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52階層から54階層

……………………


 ──52階層から54階層



 久隆たちに迫る重装ミノタウロス。


 久隆たちは適切な間隔──レヴィアたちの魔法の射程に重装ミノタウロスの列の後方が入り、なおかつ久隆たちが重装ミノタウロスを押さえられる間隔──を空けて展開し、重装ミノタウロスを待ち構えた。


 そして、重装ミノタウロスが闘牛のように突撃してくる。


 闘牛より厄介なのは敵がハルバードで武装しているという点だ。


 ハルバードを振り上げ、1体目の重装ミノタウロスが突っ込んできた。


 それを迎え撃つのは久隆。


 振り下ろされ、同時に久隆を捕らえ損ねたハルバードに回し蹴りを叩き込みハルバードを重装ミノタウロスの手から離す。それと同時にそのままの勢いで、重装ミノタウロスの腹部に蹴りを叩き込んだ。


 重装ミノタウロスは勢いを失ったばかりか、後ろによろめき、突撃してきた他の重装ミノタウロスを巻き込んで倒れる。


「レヴィア、マルコシア!」


「了解なの!」


 ミノタウロスは倒れ、動けずにいる。


「『降り注げ、氷の槍!』」


「『爆散せよ、炎の花!』」


 無数の氷の槍が脆くなった重装ミノタウロスの鎧を貫いてミノタウロスたちを串刺しにしていき、爆発がミノタウロスの顔面を叩き潰す。これで一気に5体あまりの重装ミノタウロスが金貨と宝石を残して消滅した。


「さあ、お客さんをお出迎えだ」


 仲間の死体──金貨と宝石を踏み越えてさらなる重装ミノタウロスが迫る。


 次のミノタウロスはハルバードを振るうのではなく、突きに使い、久隆を狙って何度もハルバードを突き出してくる。


 久隆は斧でハルバードの突きを受け止めつつも、攻撃のタイミングを狙っていた。隣でもフォルネウスが同じように突きで攻撃を行う重装ミノタウロスと交戦中だ。


「フォルネウス! 行けるか!?」


「行けます!」


「なら、やるぞ」


 久隆とフォルネウスはタイミングを合わせて重装ミノタウロスの突きを躱すと、ハルバードを掴み一気に引きずり寄せる。


 久隆の方は完全に重装ミノタウロスがバランスを崩し、フォルネウスの方は重装ミノタウロスがよろめいた。


 そして、攻撃に移る。


 久隆は重装ミノタウロスの頭を叩き潰し、フォルネウスは眼球を短剣で貫き、炎上させる。どちらの重装ミノタウロスも死亡した。


「よし、次だ」


 残り7体。


 久隆は斧を握って、重装ミノタウロスと対峙しつつ、レヴィアたちが魔法を放つ瞬間を作ろうとしていた。どうにか前列の重装ミノタウロスを後方に押し込めば、纏めて魔法で叩きのめせる。


 その時、矢がフォルネウスの対峙している重装ミノタウロスを貫いた。


「押し返すなら今です」


「助かった」


 久隆は一気に距離を詰め、重装ミノタウロスがハルバードを振り上げるのを狙って重装ミノタウロスの頭を叩き潰した。


 前列が壊滅し、後方に向けて倒れた重装ミノタウロスの体で列が狭まる。


「今だ! レヴィア、マルコシア!」


 久隆が叫ぶ。


 魔法攻撃が叩き込まれ、天井から降り注いだ氷の槍にミノタウロスが頭を貫かれ、顔面が爆発で弾き飛ばせる。これで一気に4体が倒れた。


 残り2体。


 勝負は呆気なくついた。


 久隆は残り2体のミノタウロスをフォルネウスとともに片付け、52階層での戦闘は終結した。友軍に損害なし。決定的勝利だ。


「さて、重装ミノタウロスの脅威は大体分かってきたな。近接戦闘でも油断しなければ勝てるし、遠距離火力は絶大な効果を発揮する。重装になっても、ミノタウロスはミノタウロスだ。このまま進んでいけるだろう」


