45階層のモンスターハウス
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──45階層のモンスターハウス
久隆たちは用心深く45階層に降りる。
そして、すぐに索敵を始める。
「ミノタウロス30体。例の蜘蛛──アラクネが40体前後。アラクネはまだ分かりにくい。恐らくはここがモンスターハウスだ」
「ついに来ましたね。モンスターハウス」
フルフルが杖を握りしめる。
「あの蜘蛛どもはレヴィアたちの魔法で薙ぎ払った方がいい。フルフル、レヴィアたちに付呪を。俺たちは前衛として突破を阻止する」
「分かりました。タイミングは?」
「追って指示する」
久隆はそう告げて無人地上車両を走らせる。
無人地上車両は大活躍だった。これまでは久隆の振動と音による索敵にしか頼れなかったのが、視覚によってより正確な情報が得られるようになったのだ。
久隆は慎重に無人地上車両を進め、ダンジョンの角を曲がり、その先にあるフロアを目指した。曲がり角の先にフロアがあるのは音で分かっていた。
「いたぞ。ミノタウロスはウォーハンマー持ち。アラクネは40体はいるな。数からしてアラクネがメインだろうが、ミノタウロスも油断できる相手ではない。着実に撃破していこう。ここでゴングを鳴らせば、まず押し寄せてくるのはアラクネだ。レヴィアたちはフルフルの付呪を受けて魔法をぶっぱなし続けろ。撃ち漏らしはこっちで片付ける」
「了解なの」
レヴィアも真剣な表情をしている。
「それからミノタウロスとアラクネが同時に押し寄せるだろう。44階層のように行けばいいが、そうならない可能性もある。フルフルはミノタウロスが現れた段階で俺たちに付呪を頼む。負担にはならないか?」
「だ、大丈夫ですよ。任せてください」
フルフルが頷く。
「マルコシア。例の結界ではアラクネたちの侵攻を遅らせることはできないか?」
「できると思います。ただ、ミノタウロスが出てくるとダメです。腕力が違いますから。あたしぐらいの結界じゃ、簡単に崩されます。ああ、アラクネを堰き止めてまとめてたたくというわけですか?」
「そういうことだ。アラクネは大量にいる。なるべくならば一撃で葬り去りたい。ミノタウロスも同じように」
「分かりました。できるかぎりのことはやってみます。結界はリキャストに影響ないので安心してください」
「頼んだぞ」
アラクネを可能な限り押しとどめ、大量に集まったところを魔法で一掃する。気味の悪い蜘蛛には丁度いい末路だ。
「フォルネウス、サクラ。俺たちはレヴィアたちの攻撃を補助する。彼女たちのリキャストタイムを稼ぎ、彼女たちに魔物を近寄らせない。できるな?」
「できます」
「よろしい。これで一先の作戦は立てられた」
久隆は無人地上車両を引き上げさせる。
「マルコシアの結界はこの範囲に展開。敵が集まったところで結界を解除して、魔法攻撃を叩き込む。魔法攻撃の撃ち漏らしは俺とフォルネウス、サクラで仕留める。敵の間に距離が生じ。かつミノタウロスがいない状況なら再度結界を。ミノタウロスが現れたら、フルフルは俺たちに付呪を」
久隆が作戦を纏める。
「この作戦方針で行くが作戦方針を重視しすぎるな。より良い手段があればそれを使え。命令違反にはならない。それで命が助かるならば儲けものだ」
久隆は最後にそう告げた。
「では、いくぞ。マルコシアはすぐに結界が張れるように。叫べ!」
「こっちに来やがれ、このクソ魔物ども!」
久隆の合図でフォルネウスたちが叫ぶ。
魔物が一斉に蠢く音が響く。
「フルフル、レヴィアたちに付呪を」
「了解。『賢きものよ、より多くの叡智を極め、力を得よ。賢者に力を』」
レヴィアとマルコシアに付呪が掛けられる。
「結界は……。うん、まだ大丈夫」
「可能な限り押さえ込め……。可能な限りな……」
結界の張られた部位一面にアラクネが展開していく。アラクネは大きく広がり、結界を破壊できずにその場に足止めを食らう。
「そろそろいいですか!?」
「そうだな。そろそろやれ」
久隆の感覚器はミノタウロスの接近に気づいていた。
「それでは、結界解除!」
「やってしまうのね!」
レヴィアたちが直ちに攻撃に入る。
「『降り注げ、氷の槍!』」
「『焼き尽くせ、炎の旋風!』」
レヴィアとマルコシアの放った魔法がアラクネの集団を飲み込む。
アラクネは滅多刺しにされ、焼かれ、ほとんどが壊滅した。
だが、全滅はしていない。4体のアラクネが攻撃を生き延び、突撃してきた。
「マルコシア! 結界、再展開! フォルネウス。サクラ! 叩くぞ!」
「了解!」
久隆とフォルネウスがアラクネに向けて突撃する。
久隆が斧を振るってアラクネの頭を叩き潰し、フォルネウスが魔法剣でアラクネを炎上させる。そして、その合間を縫ってサクラが矢でアラクネを仕留める。
「次の攻撃に備えろ!」
既に2体のアラクネを撃破した久隆が下がり、そう叫ぶ。
レヴィアとマルコシアは再び魔法攻撃を叩き込む。
「よし。いいぞ。上手く推移している」
アラクネたちは再び結界に阻まれて前進できなくなる。
「今だ! やれ!」
再び魔法攻撃が叩き込まれる。
これで半数近いアラクネが撃破された。
だが、敵はまだまだいる。
「おいでなすった。ミノタウロスだ」
アラクネの群れとともにミノタウロスが戦場に姿を見せた。
彼らにとってもアラクネは邪魔くさい存在であるらしく、足やウォーハンマーで追い払っている。そのことを理解してか、アラクネはすごすごと引き下がっていく。
「リキャストまで30秒。時間を稼ぐぞ」
「はいっ!」
久隆とフォルネウスはミノタウロスに突撃していく。
ウォーハンマーの一撃で結界は破壊され、ミノタウロスが乗り込んでくる。
アラクネも同様に乗り込んでくるがミノタウロスが追い払っているために前進できない。今がチャンスだ。今こそがチャンスだ。
久隆はミノタウロスのウォーハンマーによる一撃を回避し、すかさず反撃の一撃を加える。斧がミノタウロスの頭を真っ二つにし、ミノタウロスが痙攣しながら倒れる。
フォルネウスがミノタウロスの一撃を回避しながら、腹部に短剣を突き立て炎上させる。ミノタウロスは体の中から炎に包まれ、悶えながら地面に崩れ落ちていく。
サクラも隙を突いて一撃をミノタウロスに加え、仕留める。眼球から入った矢が脳を貫き、ミノタウロスはよろめきながら倒れる。
だが、まだまだミノタウロスはいるし、アラクネもうようよしている。
「下がれ! リキャストタイムが終わった!」
「了解!」
久隆たちがミノタウロスたちの攻撃を牽制しながら後退する。
「『降り注げ、氷の槍!』」
「『焼き尽くせ、炎の旋風!』」
レヴィアたちから魔法攻撃が放たれ、それはミノタウロスもアラクネも薙ぎ払っていく。まさに壮絶な攻撃だった。
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