとした10階層の階段付近にLEDライトで照らされたレモングラスがわさわさと生い茂っていた。昨日、苗を植えたばかりとは思えないほどに育っている。


「こいつはまた」


「収穫しましょう!」


 マルコシアとフルフルがレモングラスを収穫する。


……………………

本日の更新はこれで終了です。


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― 新着の感想 ―
[一言] ドクダミとか凄そう。
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