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戦力拡充

 次の5人はまあ可もなく不可もない戦士達だった。前の主人に命令不服従だったとか、コミュニケーションが取りづらいなどの欠点は特にないが、アンスガーやジルヴェスターほどの迫力は無い。強さ的にはディーデリヒと同じかそれより劣るくらいなのだろう。それぞれ金貨八十枚~百枚だ。

 そしてアルミン氏が、戦士ではないが珍しい奴隷がいるので見て欲しいというので、俺は見てみる事にした。一人目は美しい貴族令嬢だが、本当にただの貴族令嬢で戦力にはならないタイプだ。いや、貴族社会や政治なら戦力になるかもしれないが、とりあえず今回は巨大象虫攻略が急務なのでそれは後回しだ。

 二人目は科学者だか錬金術師だかいう男で、自宅を燃やして周囲に延焼させ借金奴隷となった男。それでも珍しい知識奴隷なので金貨八十枚だという。


 最後に見せられた三人目、四人目は珍しい魔術師だった。三人目は火の魔術を使えるというので期待したが、目の届く範囲に小さな火種を点けるぐらいしか出来なかった。貴族の邸宅で館中の燭台に火を点けるような仕事をしていたらしいが、壁を焦がして主人の怒りを買い奴隷に落とされて売られたという。

 四人目は死霊使いと噂され、周囲から気味悪がられ良く分からない罪を着せられて犯罪奴隷にされたようだ。よく聞くと死霊なんかは使役出来ず、念力とかサイキックに近い魔術で手を使わずに物を動かせるという。それが見えない幽霊を使役して物を動かしていると誤解されたらしい。

 ただ、彼も直接戦力としては微妙で、動かせる物は体のごく近くでも最大5キロくらい、体から離れると動かせる物の重さも急激に減り、10メートルも離れればスプーンやフォーク程度しか動かせない。それも矢を飛ばしたり剣を振るほどの速度は出ず、フラフラと浮かせる程度らしい。二人とも金貨百枚を付けられた。


 とりあえず14人の奴隷を見せてもらった俺は、この応接室を借りて仲間だけで相談する事にした。ゴルドベルガー伯爵家の若い騎士アルノー君は、女騎士と貴族令嬢を助けるべきだと主張したが、今回は見送った。

 美しい女騎士を侍らせたい気持ちもあるが、外見分が価格に上乗せされてるので単純に戦力としてみるとコスパが悪い。そういうのはミスリル増産が叶ってから自分へのご褒美にしたい。貴族令嬢も戦力的な理由で却下だ。

 ヴァルブルガは自分の親族を押して来るが、会った印象も裏表がある様に見えなかったし、無茶な命令でも無ければちゃんと働いてくれそうだったので購入でいいだろう。さらにジルヴェスターとオグウェノも買う事にした。


 ジルヴェスターは正直、相性が悪そうな気もするが、戦闘中に裏切られるような事さえなければ、サボりが目立つようならまたここで売っ払えばいいだろう。今は巨大象虫攻略だけを考える事にする。オグウェノも同様で巨大象虫戦に加えて使えないようなら売るだけだ。

 ニクラスとも相談したが、あとから見せられた5人の戦士は今回やめておいた。魔族討伐のような戦争なら人数を集める事に意味があるだろうが、巨大象虫相手には普通の戦士では犠牲が増えるだけという判断だ。

 そして今回、巨大象虫戦とは別に錬金術師と魔術師二人も購入する事にした。錬金術師にはマニンガー公国で買った銃の為の銃弾を自前で生産する為、その要の火薬を開発させたかったからで、魔術師に関しては正直ロマンである。まあ、ラノベ等ではここに美少女が混じるのが定番だが、全員オッサンなのが残念だ。


 さてここでヴァルの残りの家族と面会した。上の弟は巨大象虫戦はともかく普通の行商の護衛くらいは任せられそうで、下の弟はまあ修行中だ。アンスガーの奥さんは一応自衛くらいの剣は使えるらしいが、戦力的には上の弟程では無いようだ。

 まあ、彼らはある意味人質なので、自ら厄介事を起こすタイプでなく、出来る仕事をしてくれるなら問題無いだろう。俺はヴァルの家族の一括購入を決めた。さて、そうなると次は購入金額だが、アルミン氏の言い値なら金貨千五十枚(約一億と五百万円)だ。

 ここで俺はヴァル一家のまとめ買いに値下げを要求し、ヴァルの弟達や奥さんを高額な父親や兄のオマケで買うのだと強くし主張して総額金貨五百枚から金貨四百枚まで下げさせた。


 続いてジルヴェスターとオグウェノは、命令不服従に対する心配やコミュニケーション不安を理由に、二割引きで金貨二百十三枚まで下げさせた。最後に事故を起こすような男は敬遠されるとか、その程度の魔術は手でやった方が早いとか言って、魔術師達三人を貶めた。

 それで他なら金貨三百枚にもならないだろうと言って、ネタ枠として一人金貨四百枚なら買ってやると言い放った。結局総額で金貨七百枚(約七千万円)になって金の延べ板で支払った。ここには早朝から来ていたが、ここまでの話で既に昼をとっくに過ぎていた。

 流石にこの場で全員引き受けるのも困るので、ヴァルの父親アンスガーとオグウェノだけを引き取り、残りは明日の早朝王都を立つ前に引き取る事にした。なお、彼らは貫頭衣のような服を着ていたが、質素でもいいからペルレまで歩ける衣服と靴をアルミン氏に頼んでおいた。もちろん、向こう持ちで。

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