 久隆は重装ミノタウロスの脅威をミノタウロスと同程度と判断した。


「付呪は大丈夫ですか?」


「ああ。今の調子で問題ない。全員、どれくらい魔力を使った?」


 久隆がレヴィアたちに尋ねる。


「3/4くらいなのね。まだまだ余裕なのね」


「半分くらいでしょうか。でも、すぐに回復しますよ」


 レヴィアたちはそう告げる。


「フルフルは?」


「半分ほどでしょうか。重ね掛けはギリギリでできる範囲内です」


「そうか。では、休憩を挟んで53階層を突破しよう」


 久隆たちはいつものようにチョコレートで休憩を取り、体力がちゃんと回復したのを確認してから、53階層に降りていった。


 53階層の戦闘も52階層の戦闘と差はなかった。


 ただ、重装ミノタウロスの数が増えているだけだ。今度は20体の重装ミノタウロスを相手にすることになった。だが、久隆たちは何の問題もなく、20体の重装ミノタウロスを屠った。ひやりとすることもなく、重装ミノタウロスは壊滅した。


 54階層の戦いはやや苦戦した。


 重装ミノタウロスが長剣と盾で武装していたからだ。


 久隆たちの攻撃を盾で防ぐ重装ミノタウロスというのは厄介だった。


「フォルネウス! 準備しろ!」


 久隆は重装ミノタウロスの盾に回し蹴りを叩き込む。


 重装ミノタウロスがよろめいた瞬間にフォルネウスが短剣でミノタウロスの眼球を貫く。久隆たちはコンビネーションを組んで、盾持ち重装ミノタウロスと戦った。


 久隆が怯ませ、フォルネウスが叩く。レヴィアが怯ませ、久隆とフォルネウスで叩く。マルコシアが叩き、サクラが追撃する。そのような連携攻撃で、久隆たちは盾持ち重装ミノタウロスを1体、1体、確実に撃破していった。


「クリア」


 最終的に盾持ち重装ミノタウロス12体は壊滅した。


「不味いな。重装ミノタウロスでも装備によっては非常に面倒な敵になる。脅威はその時々で更新しなければならないだろう」


「そうなのね。盾で攻撃を防がれると困るの!」


 レヴィアの氷の槍も盾によって防がれていた。


「やはり全体に防具劣化の付呪をかけるべきでは?」


「ああ。盾持ちの場合はそうするべきだろう。盾は面倒だ。衝撃で手放すこともないし、どこまでもこちらの攻撃を防御してくる。そして、それと同時に攻撃してくるのだから、面倒なことこの上ない」


 盾持ち重装ミノタウロスが装備していたラウンドシールドは動きをあまり制限することなく、的確に攻撃を弾いていた。腕に固定されているので、武器のように衝撃を与えて手放させるということもできない。


 こればかりはフルフルの付呪に頼るしかないだろう。


「しかし、死体が残らないのが痛いな。死体が残るならば鎧でも装甲の薄い部位を見つけたりできるのだが。流石に全て均一の厚さというわけではないはずだ」


 装甲車や戦車もそうだが、装甲というのは必要な部位を厚くし、そうでない部分は薄くするものだ。


 戦車ならば正面装甲が厚い。基本的に戦車は敵に主砲を向けて戦うものであり、撃ち合いなればもっとも攻撃にさらされるのは正面装甲だ。側面や上部装甲も奇襲を受ければ攻撃を受ける可能性があるが、そちらまで同じような分厚さにしてしまっては重くて動けない戦車が出来上がってしまう。


 重装ミノタウロスも鎧の全てを分厚い装甲にしているとは考え難かった。首や胸部などは分厚く、厳重に守られているが、どこかに隙があるはずだった。特に手首などの稼働部位は装甲が薄くなると予想できていた。


「何にせよ、54階層もクリアだ。いよいよ55階層の偵察開始だ」


……………………

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