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34階層の戦い

本日1回目の更新です。

……………………


 ──34階層の戦い



 久隆たちは34階層の攻略にいよいよ挑むことにした。


 33階層で休憩はしっかりと行った。今はまだ軽い疲労が残っている程度である。


「降りるぞ」


「了解なの」


 久隆たちは慎重に階段を降りて、索敵を始める。


「ミノタウロス16体。今度は2か所に纏まっているな……。都合がいいのか、悪いのか」


「ど、どうするんですか?」


「ダンジョンの構造的に1か所だけ行き止まりになっていて、後方から襲われない場所がある。もちろん、こちらも逃げられないが。そこまで誘き出して、そこで決死の迎撃をするか、だ。他は挟み撃ちのリスクを抱えながらも、廊下を進み続ける33階層と同じ作戦だ。正直、逃げまわるのも、行き止まりで踏ん張るのも同程度のリスクだ」


 久隆はそう告げて全員を見渡す。


「指揮官は俺だ。俺が決断するし、責任を持つ。その上で聞かせてほしい。どちらが自分たちに向いているのか。これよりいい方法はあるのか」


 久隆は全員が知恵を絞ればもっとマシな作戦も思いつくのではないかと思った。


「迎え撃つ方がいいのね。挟み撃ちにされたら戦力が分散してしまうの」


「わ、私もそう思います。どうせ、ミノタウロスに気づかれたら逃げようがないのです。ここは覚悟を決めて、行き止まりで後方の安全を確保した上で挑むしかないかと」


 レヴィアとフルフルが迎撃に賛成する。


「レヴィア陛下とあたしが同時に魔法を叩き込めれば、確実に勝てますよ!」


「戦力の集中ができれば楽になるかと」


 マルコシアとフォルネウスも迎撃を支持。


「私も迎撃に賛成ですね。このダンジョンの構造だと逃げ回っているときに側面攻撃を受ける可能性もあります。確実に敵の攻撃を全戦力で、かつ多正面作戦にならないように迎撃できる位置まで引っ張ってくるべきです」


 サクラも迎撃を支持する。


「よし。決まりだ。意見は聞いたが、作戦の方針を決め、責任を取るのは俺だ。多数決で軍事作戦は決定しない。指揮系統は常に上から下へ。だが、意見を聞くことはある。そのことで指揮官の思いつかなかった意見があれば、生き残れる人間も増えるからな」


 久隆はそう告げてもう一度慎重に索敵した。


「ゆっくりと、だが着実に目標地点を目指すぞ。続け。先導する」


 今回は久隆自身がポイントマン(斥候)を務めて前方を進んだ。


 そして、ミノタウロスの傍を通るときは息を殺し、慎重に、慎重に通過し、それからバックパックから無人地上車両(UGV)を取り出して走らせる。無人地上車両(UGV)はミノタウロスに接近し、カメラで久隆たちにミノタウロスの情報を送ってくる。


「今度はまたハルバードか。面倒な。だが、勝機はあるな」


 ハルバードは本体が重いだけあっていくら筋力のあるミノタウロスでも一瞬の隙が生まれる。そこを突けばいいのである。


 戦いの様子をシミュレーションする。


「よし。目的地まで移動。そこでミノタウロスを呼び寄せる」


 久隆たちは足早に廊下を駆け抜け、目的地に着いた。


「さあ、連中を呼び寄せろ。叫べ!」


「こっち来いなのー!」


 久隆たちが大声を上げたとき、ダンジョンが地震を起こしたかのように揺れる。


「来るぞ。フルフルは付呪を。レヴィアとマルコシアは魔法の準備。フォルネウスは俺と何が何でもミノタウロスを食い止めろ。サクラは不味いと思ったら適時支援射撃」


「了解」


 フルフルが付呪をかけ、レヴィアたちが準備を行う。


「──来た」


 ミノタウロスの大群が押し寄せてくる。


「レヴィア、マルコシア、慎重に狙え。外すんじゃないぞ」


「了解なの」


 レヴィアたちはかなりの速度で向かってくるミノタウロスに狙いを定める。


「『吹き荒れろ、氷の嵐!』」


「『爆散せよ、炎の花!』」


 ふたりの放った魔法がミノタウロスを襲う。


 この時点でミノタウロス1体が脱落。6体近くが深い傷を負う。


 それでもミノタウロスは突撃を続けてくる。


「マルコシアとレヴィアは再攻撃準備。押さえるぞ、フォルネウス!」


「了解です!」


 久隆たちの仕事は魔術攻撃を行うレヴィアたちをミノタウロスから守ること。押さえればいい。殺すのはレヴィアたちがやってくれる。だが、なるべくならば殺した方がいい。レヴィアたちの魔力にも限りがある。


 ミノタウロスが凄まじい雄叫びを上げながら、ハルバードを振り上げ、天井を破壊しながら振り下ろしてくる。天井を破壊しているにもかかわらず、その威力は絶大で、辛うじて回避したフォルネウスのいた場所を抉り取った。


「弾こうとは思うな、フォルネウス。弾き飛ばされるぞ」


「……了解っ!」


 ミノタウロスの強靭な肉体から繰り出される攻撃は絶大な威力を有する。


 久隆も回避しつつ、攻撃のタイミングを窺う。隙が生じやすいのはやはり大技をはなった直後だ。天井崩しの振り下ろし。床に突き刺さったハルバードを抜くのに一瞬だが、隙が生じる。叩くならばその瞬間だ。


 そして、そのタイミングが訪れた。ミノタウロスが天井を破壊しながら久隆を狙ってハルバードを振り下ろす。


 久隆はミノタウロスがハルバードを振り下ろした直後にその腕に向かって蹴りを叩き込んだ。ミノタウロスの骨と筋肉に衝撃が走り、ミノタウロスがハルバードを手放す。


 そこで久隆が斬り込んだ。


 ミノタウロスの頭部に一撃。ミノタウロスの頭が飴細工のようにひしゃげ、そのままミノタウロスは前のめりに倒れていく。


 これはマニュアルに取り入れてもいいなと思いつつ、久隆が次々に迫りくるミノタウロスに向かった。


 その間にも1分ごとにレヴィアとマルコシアが魔法を叩き込み、ミノタウロスは次々に数を減らしていく。フォルネウスもミノタウロスの動きについていけるようになった。フォルネウスの方はサクラが援護についているのもあって、危うげな場面でも無事だ。


 サクラの弓術は本格的だ。流石はアーチェリーのパラアスリートを目指していただけはあるというべきか。そして、何より軍隊での経験が活かされている。


 フォルネウスを誤って射ないように射線を確保しつつ、適切な場面で射撃を行う。フォルネウスとはまだ短い付き合いなのに、彼の動きにばっちり合わせている。流石は軍歴が久隆より長いだけあるというものだ。


……………………

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