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本日最後の探索

本日2回目の更新です。

……………………


 ──本日最後の探索



「時間がそろそろ夕方だ。4階層を回ったら、地上に戻ろう」


「むー……。5階層まで行くはずじゃなかったの?」


「2階層が予想以上に広かったからな」


 1階層を標準とすると2階層はとても広く2倍ほどの面積があり、逆に3階層は1階層よりやや狭かった。恐らくフルフルが地上に出るまで時間がかかったのも2階層のせいだろう。それほどまでに2階層は広かった。


 だが、もう2階層の地図もあるし、魔物も壊滅させてある。6、7日間は安全に通行可能だ。物資は明日届くので、物資を持ったらさらに深い層に短時間で潜れるだろう。しかし、6、7日間が過ぎればまた魔物が再構成されるというのは面倒だ。


「じゃあ、降りるぞ。足元、気を付けろ」


「分かったの」


 足元をライトで照らしながら階段をゆっくりと降りる。


 そしてすぐさま索敵に入る。


「今回はオーガは2体ほどだな。ほぼオークだ。今のところわかる数は9、10体ほどだな。3階層ほど苦戦せずには済みそうだ」


「ほ、ほとんど苦戦なんてしてなかったじゃないですか……」


 久隆は超深度ダンジョンのオーガだろうと、オークだろうと易々と屠っていく。オークに至っては付呪が必要ないぐらいである。武器は伝説の剣や魔法の剣というわけではなく、ただの斧だというのに。


「あれでも結構、神経を使うんだぞ。当たれば死ぬからな。まあ、ほぼレヴィアが上手く攪乱してくれるから、相手の攻撃の狙いが定まったことはないが」


「レヴィアも頑張ってるの!」


「ああ。よくやってくれてる。この調子で頼むぞ」


 そこでふと久隆は疑問を感じた。


「なあ、レベルが上がると魔法を新しく覚えるのか? それとも何かしらの講義を受けて、それで初めて使えるようになるのか?」


 レヴィアのレベルアップの件である。


 レヴィアは強力な魔法が使えるようになると喜んでいたが、それが全く新しい魔法なのか、それとも既存の魔法の底上げなのか。それが気になっていた。


「魔法はね、魔法はね、魔導書を読むことで新しく習得できるの。レベルが高い魔法使いはそれだけ高度な魔導書を読み解けるの。もちろん、今ある魔法の威力も上がるから、無理に魔導書を探さなくてもいいの」


「そうか。魔法絡みの話は俺にはさっぱり分からん。専門家であるお前に任せる」


「ドンと来いなの」


 レヴィアはそう告げて自慢げに胸を張った。


「さて、この階層はどれぐらいの広さだろうか。流石に2階層以上ってのは勘弁してほしいんだが、そこのところはどうなんだ、フルフル」


「わ、私はとにかく走ってたので分かりません……」


「そうか。仕方ないな」


 人間、焦っていると自分の走ってきた道すら分からなくなるものだ。


 だから、軍隊では敵を攪乱することを重要視する。砲爆撃でストレスを与え、銃火の洗礼を施し、指揮官を狙撃することで敵の攪乱を狙う。敵が一度混乱状態に陥れば、彼らは自分たちが何をしようとしているかすら理解できなくなる。


 そうなれば後は簡単に料理できる。


 ダンジョン攻略も同じ要領だ。


 砲爆撃の代わりにレヴィアの魔法で攪乱し、敵が突然のことに混乱している状況下で久隆が畳みかける。魔物に指揮系統はないだろうが、そうであるが故に連携はより難しくなる。指揮官不在の軍隊など烏合の衆だ。


 そこにフルフルの付呪も加われば、敵なし。少なくとも10階層までは。


 フルフルは10階層以上はオークとゴブリンだと言っていて、偶然オーガを見逃していたが、それ以外にも敵を見落としているだろうか? フルフルは10階層でマンティコアに出くわして半狂乱になって最上層まで登ってきた。見落としはあるかもしれない。


 だが、オーガぐらいの相手ならばレヴィアの援護とフルフルの付呪があれば倒せる。


「ん……? 待て。金属音がする。金属と金属のこすれる音だ」


「え? それは鎧を着ているということじゃないの?」


「分からん。俺も鎧を着ている人間の音なんて聞いたことがない。だが、複数の金属がこすれている音がする。武器の類いじゃないな。武器が地面をこする音でも、武器同士がたまたまぶつかっている音でもない」


 持続的に聞こえる金属のこすれる音。それは足音がするのと同時に響く。


「あ、あわわわわ。地下15階層付近には鎧で武装したオークなどが出没していましたが、それではないでしょうか……?」


「分からんが、鎧を作る技術を連中は持っているのか?」


「も、もちろん、殺すことしか頭にない魔物にそんな知性はありませんよ。けど、ダンジョンが時々生成するんです。鎧や武器で武装した魔物を。そういう魔物は非常に、非常にひじょーに面倒です。連中の鎧は簡素ですが、分厚いですから」


「なるほど。工夫が必要だな」


「ち、ちなみに付呪で鎧を脆くすることはできます。使わないと戦えませんよ」


「じゃあ、出くわした時は是非とも頼む」


「う……。どうして私が人間のいうことなんか……」


 フルフルは杖を握りながら愚痴った。


「金属音、近い。この先だ。レヴィア、確認を頼む」


「任せるの」


 久隆が曲がり角から鏡を出して様子を探るのにレヴィアがそれを覗き込む。


「よ、鎧を着たオーガなの……。かなりやばい相手なの……」


「ふうむ。だが、鎧さえどうにかできればさっきのオーガと同じだろう?」


「それはそうだけれど……。戦うの?」


「どのみち、安全に物資を移送するには魔物は全滅させておく必要がある。いつかは出くわして戦うことになるだろう。なら、奇襲できるときに奇襲しておく方がいい」


「それもそうなの。では、レベルアップしたレヴィアの力を見せてやるの」


 レヴィアは気合いを入れてそう告げた。


「頼むぞ。フルフルも付呪を頼む。魔力はまだ大丈夫か?」


「だ、大丈夫です。まだまだ戦えます。に、人間なんかに心配されなくとも……」


「よし。では、始めるぞ」


 まずはフルフルが久隆に身体強化の付呪をかけ、その効果が切れる前にレヴィアが魔法を叩き込む。ここまでは上層と変わりない。


「『吹き荒れろ、氷の嵐!』」


 レベルアップした影響か、レヴィアの魔術が強力になっている感じがする。氷によって引き裂かれるオーガたち。鎧を纏ったオーガだけがその攻撃に完全に耐えている。


「フルフル! 行くぞ!」


「わ、分かりました!」


 そして、久隆が飛び出る。


「『我が敵の守りを蝕み、錆びつかせよ!』」


 フルフルがそう詠唱すると、オーガの纏っている鎧がみるみる劣化していく。


「上等」


 久隆が斧を振るう。オーガは首を狙った一撃を鎧を纏った腕でカバーしようとしたが、腕ごと切断され、首も刎ね飛ばされた。鎧は確かに脆くなっており、久隆の斧は刃こぼれのひとつもせず、相手を屠った。


「残り!」


 オーガとオークの混成部隊が壊滅したのはそれから30秒後のことだった。


……………………

本日の更新はこれで終了です。


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