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厄介な牛頭

本日2回目の更新です。

……………………


 ──厄介な牛頭



 久隆たちはそのまま勢いで38階層に進む。


 例によって39階層がエリアボス前の少数の魔物による階層だと考えると、38階層さえ攻略すれば40階層への道のりは開けたも同然だ。


 久隆は38階層に降りてすぐに索敵を始める。


「ミノタウロス10体。ふむ? 他の階層より少ないな」


「少ない方がいいのね。あんまり数が多いと疲れるの」


「それもそうだが……」


 ダンジョンの手前ならばこれまでの法則でそうだと言えるが、ここは38階層。39階層ではない。何か裏があるのではないかと久隆は思った。


「何はともあれ、いつも通りの手順でいくぞ。無人地上車両(UGV)で目標を確認後、この地点まで敵を誘導する。手順通りにやれば勝てない相手ではない」


 しかしながら、久隆の頭には少しばかりの疑念があった。


 ダンジョンのまだ38階層という地点でどうしてこれほど魔物が少ないのか。


 ダンジョンとは深部に進むにつれて魔物が増えるのではなかったのか?


 こういう疑念が生じたときは大抵問題が起こる。指揮官の勘というものは無視できないものなのだ。軍では違和感を感じたら徹底的に追求しろと言われる。些細なことでも、命に係わる問題になる可能性があるのだ。


 久隆も今回は念を入れて偵察を行うつもりだった。


 無人地上車両(UGV)を走らせ、ミノタウロスを確認する。


「盾持ち。武器はハルバード。これはまた面倒なものを……」


 この階層のミノタウロスが所持している盾は上の階層の小さな円形の盾ではなく、古代ローマ軍が使用していたような、あるいは機動隊などが今も使用しているような、長方形の盾だった。それも材質は恐らく金属製。


 道理で魔物の数が少ないはずだと久隆は納得する。魔物の数を装備に振ったのだろう。ダンジョンコアもただ数で攻めればいいわけではないということを学習していると見える。少なくともこの階層はそのテストのようなものだろう。


 さて、このような相手にどのようにして戦うべきか。


「いつも通りだ。俺とフォルネリウス、サクラは前線。レヴィア、フルフル、マルコシアは後方。フルフル、万が一に備えて防具劣化と付呪の重ね掛けの準備をしておいてくれ。それが必要になるかもしれない」


「わ、分かりました」


「では、いくぞ」


 久隆たちは目的地の行き止まりの廊下を目指し、そこで叫ぶ。


 一斉にミノタウロスたちが動く。


 こちらに凄まじい速度で向かってきている。だが、今は待つことしかできない。


「来るぞ」


 久隆がそう告げたときミノタウロスが押し寄せてきた。


 だが、これまでのようにではない。


 前方のミノタウロスは盾を前に構え、後方のミノタウロスは天井に向けて盾を構えている。あたかもローマ軍団のように。それは魔物が知性なき生き物であることを否定しているかのように思われた。


「フルフル、防具劣化の付呪を敵に。それが終わり次第、レヴィアとマルコシアは攻撃開始だ。フォルネウス、サクラ。敵は守りを固めているが俺たちの仕事はひとつだ」


「ここを通過させない、ですね?」


「そうだ。敵を無理に倒す必要はない。主役はレヴィアたちだ」


 久隆はそう告げて斧を構える。


 主役は確かにレヴィアたちだ。だが、このような強固な守りが物理的に固められてしまっていては、どこまで魔法で削れるのか分からない。防具劣化で相手の防御力が大幅に低下してくれることを祈るしかないところだ。


