表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/284

さらなる階層へ

本日2回目の更新です。

……………………


 ──さらなる階層へ



 1階層での魔物とのエンカウントは1度だけだった。ゴブリンが4体。全て久隆が斧で叩き殺した。レヴィアもフルフルも出る幕はなかった。


「ここから先が2階層か」


「2階層の魔物はどのようなものだったの、フルフル?」


 そして、久隆たちはようやくさらなる地下に進む階段を発見した。


「2階層はやはりゴブリンとオークです。10階層まではほぼそうですね。ただ、どれもレベルが高いです。まともに相手にしていたら……」


「安心しろ。不味いと思ったらすぐに撤収だ」


「べ、べ、別に怖くはないですよ! 不甲斐ない人間でも死んではレヴィア様が悲しむだろうと思いまして、その……」


「俺も引き際は分かってるつもりだ」


 そう告げて久隆たちはダンジョンの地下2階層に足を踏み入れた。


「足音が複数。遠いな。そして、デカブツだ。オークで間違いないだろう。数は9から10程度。ゴブリンの足音はまだ分からない」


「凄い索敵技術なの。あの世界の軍人はみんなそうなの?」


「専門性が高い部隊はそうだ」


 特殊作戦部隊の隊員には専門性が求められる。


 索敵技術もそのひとつ。


 足音から敵の数を把握し、距離を掴む。エンジン音でどのような種類の兵器が迫っているかを把握する。地面の振動だけで敵の規模を予想する。


 久隆が海軍時代だったときには軍用ナノマシンも叩き込んでいたため、さらに感覚に鋭敏だった。500メートル離れた深夜の全く視界の利かない空間で、敵の動きや規模、そして任務などを把握できた。


 今でもそれなりのその手の技術は有している。


「一気に敵を無視して地下に潜るという手もあるが、ここはこの階層の地図を作っておきたい。隅々まで探索しようと思うが、どうだ?」


「賛成なの。いざ脱出するときに道に迷わなくて済むの」


「よし。じゃあ、調べていこう」


 久隆たちはゆっくりと足音を立てないようにダンジョン内を進む。


 レヴィアとフルフルは靴も買い替えており、歩きやすいトレッキングシューズを履いていた。前の靴よりも足音はしないし、何より歩き続けても疲労感は軽減される。金はあったのでいい靴を買っているのだ。


「近いぞ。次のまがり角の先ぐらいだ」


「レヴィアはいつでも援護できるの」


 久隆が告げるのにレヴィアが頷く。


「フルフル。よければそっちの力を試してもらっていいか?」


「え、あ、は、はい……。ですが、魔族に付呪をつけられて警戒しないのですか?」


「俺たちの目的は同じだし、俺はお前を信頼している」


「そ、そうですか……。うー……。では、やります」


 フルフルが杖を構える。


「『このものに戦神の加護を。力を与えたまえ。戦士に力を』」


「どんな魔法なんだ?」


「身体能力を強化する魔法です。人間を相手にしてはどれほどの効果があるのかは分かりませんが」


「試してみよう。レヴィアは敵の確認を」


 久隆たちは最初のころとは違って魔物に忍びより、陰から確認することにしていた。


「あれは敵で間違いないな」


「オークなの。けど、やっぱり超深度ダンジョンなだけあって、普通の中層深度のオークキング相当なの。凄いステータスなの」


「俺とどっちが上だ?」


「安心するの。久隆の方が上なの」


「なら、問題はないな」


 久隆は斧を構えると一気にオークへの距離を詰めた。


 オークの数は6体。まだ久隆に気づいていない。


「レヴィア! 援護だ!」


「ふ、『吹き荒れろ! 氷の嵐!』」


 氷の嵐がオークたちを襲う。オークたちの皮膚が引き裂かれ、顔にも氷の刃が命中し、一瞬視野が奪われる。その瞬間に久隆が襲い掛かる。


「む……?」


 いつもより体が軽い気がする。体の動きが滑らかだ。人工筋肉が数倍の出力を出してるかのように思われた。だが、久隆の適応も早かった。すぐに適応し、その軽くなった体の動きに合わせて攻撃を繰り出す。


 1体目のオークは首を刎ね飛ばされた。2体目のオークは腎臓を潰された。3体目のオークは肝臓を叩き潰された。4体目、5体目のオークは脊椎をやられた。6体目のオークは頭を叩き潰された。


 この間、僅かに30秒程度。


 久隆は以前、ナイフ1本で敵1個小隊を壊滅させたことがあるが、あのときよりも動きは滑らかで、速度も迅速だった。何倍もの速度で、人間より強力な敵を壊滅させた。


「これがフルフルの能力か。凄まじいな」


「フルフルは最高の付呪師なの!」


 久隆はここまで身体能力を引き上げたフルフルの能力に感嘆した。


「フルフル。お前の力は凄まじいな」


「に、人間に褒められても嬉しくないですから……。けど、まあ、これでダンジョン攻略の計画は立てられそうですか……? 15階層まで行き、アガレス閣下たちに物資を届けるということは可能そうですか?」


「ああ。これならまとまった敵でも相手できる。15階層までも夢じゃない」


「それはよかったです……」


 フルフルは安堵したように息をついた。


「け、けれど、やたらとは使えませんよ? 魔力に限度がありますからね?」


「分かってる。ここぞという時に頼む」


「分かってるならいいですけど……。本当に魔族の付呪を受けても何も思わないのですか? 嫌悪感は湧かないのですか?」


「使えるものはなんだろうと使わないと、このダンジョンは俺の手に余る。頼りにしてるからな、フルフル」


「に、人間なんかに頼りにされたって嬉しくありません!」


「大声を出すな。敵の注意を引く」


「す、すみません……」


 久隆は即座に索敵に入ったが、先ほどのフルフルの叫びに魔物が反応した様子はない。


「慎重に進めよう。ゲームと違ってゲームオーバーでリトライはなしだ」


 久隆はそう告げて地図を作成しつつ、ダンジョン内の魔物を排除していく。


 オークが10体、ゴブリンが12体、この階層にはいた。今は全滅している。


「レベルが上がったか確認するの」


「レベルか。分かった。試してみてくれ」


「ふむふむ。レベル3になったの! ステータスも急上昇しているの! けど、相変わらず魔力は皆無なのね」


「まあ、俺の世界の人間で魔法が使えたら、それだけで億万長者だろうからな」


「そうなの?」


「そうだ。俺の世界には魔法というのはフィクションの中にしか存在しない。そういうものなんだ。まあ、だからこそ、政府に魔法が使えるものがいる、なんてことを知られたくはないのだがな。連中は欲深い」


 久隆はそう告げると地図を作成し終えた。


「さて、昼飯を食ったら3階層に行こう。まだやれるかどうか」


 久隆たちはダンジョン内で弁当を広げ、補給を行うと、地下への階段を覗き込んだ。


……………………

本日の更新はこれで終了です。


では、面白いと思っていただけたらブクマ・評価・励ましの感想などお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 強い敵をそこそこの数殺している割にレベルの上がり方は遅いんだね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