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教導

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 ──教導



 久隆たち日本国防四軍の軍人たちは西側の軍隊としての教育を受ける。旧軍のやり方を踏襲することもあるが、それは一部であり、ほぼ西側の現代的な戦い方を得ている。軍艦の設計から運用思想まで西側の軍隊だ。


 だから、久隆は負けたドイツ軍のやり方を真似するつもりはなかった。久隆たちの捜索班は確かにエースパイロット級のエリート部隊かもしれない。だが、それをいつまでも前線に張り付かせるのではなく、後進の教育に当てる。そうすることで平均的な戦闘量を強化し、全体としての戦力を向上させ、物量においても勝るように導くのだ。


 連合軍の将軍たちとて無限に駒があったわけではない。東部戦線のソ連軍と比較すれば英米はかなり少数の戦力で戦っている。ソ連軍は大規模な動員が可能な工業力があり、かつ大規模な戦力を扱うドクトリンがあった。だが、それでも駒は無限ではない。戦力には限りがあるし、戦線は広大だ。


 ここから久隆たちが連合軍と同じように勝利するには、連合軍の将軍たちと同じように頭を働かせなければならないだろう。あるいは圧倒的物量を前に押しつぶされまいと奮闘したドイツ軍の将軍たちのように。


 局地的には4号戦車という装甲の脆弱な戦車でソ連軍の傑作とも言われる優秀なT-34中戦車シリーズやKV-1重戦車、IS-2重戦車に立ち向かったドイツ軍の経験が活かせるかもしれない。


 旧大日本帝国軍の対戦車戦はあまり参考にならない。旧大日本帝国軍がアメリカ軍の戦車部隊に損害らしい損害を与えたのはほぼ防衛戦闘の際だ。久隆たちは旧大日本帝国軍のように守りに徹するわけにはいかないのだ。


 しかしながら、旧大日本帝国軍もドイツ軍も歩兵が戦車を倒す術についてはよく研究していると思われる。ドイツ軍の方は様々な対戦車歩兵戦術を生み出しているし、旧大日本帝国軍も同じように友軍機甲部隊のいない状況で戦車を相手にしている。


 対魔物戦を歩兵戦闘と考えるのは難しい。白兵戦について久隆は多くを学んできたが、身長3メートル近い牛頭の怪物と銃器なしで戦う方法など学んでいない。


 やはり戦車を相手にするように戦った方がいいと思われる。


「では、他の部隊が準備を整えたら出発だ。こっちも準備を整えておけ」


「了解」


 魔法使いたちは魔力回復ポーションの在庫を確認して補充し、騎士たちは災害非常食などが詰まった背嚢を背負う。魔法使いには力仕事はさせないというものなのか、バルバトスたちだけで食料と水を準備している。


「準備完了です」


「他の部隊も完了したようだ。いくか」


 久隆たちは61階層に続く階段の前に立つ。


「では、諸君。最初は合同作戦だ。これで諸君らの実力を見させてもらう。気合を入れて戦え。だが、友軍を間違って攻撃することのないように連携してかかれ」


「了解!」


 久隆はレラジェたち偵察部隊から渡された地図を基に部隊の配置を決める。


 まずは久隆たちの部隊が展開し中央の廊下を中心に進む。


 次にフォルネウスの部隊が展開し右手の廊下を中心に進む。


 最後にフルフルの部隊が展開し左手の廊下を中心に進む。


 進路と時間をずらすことによって連携はやりにくくなるが、友軍誤射(ブルー・オン・ブルー)は起きにくくなる。友軍誤射(ブルー・オン・ブルー)が発生すると、後にしこりが残ってしまうため、絶対に避けるべきと久隆は考えていた。


「友軍識別はライトで行う。各部隊の先頭と後方を進む兵士はライトを身に付けろ。そして、常時明かりをつけておくように。この規模の作戦で隠密行動は不要だ。大勢で挑み、薙ぎ倒す。その意気込みで行こう」


