87階層突破戦
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──87階層突破戦
86階層ではしっかりと休息を取った。
全員がかなりの魔法と体力を使って消耗している。休息が必要だった。
それから87階層に潜るかどうかが話合われる。
「この86階層では全員がよく戦った。全員の連携のおかげで勝利できた。だが、その分全員が消耗している。一度戻るか、それともこのまま90階層を目指すかだ」
「90階層を目指すの! きっと行けるのね!」
レヴィアはそう息巻く。
「あたしもいけますよ」
「私もです」
マルコシアとフルフルも同意する。
「自分もまだまだ大丈夫であります」
「私は言うまでもないですよね」
フォルネウスとサクラもそう述べる。
「分かった。では、進もう。だが、体力に少しでも限界が見えたら即時撤退だ。90階層に到達してもやることは偵察だけだ。本気で挑むにはまた準備が必要だろう」
「おー!」
そういうことで87階層に挑むこととなった。
久隆たちは87階層に降り、すぐさま索敵を始める。
「リザードマン36体。モンスターハウス並みだな……」
久隆は呆れたようにそう告げる。
「リザードマンは3つの群れに分かれている。85階層と同じ戦術でいこう。ただし、今回は数が多い。全員要注意だ」
「了解」
それから久隆は偵察を始める。
無人地上車両が走行していき、リザードマンの群れを確認する。
「リザードマン11体とリザードシャーマン1体。武器は槍と盾」
盾はこれまで鎧付きリザードマンが使ってきたものではなく、暴徒鎮圧用のライオットシールドに似た長方形の盾だった。厄介な相手だ。
「それぞれの群れも同様。よし、手前の群れから片付けるぞ」
久隆たちは再び打撃チームと狙撃チームに分かれ、リザードマンの群れに静かに忍び寄っていく。隠密は維持しておきたい。
久隆たちはどこまでも静かに群れに忍び寄り、目標を確認する。
リザードマンが盾を持って移動している。
「あれを隠密で仕留めるのには苦労するが……」
久隆は小石を拾ってリザードマンに放り投げる。
注意を引かれたリザードマンが盾を構えてやってくる。
そして、曲がり角を曲がった瞬間、久隆の斧がリザードマンを襲った。リザードマンの首が切断され、ごろりと転がる。
「まずは1体」
それから久隆は同じことを繰り返す。
リザードマンは1体、2体と仕留められていく。
『狙撃チームより打撃チーム。狙撃可能』
「やれ」
そして攻撃の機会が訪れた。
リザードシャーマンが狙撃され、リザードマンたちが叫ぶ。
「行くぞ!」
「了解なの!」
久隆たちは曲がり角から姿を見せて、リザードマンたちに襲い掛かる。
「『我が敵の守りを蝕み、錆びつかせよ!』」
防具劣化の付呪がフルフルによってかけられる。
「『降り注げ、氷の槍!』」
「『爆散せよ、炎の花!』」
リザードマンに魔法攻撃が叩き込まれ、一気に数が減る。
「畳むぞ!」
「はい!」
残敵を久隆とフォルネウスが掃討する。
「よし。次が来るぞ! 準備!」
次の群れが急速に近づいている。
『狙撃可能』
「仕留めろ」
次の群れは早急にリザードシャーマンが排除された。
リザードマンは戦闘音がした方向──つまり久隆たちの方向に向かってくる。
「フルフル! レヴィア! マルコシア!」
「了解!」
フルフルが付呪をかけ、レヴィアたちが打撃を与える。打撃チームはその名前に相応しい活躍をしていた。
『狙撃チームより打撃チーム。不味いです。リザードマンの群れがこちらに向かってきます。離脱の許可を』
「許可する。離脱しろ。残りはこちらで片付ける」
全ての群れが久隆たちのいいように動くほど甘くはなかった。
リザードマンたちの群れのひとつはサクラたちを目指して進み始めた。このままでは、戦闘力の低いサクラたちが正面からの戦いに巻き込まれる。
久隆たちはリザードマンの足音を追って向かっていく。
「打撃チームより狙撃チーム。離脱できたか?」
『難しいです。振り切れません』
リザードマンは機動力に優れている。獲物を追い続けることができるだけの機動力を備えているのだ。
「可能な限り、迅速に救援に向かう」
急がなければ。フォルネウスとサクラだけで相手にするには数が多い。
久隆は迅速に移動しながらリザードマンの足音を追う。
そして、追いついた。最後尾にいたのはリザードシャーマンだ。
久隆は何も言わず、ただリザードシャーマンの頭に斧を振り下ろした。
リザードシャーマンの頭が潰れ、それに気づいたリザードマンたちが振り返る。
「お前らの相手はこっちだ! かかってこい!」
久隆がそう叫び、リザードマンに斬り込む。
それと同時にフルフルが付呪をかけ、レヴィアとマルコシアが魔法を叩き込む。
一気に数を減らしたリザードマンたちが襲い掛かるのを久隆が仕留めていく。
やがて、群れは壊滅したのが確認された。
「フォルネウス! サクラ! 無事か!」
「無事です!」
フォルネウスの声が帰ってくる。
「サクラは?」
「ここです」
曲がり角からひょっこりとサクラが顔を出した。
「なんとか逃げ切れたな」
「逃げながら矢を射る羽目になりましたよ。もう勘弁してもらいたいですね」
サクラは不満そうにそう告げる。
「すまん。こういう時のことも考えておくべきだった」
「大丈夫です。2名だからこそ、逃げるのも楽でしたから」
サクラはそう告げて首を横に振る。
「それよりこの階層のリザードマンは?」
「恐らく壊滅したと思うが、調べてみることにする」
久隆たちは87階層を隅々まで探索して、階層がクリアになったことを確認した。
「クリアだ。この調子で90階層まで行けると思うか?」
「どうでしょう。この作戦はレヴィアちゃんたちの負担が大きいですから」
そう告げてサクラはレヴィアたちを見る。
「レヴィアはまだまだいけるの!」
「任せてください」
レヴィアたちは気合いは十分だが……。
「正直に言って、お前たちの疲労はお前たちにしか分からないところがある。俺が気づくほど表に出てきたら、既に手遅れだ。本当に大丈夫なんだな?」
「大丈夫なの!」
レヴィアたちは頑なにそう主張した。
「分かった。お前たちを信じる。だが、本当に少しでも予兆があればいうんだぞ? まだまだ時間的猶予はあるんだからな」
久隆は渋々とそう認め、88階層に潜ることになった。
88階層、89階層を突破すれば90階層だ。
果たして本当に90階層までいけるだろうかと思いつつ、久隆は備えた。
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