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30階層攻略作戦会議

本日2回目の更新です。

……………………


 ──30階層攻略作戦会議



 久隆たちはアガレスに状況を報告した。


 30階層のエリアボスであるグリフォンとヒポグリフについてとダンジョンの構造について。アガレスはそれを聞いてひたすら唸っていた。


「かなり厳しいと思うのだが、久隆殿はどう思われる?」


「工夫が必要なことは確かだ。俺の提案ではまず俺たちとレラジェたちの偵察部隊が先行してダンジョンの床まで到達し、そこでグリフォンとヒポグリフを引き付ける。その隙にそっちは部隊を投入してくれ。できる限りの規模を。幸いにして今回は十分な広さがあり、そして不幸なことに全員でことに当たらなければ突破は難しい」


 久隆は自分の作戦案を示した。


「それでは久隆殿たちが非常に危険なのではないか?」


「俺たちはある程度引き付けたら逃げに徹する。そっちは地面に到達し次第、あらん限りの火力を使ってグリフォンとヒポグリフを地面に叩き落としてくれ。地面に落ちたら騎士団の腕の見せ所だ」


「ふうむ……。確かに合理的な作戦のように思えるが……」


 アガレスはリスクと作戦成功の可能性を天秤にかけているようだった。


「アガレス。他に何か手段があるか? 螺旋階段では戦えない。グリフォンの攻撃を一度受け止めたが、あれが直撃すれば地面に叩き落とされる。あんな足場の不確かなところでは誰も戦えない。どうにかして地面に部隊を降ろさなければならず、全員を下ろすには陽動が必要だ」


「確かにそうなのだが……。勝算はあると思うか、久隆殿?」


「ある。あの2匹の化け物を地面に叩き落としさえすれば、どうとでも料理できる」


「分かった。そなたの作戦に乗ろう。しかし、部隊の連携が上手くいくか」


「簡単な合図だけでも今のうちに覚えておいてくれ。魔法で攻撃するから離れろと魔法は使わないから近づいていいのふたつで十分だ。後はアドリブでどうにかする。正直、この手の合同作戦は入念に演習を重ねていないと上手くいかない。だが、今回は単純な作戦だ。敵を魔法で地面に落とし、地面に落ちた敵を叩く。それだけだ」


「確かにそういわれると上手くいきそうな気がしてきたな。それに近衛騎士団と宮廷魔術師団が合同作戦を行うのはこれが最初ではないのだ。小規模ではあるが、掃討部隊に近衛騎士と宮廷魔術師が戦列を同じくして加わっている。もっとも、全部隊を投じるような大規模な作戦はこれが初めてとなるが……」


「やるしかない。べリアは恐らく30階層を抜けて下の階層に降りている。そう、生存者たちが証言したのだろう? 彼らは無事か?」


「無事だ。久隆殿の差し入れてくれたれとるとがゆを食べて、今は休んでいる。疲労が取れるまではまだまだかかるだろうが死ぬことはないと見ている。回復魔法の使える魔法使いたちも今、彼らに回復魔法をかけているところだ」


「念のための医者に診せておこう。何もなければ万々歳だ」


 朱門に診察を頼もうと久隆は考えた。


「べリアを確保しなければダンジョンコアに到達しても、意味がないのだろう? ダンジョンコアを操作して暴走を止め、元の世界に帰ることが必要なんだろう。それならば、まだ30階層でまごついているわけにはいかない」


「そうだな。なんとしてもべリアを追わなければ」


 アガレスはそう告げて頷いた。


「ちなみに全戦力の割合について聞いていなかった。この20階層で行動可能な近衛騎士と宮廷魔術師はどういう割合だ?」


「近衛騎士が9名宮廷魔術師が6名だ。そのうち近衛騎士3名は久隆殿の家で休養を取っている。彼らは元気にしているか?」


「ああ。太陽の光と風呂と飯で元気がついたようだ。そろそろここに戻せる」


「是非頼む。我々が30階層に挑むならばもっと戦力が必要だ」


 そろそろ療養中の連中にも戦列に戻ってもらうかと久隆は考えた。


「それでは俺たちは地上で準備を進めてくる。必ず上手くいくはずだ。30階層を突破して、べリアを追おう。そうすれば元の世界に戻るという希望も出てくるはずだ。アガレス、なんとしても成功させよう。できれば犠牲をなくして」


