表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

164/284

ワームに挑む

本日2回目の更新です。

……………………


 ──ワームに挑む



 久隆たちは朝食を終えると、再びダンジョンに潜った。


 30階層まで鋼板を輸送する。


 流石に久隆ひとりでは無理だったのでフォルネウスとサクラの手を借りている。


 そして、鋼板が30階層に持ち込まれた。


「久隆様! 材料をお持ちいただいたのですね!」


「ああ。加工を任せたい」


「お任せあれ」


 久隆を見てやってきたイポスはそう告げて地面に魔法陣を描き始めた。


「ここに鋼の板を」


「分かった」


 久隆が魔法陣の中に2枚の鋼板を置く。


「『硬きもの、守るものよ。我が意志に沿ってその形を変えたまえ』」


 イポスがそう唱えると鋼板の形がみるみると変わっていき、機動隊の暴徒鎮圧用の盾を少しばかり大きくしたような盾が出来上がった。ちゃんとグリップもついている。


「凄いな。魔法というのは本当に凄い」


「私なんてまだまだです。土から鋼鉄を作り出すこともできませんし。けれど、お役に立てたなら嬉しく思います。これからワーム討伐ですよね?」


「ああ。ワームを討伐する。イポス、頼りにしているぞ」


「お任せください。最善を尽くします」


 イポスは久隆の言葉にしっかりと頷いた。


「では、40階層まで潜る前に昼飯だ。イポスは済ませたか?」


「いいえ。まだです」


「量はある。一緒に食っていけ」


「ありがとうございます!」


 久隆たちは40階層のワームに挑む前に昼飯を済ませておくことにした。


「ワームだが、まず俺とフォルネウスが誘導する。ワームが直線になる位置。この廊下まで誘導して頭を押さえる。それからすぐに後方からレヴィアたちが回り込み、イポスとともにワームの退路をふさぐ。それからはありったけの魔法攻撃を叩き込んでくれ」


「了解なの。けど、久隆たちは大丈夫なの?」


「イポスが作ってくれた盾もあるし、耐熱手袋もある。大丈夫だ」


 久隆は手にはめた耐熱手袋を見せる。フォルネウスにも同じものが渡されている。ホームセンターで調達した品だ。


「ところで、ワームの具体的な弱点というのはどこなんだ?」


「心臓です。ワームの心臓はほぼ頭部に近い位置にあります。つまり頭部を攻撃し続ければ、いずれワームは倒れます」


 久隆の問いかけに対してマルコシアが答える。


「レヴィア、マルコシア。やれそうか?」


「やってやるの! 早くワームを撃破して、40階層より下を目指すのね」


 レヴィアはそう息巻く。


「やってやりますよ!」


「わ、私も微力ながらお手伝いします!」


 士気は上々。誰も勝利を疑っていない。


 勝利が続いたことによる慢心は敗北を招くが、久隆たちは慢心はしていない。慎重に、慎重を重ねて用心している。計画も慎重に練ったし、敵を侮ってもいない。適切な判断を下してきている。


 久隆も最後まで計画を確認した。ワームを目的の位置まで誘い込むにはどうすればいいか。以前にも計画していたものを慎重にシミュレーションし直す。


 盾を抱えてどれほど走れるか。レヴィアたちをどう配置しておくべきか。ワームの物理的な突撃に耐えられるか。


 念入りに戦闘計画を立てつつも、それが破綻した場合のことも考える。何度も言うが、こういう場合に考えるべきは最悪であり、悲観的に準備しなければならない。物事が失敗するときは、想像以上に失敗することもあるのだから。


 久隆は地図を睨め付けながら、おにぎりを貪り、真剣に考える。


「あ、あの。ウィンナーも食べませんか……? 私が焼いたんですけど……」


「ああ。すまん。ワーム戦のことを考えていた。もらおう」


 久隆はフルフルからウィンナーを受け取る。


「美味いぞ。流石はフルフルだな」


「べ、別に焼いただけですし……」


 フルフルは顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。


「さて、作戦を説明するから食べながらでいいのでよく聞いてくれ」


 久隆が地図を広げて告げる。


「まず俺とフォルネウスがワームを挑発する。挑発したワームをこの通路までおびき寄せる間、レヴィアたちはこの位置に待機。この位置には絶対にワームを近づけないが、物音は立てないでくれ」


 久隆はレラジェの偵察部隊が記録した地図の情報から最適な位置を割り出した。


「ワームが通路に入ったら叩く。俺たちが押さえている間に後方から叩く」


 久隆はそこで全員を見渡した。


「連絡は無線で取る。サクラの指示に従ってくれ」


 サクラと久隆はそれぞれ無線機を持っている。このダンジョン内でも無線が伝わるのは確認済みだ。久隆たちは2チームに別れた場合に備えて、無線機を準備していた。


 まだレヴィアたちには使い方を教えていないが、いずれは全員が所持できるようにしておきたいと思っていた。


「ひとりひとりが役割を果たせば勝てる。やってやろう」


「おー!」


 こうして作戦会議も終わり、久隆たちは40階層を目指した。


 40階層を目指して急ぎ早に降りていく。


「次が40階層だ。俺とフォルネウスが先に降りる。予定通りに」


「了解」


 久隆たちはゆっくりと40階層に降りていく。


 そして、久隆はすぐに索敵を始める。


「位置を把握した。サクラ、こちらは誘導を開始する。迅速に位置についてくれ」


『了解』


 無線機からサクラの声がする。


「では、いくぞ。まずは慎重に隠密で近づいて、そこから一気に誘導する。用心しながら誘導するぞ。相手は火を吐く装甲車だ。それに対して俺たちは無防備な歩兵だ。追い詰められたらどうしようもない。とにかく。廊下を回りまくりながら、目標をあの廊下にまで誘導するんだ」


「そうこうしゃとは?」


「頑丈な車両だと思え」


 ワームは速度も速く、頑丈な装甲に覆われ、そして遠距離火力を有する。まさに装甲車に他ならない。


 対する久隆たちは火炎放射を防ぐ盾を持っているが、構えながら移動はできない。このダンジョンの中で装甲車のようなワームと追いかけっこを繰り広げることになる。


「まずはワームの位置を把握する。大体の位置は分かっているが、完全に相手を捕捉できたとは言えない。位置を掴み、そして迅速に誘導を開始する。もうレヴィアたちも位置に付き始めているときだ」


 久隆たちは静かにダンジョン内を進む。


「こちら久隆。サクラ、位置についてたか?」


『つきました。いつでもどうぞ』


「よろしい。では、始める」


 久隆たちはそっと曲がり角から顔を出す。丁度ワームが廊下を前進しているところだった。依然見たままの姿だ。おかしな点はない。


「フォルネウス。始めるぞ。命がけで走れ」


「了解……!」


 そして、久隆は斧で盾を叩いた。


 その音に反応してワームが久隆たちの方に進んでくる。


「走れ、走れ! 誘導は俺が行う!」


「了解!」


……………………

本日の更新はこれで終了です。


では、面白いと思っていただけたらブクマ・評価・励ましの感想などお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 続きは…?待ってますよ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