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フリーダ

 星の神の神官フリーダさんに捕まった俺は、仕方が無いので彼女とインゴ達『大農場主(ラージ・ファーマー)』のテーブルに付いた。ちなみに本人達は唯一神と言っているが、信者以外からは星の神と言われている。詳しくは知らないが。

 そう言えば冒険者ギルドで昼食を取るのは初めてだったか。俺はヴァルに指示して、パンと豆スープを注文させた。少し食事を始めたところで、続きを話す。大事な所はフリーダさんやインゴ達に顔を寄せる様に言って、周りの人間に聞かれない様に気を付けた。


「案内人を雇っているが、ある場所で鉱石を採掘する。場所については言うつもりはない。

 鉱床まで移動に1日、採掘に1日、帰還に1日使う予定だ。


 仕事は移動中の護衛。

 まあ、魔物との戦闘はなるべく避けるつもりなので、その分移動は迅速に行いたい。


 それから採掘の手伝い。

 具体的には鉱床から石を掘り出す。石を砕いて細かくする。その中から指示した鉱石を選別する。


 帰還時には1人10㎏程度の鉱石を運んでもらう。

 まあ、もし魔物から追われた時は捨てて行っていい。命あっての物種だからな。


 最後に報酬だが1人3日で銀貨50枚(約5万円)で、鉱石を持ち帰った場合には10㎏につき銀貨10枚を追加で支払う。」


 命懸けの上に重労働で6万円じゃあ、日本では絶対にやらない仕事だし、こちらでも相場の半分程度だ。まあ、断られても仕方ない。フロレンツ君では無いが、俺も経験や実績の少ない新人とパーティーを組み(づら)い女性だと思って足元を見ている、というのもある。さて、どうだろう。

 まずはインゴ達の方を向く。インゴ達は少し話し合ったが、答えを出した様だ。まあ、その前に「金が無い」と言う様なワードが聞こえて来たが。


「あぁ、俺達はそれでいい。

 正直俺達だけで大迷宮に入るのは不安だし、金欠なんだ。」


 インゴが代表して返事をする。それにしても信用されたものだ。続いてフリーダさんに顔を向けた。彼女は腕を組んで難しい顔をしていたが、やがてこちらを向いて頷いた。


「私もそれでいいのじゃ。」


「そうか。それでアンタの事は良く知らないんだが、戦えるのか。」


 報酬について揉めなかったのはいいが、俺はコイツについて何も知らないんだよな。神官っていうくらいだから回復魔法とか使えたら嬉しいんだが。


「なるほど。

 私は巡礼前に旅で身を守れる様、神殿で訓練をしていたから男とも対等に戦えるし、

 体力もあるから荷物運びも出来るぞ。」


 そう言って錫杖を突き出して見せる。う~ん、一番気になるのは魔法についてなんだよな。いや、そもそも巡礼の途中なら何でコイツ、ダンジョンに潜りたいんだ。


「後でこのヴァルブルガと手合わせして実力を確認させて欲しいが、

 そもそも巡礼中に何でダンジョンに潜ろうとしてるんだ。」


「マニンガー公国内では神殿に泊まりながら旅をしていたが、

 このカウマンス王国や北のラウエンシュタイン王国にはほとんど神殿が無い様でな。

 旅費に不安があるのでここで稼ごうと思ったのじゃ。この街は景気が良さそうだしの。」


 目的は金か。分かり易くていいな。巡礼や他国の話は後で聞いてみたいが、まずは実力を見させてもらおうか。




 俺達は人通りの少ない冒険者ギルドの裏に回った。ギルドに訓練場でもあればいいが、生憎(あいにく)そんな物なんか無かった。街の壁の内部はスペースが限られているから、作る余裕が無かったのかもしれない。なお別に呼んではいないが、インゴ達も付いて来た。

 そこでフリーダさんは錫杖を、ヴァルは剣を構えて5歩の距離を取って睨み合う。俺は立ち合いの注意をして開始の合図を出す事にした。


「実力が分かればいいから、互いに怪我までさせない様に。」


「承知した、ご主人様。」


「なるほど。分かったのじゃ。」


「それでは始め。」




 結果から言うと、フリーダさんは子供のころから剣の修行をしているヴァルと同じくらい強かった。神殿の訓練が田舎の男爵家よりも効率や厳しさが上なのかもしれないが、ヴァルの背が男より低めなのに対してフリーダさんは男並みの身長があるので体格差もあるかもしれない。年齢もフリーダさんは20代中盤っぽいので、10代後半っぽいヴァルよりも経験も多そうだし。

 タイプで言えばフリーダさんがやや攻撃寄り、ヴァルがやや防御寄りだが、まあ二人ともどちらも(こな)せる。正直インゴ達よりも頼りになるので来てくれるなら心強いが、問題は俺の指示にどれくらい従ってくれるかだ。俺の探知スキルを教える気は無いので、理由を言わずにあっちを通れとか、魔物が近付いてるから逃げろ、とか言うのを文句も言わずに聞いてくれるか。こればかりは、行ってみないと分からないか。

 そうだ、魔法が使えるかが重要だった。さっきも聞こうと思ったのに、別の事に気を取られて忘れてた。


「そういえば、フリーダさんは神官だろ。回復魔法とか使えるのか。」


「うん? 魔法なんぞ使えないぞ。

 神官だって魔法の適性持ちは少ないから、ほとんどは使えないのじゃ。」


 え? 神官って回復職じゃないの?


「ご主人様は魔法使いと縁が多い様だが、

 普通魔法使いはなかなかいないモノだぞ。」


 何だとぉ、(ただ)の棒術士じゃねぇか。

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