「『我が敵の守りを蝕み、錆びつかせよ!』」


 フルフルの付呪がミノタウロスたちを襲う。


 防具がみるみると劣化していき、ボロボロと錆ついて崩れ落ちる。だが、本格的には崩壊していない。どこまで魔法が通るか。


「レヴィア、マルコシア!」


「了解なの!」


 レヴィアとマルコシアが同時に魔法を叩き込む。


 マルコシアの爆破魔法は通じた。前方を進むミノタウロスの顔面が弾き飛ばされる。


 続いて行われたレヴィアの氷の槍による攻撃は2体を撃破するにとどまった。


 やはり、盾が面倒なものになっている。


「そのまま撃ち続けろ! ここは絶対に通させないからな!」


 そして、久隆たちがミノタウロスとの戦闘に突入する。


 ミノタウロスたちは盾を構えた状態で槍のようにハルバードを突き出す。久隆はそれを受け止めては、弾き飛ばし、ミノタウロスの盾に蹴りを入れた。


 ぼろりとミノタウロスの盾が崩れるのが分かる。だが、防具劣化の付呪は盾を完全には蝕めていないようで、鉄板を蹴ったような感触が強く残る。


 だが、それでもミノタウロスは久隆の蹴りで姿勢を崩した。


 久隆はその瞬間を狙ってミノタウロスの首を刎ね飛ばす。


 そして、次の相手が盾を構える前に斬り込む。ミノタウロスも頭を使ったようだが、久隆の速度についてこれていない。


 今、義肢の人工筋肉がどうなっているかを知る術はないが、恐らくはかなりの無茶をさせているだろうというのは分かった。だが、今は無茶をさせておくしかない。今は目の前の目標を撃破しなければならないのである。


 レヴィアとマルコシアの魔法攻撃の第二撃が放たれ、マルコシアが1体を確殺、レヴィアが1体を撃破。久隆が既に2体を撃破し、フォルネウスとサクラが1体を撃破。


 これで残りは2体。


 意外に楽だったなと久隆は盾を構えるミノタウロスに向けて蹴りを叩き込んだ。そして、敵がバランスを崩した隙に攻撃を叩き込む。ミノタウロスは咄嗟にハルバードで反撃を試みたが、久隆はそれを躱し、ミノタウロスの頭に斧を突き立てた。


「ラスト1体」


 久隆が最後のミノタウロスと対峙する。


 久隆はもう一度先ほどの方法を試そうとしたが、敵はその前に盾で殴りつけてきた。劣化しても金属である盾だ。久隆が攻撃を避けるために後方に下がる。それを追撃するようにミノタウロスはハルバードで久隆を狙う。


 久隆はハルバードを斧で弾き飛ばしながら、再攻撃を試みる。


 だが、ミノタウロスはさっと身を翻し、盾への衝撃を分散させ、久隆が攻撃を放った瞬間にハルバードの攻撃を繰り出す。久隆は背筋に冷たいものを感じながら、間一髪でハルバードの攻撃を回避した。


「久隆さん。右に回避して」


 後方でサクラが告げる。


 久隆が言葉通り右に飛びのくと、サクラの放った矢がミノタウロスに迫る。


 だが、その矢をミノタウロスは盾で受け止め、再び久隆を狙う。


 久隆は確実に敵の隙を突いているはずなのに、ミノタウロスに今のところ一撃も加えられていない。ミノタウロスは盾も武器として上手く使い、リーチの長いハルバードを使って久隆の接近を的確に阻止する。


「久隆! 魔法、行けるの!」


「よし! 叩き込んでくれ!」


 リキャストタイムが終わり、攻撃可能となったレヴィアたちが最後の1体であるミノタウロスを狙って攻撃を叩き込む。マルコシアの爆発とレヴィアの氷の槍がミノタウロスを襲う──はずだった。


 だが、ミノタウロスは回避した。マルコシアの爆発も、レヴィアの氷の槍も全てを回避した。そして、一時的に後方に下がり、盾を構えて久隆に向けて突撃してくる。


「こいつ、動きが他のミノタウロスと違うぞ……」


 久隆は突撃を斧で受け止め、盾を一部破壊すると、あらん限りの力で盾を蹴り飛ばした。だが、久隆が蹴りを放った瞬間にミノタウロスは後方に下がり、衝撃を抑える。


「これ以上の長期戦は危険だ。フルフル、付呪の重ね掛けを。畳みかける」


……………………

本日の更新はこれで終了です。


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