表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【WEB版】この宮廷付与術師、規格外につき〜人類唯一のスキル「言霊使い」で、俺は世界に命令する〜【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/107

22.出発前の準備は大変です

 魔王軍の侵攻は今も続いている。

 休んでいる暇はない。

 とは言え、急に決まった話であったこともあり、出発は明日の朝になった。

 それまでに俺は、旅で必要になる物の準備をすることに。


「最低限武器は必要だよな。弓と矢、うーん武器庫にある付与付きの剣は……さすがに無理か。千本もどうやって保管するんだって」

「千本がどうしたの?」

「いやほら、アービスとの戦いで使った……ってうわっ! 勇者様?」


 自然と俺の独り言に入ってきたのは勇者様の声だった。

 作業部屋の扉が開いている。

 いつの間にか後ろにいて驚かされた。


「その呼び方は余所余所しいよ~ 一緒に戦う仲間なんだし、ボクのことはアレクシアでいいよ! ボクもエイト君って呼ぶから!」

「はぁ……わかりました」

「敬語も禁止! ボク敬語きらいだから!」


 そんな理由で?

 まぁ別に良いけど。


「えっと、アレクシアはどうしてここに? 何か用事でも?」

「特にないけど?」

「え?」

「え?」


 数秒間、部屋がシーンとなる。


「用事もないなら、どうして俺の作業部屋に来たの?」

「何となく? 明かりが漏れてたから、何してるのかなーって覗いたらエイトがいたんだ」

「本当に偶然なんだね」

「うん! お城に戻ってきたのは久しぶりだからさ! ちょっと探検してたんだ!」


 アレクシアはニコニコ楽しそうにそう語った。

 探検という言葉も久しぶりに聞いた気がする。

 子供の頃によく村の近くにあった洞窟を探検して、冒険者ごっことかしていたな。


「それでそれで? 何してるの?」

「え、ああ、明日の準備だよ。必要な物が何なのか考えてるんだけど、予想以上に多くなりそうで困ってるんだ」

「ふぅ~ん。さっき言ってた剣が千本もそう?」

「ああ。剣術は苦手だけど、剣を浮かせて戦うのも一つの武器になるかと思ったんだけどね。さすがに千本は運べないよ」

「それなら良い物があるよ!」


 アレクシアがピコーンと何かを閃いた様子。

 唐突に立ち上がり出す。


「ちょっと待ってて! とってくるからー!」

「え、ちょっ――行っちゃった」


 そのまま仕事部屋から出て行ってしまった。

 良い物が何なのか聞こうと思ったんだけど、話をする前に行ってしまったな。

 姫様の言っていた通り、思いついたらすぐ行動、が彼女のようだ。


 しばらく待っていると、外から誰かが走って来る音が聞こえた。

 直後に扉がドンと勢いよく開き、アレクシアが顔を出す。


「持ってきたよ!」

「おかえり」

「これ!」


 そう言って差し出したのは、手のひらに乗る程度の黒い箱だった。

 正方形で、網目のような模様をしている。

 両開きの蓋もあるようだが……


「なにこれ?」

「見てて! ――開門!」


 すると、箱のふたが開いた。

 中から出てきた黒い霧が出現する。


「な、何?」

「これはね~ いっぱい収納できる魔道具だよ!」

「魔道具? これが……」

「そうだよ! この間の戦いで敵が落としたんだ! 原理はよくわからないけど、この霧の中に物が収納できて、さっきみたいに言うと開くんだ」

「へぇ~ そんな便利な物……ん? 原理分からないの?」


 しかも敵から手に入れた物なのか。

 それって危険じゃないか?


「ユーレアスが説明してくれたんだけど、ボクにはさっぱりだった! でも便利だからって貰ったんだ!」

「な、なるほど?」


 一応、どういうものかはわかっているようだな。

 後でユーレアスさんに聞いてみるか。


「エイトにあげるよ!」

「いいのか?」

「うん! よく考えたらボク、そんなに運ぶ物なんてないもん」

「ありがとう。助かるよ」


 これで武器の保管が出来る。

 あとは騎士団のみんなが使う武器に、付与した効果ごとに分けて……明日までに終わるか?


「やるしかないか」

「どこか行くの?」

「騎士団の武器庫に行こうかと。明日までに終わらせることがたくさんあるんだ」

「そうなんだ~ じゃあボクも手伝うよ!」

「え、休まなくて良いの?」

「だいじょーぶ! これでもボクは勇者だから!」


 えっへんと胸を張るアレクシア。

 俺は思わず笑ってしまった。

 彼女と話していると、何だか妙に落ち着く。

 これから戦いに行くということを忘れられる。


 俺たちは騎士団の武器庫へやってきた。


「うわ~ 剣がいっぱい!」

「もしかして中に入ったことない?」

「うん! ねぇねぇ何すればいいの?」

「そうだな。まず俺が使う剣の回収からかな」


 『飛翔』と『思念駆動』が付与された千本の剣を、アレクシアに貰った魔道具へ収納していく。

 その後は、倉庫にある剣や鎧を確認し直して、付与の書き換えをしていく。

 勇者パーティーに同行するなら、しばらく城へは戻れない。

 俺がいなくても色々な相手に対応できるように、付与の種類を分けて、出来るだけ増やそうと思った。

 凄い数だから、朝までに終わるか心配だけど、アレクシアも手伝ってくれたら何とか。


 と、思っていた一時間後――


「スゥー、スゥー」

「……」


 まさか早々に寝るとは。

 しかも剣の鞘を枕にして寝ているし……


「はぁ、やっぱり疲れてるじゃないか」


 気持ちよさそうな寝顔を見ていると、仕方がないなと思ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作投稿しました! URLをクリックすると見られます!

『残虐非道な女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女の呪いで少女にされて姉に国を乗っ取られた惨めな私、復讐とか面倒なのでこれを機会にセカンドライフを謳歌する~』

https://book1.adouzi.eu.org/n2188iz/

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

第一巻1/10発売!!
https://d2l33iqw5tfm1m.cloudfront.net/book_image/97845752462850000000/ISBN978-4-575-24628-5-main02.jpg?w=1000

【㊗】大物YouTuber二名とコラボした新作ラブコメ12/1発売!

詳細は画像をクリック!
https://d2l33iqw5tfm1m.cloudfront.net/book_image/97845752462850000000/ISBN978-4-575-24628-5-main02.jpg?w=1000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