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偵察部隊との合流

本日2回目の更新です。

……………………


 ──偵察部隊との合流



 久隆たちの戦闘技術は上昇する一方だった。


 レヴィアとマルコシアは適切なタイミングでの、適切な魔法による支援ができる。フォルネウスは敵の急所を確実に叩いている。フルフルは自主性を持ち始め、支援が必要かどうかのタイミングが分かり始めてきている。


 久隆とサクラは高度に訓練された軍人だが、彼らも銃のない戦場に適応していた。


「この階層はクリアだ。かなり遅くなってしまったが昼飯にしよう」


 久隆はそう告げて腰を下ろし、重箱を広げた。


「しかし、今日はこれ以上潜れますか?」


「潜れないだろう。ここまでが限界だ。長期戦の備えはできていない。もっと深層に潜るならば、もっと準備をしてこなくては」


 ただでさえ25階層より下は未知のエリアなのだ。迂闊に手を出して大怪我はしたくない。この22階層から地表に出るだけでも相当な時間がかかるのだ。


 災害非常食は追加を発注しなければ深層に潜るのには足りない。追加分は既に発注してあるが、まずはそれを20階層に移動したパイモン砦に運ばなければならない。


 幸いにして輸送手段についてはアガレスたちの部下を借りることで確保してある。彼らが上層までの通路を定期的に掃討し、上層までの連絡線を確保しつつ、物資を拠点に持ち帰るというわけである。


 治療が必要なものはその際に久隆の家で休んでいく。


「しかし、今回は得るものがあった。ゴブリンシャーマンの危険性についてよく分かった。これからのダンジョン攻略では重要な要素となるだろう。ゴブリンシャーマンを如何にして無力化するか。隠密が失敗して乱戦になった場合にどうするか。万が一のことを常に考えておかなければな」


「そうなの。ゴブリンシャーマンは危険なの。魔法は使う分にはいいけれど使われるのはごめんなのね」


 おにぎりをほおばりながらレヴィアが頷く。


「全くだ。炎に包まれたときは死んだかと思った。だが、フルフルのおかげで助かった。フルフル、あらためて感謝する」


「ど、どういたしまして。私も捜索班の一員ですからね。負担にばかりなってはいられません。それに、その、あなたは私たちの世界の人間とは大きく違いますし」


 フルフルがそう告げたのに周囲のものたちが目を丸くする。


「今さら気づいたの、フルフル!?」


「ちょっと遅すぎだよ!」


 レヴィアとマルコシアが同時にそう告げる。


「わ、悪かったです。でも、私にとって人間はずっと憎悪の対象でしたから……」


「分かってくれれば、それがいつだろうと歓迎だ。それにフルフルはずっとこの捜索班の負担になんてなってないぞ。ずっと貴重な戦力だ」


「そ、そ、そうですか? えへへ……」


 フルフルははにかむような笑みを浮かべた。


「さて、これからの計画だが」


 そこで久隆の言葉が止まった。


「誰か来る」


「魔物?」


「いや。魔族の足音だ」


 久隆はそう告げてレヴィアに目配せする。


「おーい! 戻って来たのー!?」


 レヴィアが魔族の足音のする方向に向けて友軍識別である手を叩く信号を送って叫ぶ。


 足音は一瞬止まり、久隆たちの方に向かってき始めた。


 久隆は一応警戒して斧にいつでも手を伸ばせるようにし、サクラは軍用ナイフの柄を握った。彼らはどんな状況でも、その場に応じた適切な緊張状態を維持することに長けている。ナノマシンに脳が教育された形だ。


「レヴィア陛下!」


 だが、その心配はなかった。


 やってきたのは男性2名、女性1名の魔族の偵察部隊だった。


「ご苦労様なの。お弁当食べていく? おにぎり分けてあげるの」


「恐れ多いです。食事については久隆様よりいただいたものがありますのでご心配なく」


 そして、魔族の偵察部隊は久隆に気づくと頭を下げた。


「偵察はどこら辺まで行けたんだ?」


「27階層までです。27階層がモンスターハウスになっていて突破は無理でした……」


「そうか。ちなみにどんな装備を使っているか見せてくれないか?」


 久隆は魔族たちがどうやって魔物に気づかれることなく偵察を行っているのか気になっていた。『姿隠しの外套』なるアイテムがあるそうだが、どれほどのものだろうかと思っていた。人間にも使える装備であれば、偵察の任務を自分たちが担ってもいいと思っていたからだ。


「我々は『音消しのブーツ』と『姿隠しの外套』を使っています。魔力を消耗するので長時間は使えませんが、一定の階数まで降りられます」


「それから姿は消せても魔物にぶつかると気づかれるのでモンスターハウスなどの偵察は難しいのが現状です」


 偵察部隊のメンバーがそう告げる。


「魔力を消費するのか……」


「マジックアイテムはそんなものなの。普通、魔力がゼロの魔族なんていないから、これまで気にしたこともなかったのね」


 自分たちはその便利な道具の恩恵を受けられないということに久隆はがっかりした。


「そういえば、サクラはどうなんだ? やっぱり魔力はないのか?」


「いや。私にそのような珍妙なものは……」


 久隆が尋ねるとサクラが困ったような顔をする。


「見てみるの。レベルは3なのね。だけれど、凄いステータスなの! 久隆には及ばないけれど、かなりのステータスなのね。これは魔族のステータスを大幅に上回っているの。しかし、魔力はゼロなのね」


「ゼロですね」


 レヴィアとフルフルがサクラのステータスを見てそう告げた。


「ひとりぐらい地球の人間でも魔力があるのがいたらな」


「私はそういうのは……」


 久隆としては便利そうでよかったが、サクラは困った様子だ。


「いや。すまん。確かにあっても困るよな。ところで、魔物の傾向はずっと同じか? それとも25階層より下には新しい魔物が?」


「重装オークとゴブリンロードが出没します。重装オークの方は完全武装です。兜から鎧まで隙がありません。ゴブリンロードもこれまでのゴブリンたちよりも重装備で俊敏に動きます。それにゴブリンロードがいるとゴブリンたちの戦闘力が全体的に上がります」


「なるほど。そいつは要注意だな。ありがとう。詳細はアガレスに報告してくれ。俺もアガレスから後で改めて情報を得ることにする。この階層より上は掃討済みだから安心して進んでくれていい」


「助かります、久隆様」


「こちらこそ情報に感謝する」


 久隆たちはそう告げ合って偵察部隊と別れた。


「やはりこれから攻略の難易度は上がっていくか。準備が必要だな」


「そうですね。魔力回復ポーションももっと作っておかなければなりません」


 久隆たちがそう話し合う。


「さて、今日はこれで終わりだ。日時が狂ってなければ、明日には荷物が届く。荷物を上層まで掃討してきた連中と一緒に運べば、それだけで下層への道が開けれるぞ」


「早くべリアを助け出さないと、このままでは全滅なの」


「そうだな。急がなければなるまい」


 久隆たちは弁当を仕舞うと、上層に戻っていった。


 急がなければならないが、焦りは禁物だ。


……………………

本日の更新はこれで終了です。


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