 久隆は最後にそう告げて魔族たちを見渡した。


「これは腕試しだが、真剣にやれ。決して気を抜くな。重装ミノタウロスは侮れる相手ではない。ゴブリン1体でも命取りになるのが戦場だ。心せよ」


「了解!」


「では、出発」


 久隆の部隊から61階層に降りていく。久隆たちはレラジェたちの偵察結果通り中央の廊下を中心に、ダンジョン内を進み始めた。


 続いてフォルネウスの部隊が展開する。先頭はフォルネウス。最後尾はマルコシアが担当。フォルネウスは後方支援はマルコシアに一任したようだ。


 続いてフルフルの部隊が展開した。先頭はサクラ。隊列中央をフルフル。この部隊の指揮官はサクラになる。


 3つの部隊が前衛と後衛に分かれて、ダンジョン内を進んでいく。


「気を付けろ。近いぞ」


 久隆が警告を発する。


 全員に殺気が漲るのが感じられた。


「手順を忘れるな。魔法攻撃で攪乱。それから白兵戦だ。落ち着いてやれ」


「はい」


 久隆たちはダンジョンの中を重装ミノタウロスに向けて前進していく。


「接敵! 後衛は魔法を叩き込め!」


 そして、接敵。重装ミノタウロスの数は5体。武器は長剣と盾。


 厄介な組み合わせだ。


 だが、そんなミノタウロスたちも魔法には弱い。


「『吹き荒れろ、氷の嵐!』」


「『削り取れ、砂の嵐!』」


「『焼き尽くせ、炎の旋風!』」


 後衛のレヴィアを含めた3名の魔法がミノタウロスを襲う。


 重装ミノタウロスはパニックに陥ると同時にかなりのダメージを受けた。


「突撃だ。続け!」


「はい!」


 そして、久隆たちが突撃していく。


 久隆は重装ミノタウロスの頭に斧を振り下ろし、バルバトスは長剣で重装ミノタウロスの眼球を貫き、それぞれ即死させる。


 5体中2体が死亡。残った3体に2名の騎士が突撃する。


 だが、重装ミノタウロスも立て直し、防御の姿勢を取る。


 重装ミノタウロスを有するラウンドシールドが攻撃を弾き、騎士2名は押し返される。


「一旦下がれ! 無茶はするな! 前衛が距離を取って後衛が魔法攻撃! タイミングはレヴィアに任せる!」


「任せるのね!」


 重装ミノタウロスを前に騎士2名が素早く撤退する。


「今なの! 『吹き荒れろ、氷の嵐!』」


「『貫き抉れ、土の槍!』」


「『燃え上がれ、炎の洗礼!』」


 重装ミノタウロスたちは魔法攻撃に晒され、再び混乱する。それもレヴィアともうひとりの魔法使いの魔法で急激な温度変化が生じ、ラウンドシールドにひびが生じる。


「今だ! 畳め!」


 久隆と先ほどの騎士2名が突撃する。


 久隆は重装ミノタウロスのラウンドシールドを蹴り飛ばし、よろめかせると頭に斧を叩き込んだ。斧が叩き込まれた重装ミノタウロスが即死し、倒れる。


 騎士2名はもう一度攻撃に挑んだ。どちらの重装ミノタウロスも魔法攻撃で深手を負っている。トドメを刺してやればいい。騎士たちは短剣で重装ミノタウロスの目玉を狙い、剣を突き出す。


 突き出された剣の刃が脳に達し、ミノタウロスが痙攣しながら倒れていく。


「撃破だ。よくやった」


 久隆は満足げにそう告げてトドメを刺した騎士2名の肩を叩いた。


「だが、まだ油断はするな。他の部隊が撃破するかもしれないが、重装ミノタウロスの足音は残っている。体制を維持したまま進軍。攻撃は基本的に魔法使いに任せ、前衛はとにかく重装ミノタウロスが後衛を攻撃するのを阻止しろ。それが基本だ」


「はい!」


 士気は上々。天を突くばかり。次はバルバトスに指揮を委ねてみて、様子をチェックするかと久隆は考えたのだった。


……………………

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[一言] >局地的には4号戦車という装甲の脆弱な戦車でソ連軍の傑作とも言われる優秀なT-34中戦車シリーズやKV-1重戦車、IS-2重戦車に立ち向かったドイツ軍の経験が活かせるかもしれえない。 装甲は…
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