「ああ。犠牲をなくして成功させたいものだ」


 久隆もアガレスもそれが無理難題だということは分かっていた。


 2体のエリアボス。空を飛ぶ魔物。それらを打ち破るには犠牲が出ることだろう。


 それでも指揮官たちは犠牲を前提にした作戦を立ててはならない。死ぬ可能性があるぐらい危険な任務と死ぬことが確実な任務では意味が違う。指揮官が部下を犠牲にするような作戦を立て続ければ、それは指揮官の無能の表れか、戦局における敗北の前兆を部下に疑われることになる。


 そうなれば、もうそんな指揮官のことを部下は信じない。


 そうならないように指揮官たちが全員が生きて帰る作戦を立てる。犠牲になる可能性の高い任務では、基本的に志願制を取るが、この場合はそんなことはしてられない。戦力は足りないのだ。それに志願制にしたところで全員が志願することは間違いない。


 ここに留まっていても助からないことは分かっているのだ。助かるためにはダンジョンの奥に、奥にと潜っていかなければならない。


 求めるならば挑戦せよ。勝利したければ攻撃せよ。主導権を握り続けろ。


 ダンジョンに主導権を握られては敗北だ。そして、ダンジョンに主導権を握られるというのはダンジョンの深層に潜れなくなることだ。ダンジョンコアは魔族や人間の欲望を栄養にするというのならば、生き残りたいと思い続ける魔族たちの欲望はとてもいい栄養素になっているだろう。


 いつまでもダンジョンコアに美味しい思いをさせてやっておくわけにはいかない。道を切り開き、ダンジョンコアに到達するのだ。べリアとともに。


 久隆はそう考えていた。


「それでは、俺たちは一度地上に戻るが、近衛騎士と宮廷魔術師の意志疎通が出来るようにはしておいてくれ。それだけでも作戦は成功に傾く」


「分かった。準備しておこう」


 久隆はそれだけしっかり伝えて、レヴィアたちを探した。


 その時にフォルネウスが仲間たちに囲まれているのを見かけた。


「凄いじゃないか、フォルネウス! 重装オークをバッタバッタと倒したんだろう?」


「いやいや。あれはマルコシアや他の仲間のおかげだよ。自分だけの力じゃない」


 どうやらフォルネウスの活躍を見ていたウァレフォルたちとその仲間たちが、フォルネウスのことを持ち上げているらしい。フォルネウスは謙遜して、あれは自分の実力ではなかったと主張している。


「久隆様についていけば強くなれる。本当なんだな」


「ああ。それは本当だ。実力がぐっと上昇したのを実感している。久隆様はいろいろなことを教えてくださる。隠密行動から正面切っての戦闘まで。あの方はまさに軍人の鑑だ。これからもいろいろなことを学ばせてもらおうと思っている」


「羨ましいな、フォルネウス。俺たちにも教えてくれよ」


「教えられるような立場になれたらな」


 困ったものだと久隆は思う。


 久隆は積極的にフォルネウスを育てようとしていたわけではない。それは機会があれば経験を積ませていた。それはフォルネウスのためというよりも、自分たちの捜索班が生き残るためだった。


 使えない兵士を連れて行動できるほどダンジョンは優しい環境ではない。使える人間だけが生き残るために戦う。だから、久隆もフォルネウスを戦力化し、足手まといではなく、立派な戦力になるようにした。


 ただ、それだけのことなのだ。


 久隆とともに戦えば無条件で強くなるなどと思われても困る。


……………………

本日の更新はこれで終了です。


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